第7回対談「のらえもんとDJあかいが震災後からの湾岸エリアと今後を語る」

Twitter湾岸エリア界隈の一部からはもはや神格化されつつある月島の魚菜はざま。1ブロック先では再開発のお知らせ看板と再開発反対のポスターが貼ってある街であります。まずは、再開発がこれからも虫食い状に進むであろう、月島エリア事情から話がスタートします。
「他のスムログブロガーとは違う話がしたい」と張り切っていたDJあかいが、のらえもん相手に湾岸エリア住民の意識改革を迫る異色の回になりました。

目次

  1. この対談に参加したメンバーは?
  2. 対談
  3. 最後に

この対談 に参加したメンバーは?

のらえもん
のらえもんさん

湾岸物件を愛してやまないネット妖精です。東京湾岸タワマン居住中。
湾岸総合情報ブログ「マンション購入を真剣に考えるブログ」運営。
いつの間にか本座談会の司会者ポジションに。マンション購入を真剣に考えるブログ

DJあかい
DJあかいさん

いつもアマチュアの気持ちを忘れないで不動産に関わってる人。 得意エリアは都心、横浜。不動産業界の内側からの発信が少ないとの思いから、最前線の温度や感覚を伝えるブログを書いています。DJあかいのマンション総研

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対談


本日は月島「魚菜はざま」よりお届けします

DJあかいさん、よろしくお願いします。

のらえもんさん、よろしくお願いします!

月島へようこそ!どうですか、Twitterでも話題になる「魚菜はざま」に来てますが、いかがですか?

そうですね。やっぱり「お家賃がかかってないボリュームと味」ですね。(笑)


魚菜はざまの刺身定食。1300円で暴力的なボリュームの刺身が付いてくる。


お家賃の味がしないwww。確かに「お家賃を払いながら飲食店を経営」するとどうしても損益分岐点が上がってしまう。「お家賃がないお店」のクオリティが高いですね。

「東京家賃ない店うまい店」をKK ベストセラーズから出してもらいましょう。

月島の飲食事情って独特でして。もんじゃ焼き屋以外のお食事のお店は、たいてい「近所の儲かってるもんじゃ焼き屋さんの多角化経営」です。このはざまも一緒ですね。

はー知らなかった。儲かってるお店の余技やね。この店の目の前の天ぷら屋とかもそうだけど、「ショッピングモールメインの新しい街」ではこういう飲食店の形態って成り立たないよね。

「一階天ぷら屋、二階に住宅」というのは、新興住宅地では絶対みないですね。

懐かしさがある。


月島の名店「魚菜はざま」


さて、いま月島では再開発話が至るところで進んでいます。徐々に古い戸建てや雑居ビルが壊されてタワーマンションになる一方で、すぐ目の前の路地には「トタンで壁を作った昭和の戸建て」もある、という特殊な風景が広がってます。


月島はトタン板が使われる家もかなり多い


そうですね。やっぱり月島は「明治大正に埋め立て・開発が始まってる古いエリア」なので、どっちかというと深川や本所とかあるいは台東区とかに近いような「古き良き下町文化」がすごく残ってる。そこが、豊洲・有明・東雲といった新しいエリアとの違いですね。

日本橋〇〇町ともまた違いますね。「戦後に木造戸建てが雑居ビルに建て替わっていって次の再開発になっているエリア」と「雑居ビルにすら建て替わらなかったエリア」。月島は後者的な場所が多い。

街を歩くと※2項道路・※3項道路ばかりですからね。いま三井不動産が再開発しようとしている三田小山町もこんな雰囲気の場所がある。

(※編集部注釈)
2項道路:建築基準法第42条2項の規定により、幅員4m未満でも建築基準法上の道路としてみなされた道路のこと。建て替えの際は道路中心線から2mの後退(セットバック)が必要。
3項道路:建築基準法第42条第3項の規定により、道路拡幅が困難な場所について、特定行政庁が建築審査会の同意を得て、幅員2.7mから4m未満で指定された道路のこと。この場合、セットバックは道路中心線から1.35m以上2m未満の指定された範囲に緩和される。

飲食店が表通りにも裏通りにもズラッと並んでいる。そして「お家賃ない店」がいっぱいある、というのがここ月島の魅力ではあるんです。一方で「こういったお店を潰して新しいタワーマンションを建てましょう」って提案していくのも不動産屋なんですよね。

たとえばこの「はざま」が再開発されて「タワマンの地権者住戸」として1階とか2階の店舗区画に※下駄履きで入っていくと、今のような形態っていうのはできなくなっちゃうんで、「街の魅力の保存という全体最適」と「容積率の活用という個別の最適」っていうのがずれる難しさはありますね。

(※編集部注釈)
下駄履き:建物を商業・住居複合型にした際、低層階の商業施設を指す。

いやほんとにその通りで、「再開発したタワーマンションのパンフレットにタウンガイドを載せましょう」ってなった時には、「他のタワマンに下駄履きで入っている家賃の味がするお店」は載らなくて、「すぐそばのボロいビルの一階で破格で提供しているお店」が「地元の名店!」といって掲載されるんですよね。

言ってみれば、タワマン住民は「旧市街の文化とかお店にフリーライドしてる」わけですよね。月島は「東京都とかデベロッパーが主導して作った計画都市ではない」点で豊洲や有明とは大きく違うかなと思います。建て替え案件や再開発案件が中心で一棟のサイズや区画も小さいし。

結局「グランドデザインから作っていく街」には余白がないんだけど、余白がある街だと余白部分に「おいしい店」とか「勧めたい店」とか「通いたい飲み屋」とかそういうのが出来ていく。

街の余白が、猥雑さになり、魅力につながっていく。

そう。例えば「吉祥寺のハモニカ横丁」とか「中野駅北口の飲み屋街」とか、最初から計画されてできたわけじゃなくて自然発生的にできてる。大きな街区で計画されて進んでいくと「大きいビルとか大きい床しかない」ってなるから個人レベルでは開業できない話になってきて、そうなるとナショナルチェーンしか入れなくなるから「どこもサイゼリヤ」みたいな話になっちゃう。


吉祥寺ハモニカ横丁。余白がある街こそ、通いたい店ができる(DJあかい)


この月島から1本橋を渡って晴海エリアに行くと、豊洲と全く同じことになってますね。大きい街区に晴海トリトンスクエアを始めとして整然と住宅いっぱい立ち上げている。そこに入るのは、チェーン店やサイゼリヤ。勝どきと月島も街の成り立ちが少し違いますね。月島のほうが建物の粒度が小さくて、個人で勝負できる余地が大きい気がします。

そうですね、月島で再開発が進んでいくにしたがって、だんだん「他人に勧めたいような美味しいお店」だとか魅力的な部分が損なわれてしまう側面はあるのかもしれないなと思いますね。


そういえば日本だけの特徴か知らないですけど、再開発って「土地の記憶を漂白」していくような気がするんですよね。再開発は「元々住んでいた人たちの最大公約数にデベ側の利益まで考える」と、どうしても小綺麗にまとまった建物しか出来上がらない。豊洲・東雲は大きな工場跡地だけど、そういった記憶をほぼ全部まっさらにして「新しい街を作ってそこに住む住民が歴史を作っていくんだ」みたいな。

まぁ東京湾の歴史は産業立国や高度経済成長と不可分です。それがバブル後は東京から工場が無くなっていって今後も戻ってくることはないのだから漂白しても構わないのかも知れないけど、月島でそれが進むのはちょい寂しい気がしますね。

ちょっと海外のことはよくわかんないですけど、東雲とか豊洲といった大きな工業地区で「住居や商業地区にするにあたって土地の記憶を漂白してく」ってのはまあわかる気がします。恵比寿はガーデンプレイス再開発ですっかり漂白されて、「こづち」くらいしか当時の名残が残ってないのと同じですよね。

「(工業地区ではない)月島とかの町の文化も同じように漂白しちゃうべきなのか?」ってのは議論としてはあるのかなと思います。まあ「その文化や雰囲気を保存したい」っていう人のできる行動が【再開発反対】しかないというのはなかなか難しいと思いますが。

震災後の地獄を乗り越えた東京湾岸エリアを振り返って

そろそろ話題を変えますか。私とDJあかいさんとは、Twitter上で僕がつぶやき始めた直後、2012年初頭から相互フォロワーになってそこからずっとやりとりしてたはずです。もう足掛け8年になりますが、震災後の湾岸が変わってきたのを「中から見つめてきた人」と「外から見てきた人」、そういったキャラの違いがありますね。

やっぱりあの震災の頃って「湾岸のモデルルームとかの現地販売所」には完全にもうお客さんが全然いなくて、営業もどんどん減らされていくような状況でしたね。震災から1年くらいかな、プラウドタワー東雲ぐらいまでは結構厳しい時期が続きましたが、このマンションが耐震性を重視した構造で「震災対応・震災後のタワマン」として売り出してから、湾岸が「検討できるエリア」として再認識されましたね。

そんな厳しい時期に「湾岸の本当の姿を伝えていこう、言われなき批判には立ち向かおう」とのらえもんブログ「マンション購入を真剣に考えるブログ」が出てきて、「湾岸に特化して個別のマンションや市況を取り上げるサイト」として、今では湾岸を検討するうえで避けては通れない、「湾岸民の視聴率100%みたいな大メディア」になったわけですよね。


プラウドタワー東雲は耐震ながら超高強度コンクリート採用やスケルトン・インフィル、各階防災倉庫、”絆”を深める共用施設など震災後の湾岸タワマンの基準を作ったタワー。


湾岸民視聴率100%www。まぁ「2013年に販売された湾岸タワマンを買った人」って、ほぼのらえもんブログ見てますね。スムログで一番手厳しいDJあかいさんから、そう言っていただくのは非常に光栄です。

震災後、本当に厳しい流れの中で「潮目が変わったな」と感じたのが、おっしゃるとおり「プラウドタワー東雲の分譲開始」だったと思いますね。あの時は野村不動産だけじゃなくて全デベロッパーが「ほんとに売れるのか?」って固唾を呑んで見ていました。

その時に、たまたまなんだけど僕が既に湾岸にいて、親族や会社の同僚やマスコミから「あんなところに住んでいるの」的なことを言われて悔しいからブログ始めた、その時と重なりますね。

本当に僕も見てて(プラウドタワー東雲で)潮目が変わったと思います。そのあたりから住友のシティタワー有明だとか豊洲のシティタワーズ豊洲 ザ・ツインシティタワーズ豊洲 ザ・シンボルとか在庫物件が検討物件として挙がるようになって、「これ安いじゃん」という話になってきてさばけていきましたよね。

東雲以降の新築物件はだんだんと価格も右肩上がりになっていって、あとは作る側も売る側もすごく自信持ってお客さんに勧められるような雰囲気になったなとは思います。

震災後から東京オリンピック決定までの短い期間に、湾岸の新築タワーマンションだけで「プラウドタワー東雲」、「パークタワー東雲」、「クロノレジデンス」、「ティアロレジデンス」、そして「スカイズ」が売り出されているんですよ。

震災前のデベロッパーは「しこたま未発表プロジェクト抱えた状態」で、アベノミクスで株価は上がり始めたけど「これだけの戸数が本当に売れるのか半信半疑」だった気も今から思えばします。まぁ東京オリンピック決定で在庫は瞬間蒸発しましたね。

オリンピック決定で湾岸エリアが俄然ポジティブになりましたよね。買い推奨指定銘柄みたいな。

東京湾の臨海部プロジェクトは広い視点で見れば3つあって、「千葉の幕張」と「横浜のみなとみらい」、そして「臨海副都心計画+豊晴計画」だったと思うんですけど、まぁ10年前視点だと東京だけぶっちぎりで負けてたんですよね。

「地方行政が旗振ってどこの臨海部で大規模まちづくりプロジェクトを立ち上げたいか」といえば、やっぱり権利関係がシンプルな「フロンティアなところ」で、新しいことやりたくなると思うんですよ。

東京の湾岸タワーマンションがメディアから叩かれるのはなぜ?

「湾岸の回復」っていうのは、「東京都が『開発・街づくりのプロジェクト』にすごく力を入れてやってた」というのと、オリンピックに関しても「東京都が力と予算を入れて誘致した経緯」があるわけです。

「湾岸単体の復活劇・物語として見る考え方」とか「湾岸の価格が上がってきたのは自分たちの目利きの力だ!儲かったのも当然!」みたいな論調っていうのはもちろんあると思うんですけれども、「公的な資源の集中投入」や「都政の影響」を抜きにしてはしゃいでるみたいなのは他のエリアの人からしたら正直おもしろくないという部分はあると思います。

東京オリンピック前から、いや震災前から「東京湾岸エリア」は住まいとしてはまだ未知数のところだけど、相対的な割安感で売れていた。それが東京オリンピック決定後からは、確信を持って売れ始めた、そんな感じでしょうか。

でも未だに、湾岸エリアには他のエリアから嫉妬されるほどには価値はついてないと思うんですよね。だってアベノミクス前で比較すると、「湾岸は2012から2020の間に1.5倍になった」かもしれないけど、「都心エリアは同時期に2倍になっている」もの。「都心と比較しての相対的な割安感」というのはいまでもあるんですよ。

それに武蔵小杉だって湾岸と同じかそれ以上に上がりました。震災前後安かったけど今はめちゃくちゃ高いエリア。例えば北千住、赤羽王子、上野御徒町鶯谷、浅草、西新宿とか都内各地はわかりやすく上がってます。


北千住のタワマンだって今や坪400なんですよ?あの立石だってめちゃ高いタワマンが建つし。なぜ湾岸タワマンだけが「高すぎる」「暴落」と一方的に書かれるのか。


「湾岸の躍進、開発」についてはさっき挙げたような「都政からの特別扱い」を前提にしているところがあって、考えようによっては「他の地域の税金が湾岸に流れ込んでいる」という認識の人もいるわけです。だから「他地域に感謝せよ」って言ったら変ですけど、「他地域へのある程度のリスペクト」というか「そこのところ認識した振る舞いをしてくれよ」という声はあるんだろうと思います。

マンション評論家だかなんだか知らないが、「湾岸をとにかく悪く書き立てる悪玉がいるから湾岸のイメージが悪くなる」んじゃなくて、そういう「湾岸に対するもやもやっとした感情があるから、例の評論家に『そういう記事を書いてくれというオファー』がいく」わけですよ。たとえ彼を倒しても、湾岸の人のマインドセットや有り方が変わらない限り、「第二第三の彼」が出てくる。

うーんそうなんでしょうか、まぁ「僻みの対象」になっているのは感じますね。「湾岸タワーマンションはオワタ」と書くと、とにかくPVが取れる。もうPV稼ぎのフリー素材化している。そして「専門家という名前を出してオワタと書いてくれる人」にオファーが殺到する。その根源には、やっぱり「オワコンであって欲しい」という大衆の願いが投影されていますね。

湾岸のプロジェクト自体が「バブル崩壊」、「青島都知事の都市博中止」で紆余曲折を経た末の流れで、大きな景気の流れに翻弄されてる部分は感じますね。

あとは湾岸の人はすごく自分をアピールしたがりな所があるのかなとは思いますね。「高収入のサラリーマン」とか「共働きのパワーカップルで頭も良くてすごく貪欲」とかで「もっと得したいというマインド」が強くて、「税制」とか「ポイントやキャンペーンの最適化」、いわば「裏技」を見つけるのが得意で、そのあたりを誇示しがちだから、「大人しくしてる人からは目についちゃう」ってところはありますよね。

そのへん、私は「Twitter上であんまり調子に乗った事は言わない」ようにはしてるんですけれどもね笑

他のエリアを”そんなに”disらない。「世田谷区、素晴らしい。練馬区、素晴らしい。でも、我が東京湾岸エリアも素晴らしい。」みたいな感じで運営してはいます。まぁTwitter上でたまにプロレスはしますけどね。

湾岸の中でも「のらえもんさんみたいな穏健派の人」もいるんですけど、過激派の人も割といてそっちの方が目立っちゃうから「湾岸全体がそんな感じなのかな?」って印象はありますよね。

湾岸のマンション価格も震災から一貫して上昇傾向で、最後買った時より高く売れるから「湾岸は資産価値がある!住んで資産形成!」みたいな論調がすごく説得力を持って語られて、実際そうやって売れてきたわけです。ただ「いっときの土地神話」じゃないですけど、未来永劫上がり続けることもないわけで、「だんだん椅子が少なくなってきた椅子取りゲーム、だけど音楽は鳴り続ける」みたいな状況になってきてるのかなと。

田端某太郎みたいにあれだけ湾岸自画自賛してたと思ったらいつの間にか引っ越していなくなってるとか。

田端氏の事例は良くも悪くも、東京湾岸が「アーリーアダプター向けの街」から「アーリーマジョリティ向けの街」になったのだと思いますね。あと仕上がった人は湾岸に住み続けないw やっぱり港区の方がいいもの。湾岸に家は残しているみたいだし、そのうち戻ってくるんじゃないですか。

街の新陳代謝はどうやって保たれる?

湾岸新築タワーマンションの価格がブランズタワー豊洲とかパークタワー勝どきのように「坪単価400とか400に近い」ってなると、「ここからエントリーして次は坪単価500で売るんか」というとちょっと現実的ではない。だから「先に湾岸エリアで買ってた人の含み益を当てにした売り込み方」、しかも「最後の出口を考えない永住志向」、すごろくで言うところの「あがり」ってことになる。

じゃあ「ブランズタワー豊洲パークタワー勝どきに一次取得で入ってくる人」ってほぼほぼいないんじゃないか、そうすると街全体の高齢化が進むんじゃないか。結局「湾岸エリアは人の入れ替わりがあるから平均年齢が1年で1歳上がらない、街に活力がある」っていうのがいいところだったけど、それが「1年に1つ歳をとっていく」って話になってくると、「多摩ニュータウンとか高島平と条件が似通ってくる」わけですよ。

湾岸の評価が上がって価格が高くなった、高くなるのはいいことなんですけれども、それだと新しい人が入ってこない、解決策は何か。「ハードランディングさせて坪単価が下がってみんなが損をする」のか、あるいは「坪単価500とか600にふさわしい街へと変貌を遂げる」のか。

まぁ「坪500・600の街になる予感」は私は持っていないのですが(芝浦はなっているけど)…これから出てくる月島の再開発タワーは相当高いと聞きますね。

結局不動産は独歩高なんてありえないわけで、隣接エリア同士が吊られて高くなるものだから、さらにもう一段高くなるかもしれないし、景気がポシャって住み替えられなくなるかもしれない。さて、DJあかいさんの話に1つ反論したいんですけどいいですか。

はいどうぞ。

2019年のパークタワー晴海、そして2020年のシティタワーズ東京ベイの入居で見られた現象なんですけど、おっしゃる通り「エリア内分譲マンションの人たちが自宅を売却してからの住み替えの割合」が今までより多いんですよ。

二次取得者が移り住んでくるということは、今まで住んでいたエリア内のマンションの部屋が空く。売却もしくは賃貸、どちらでも引っ越しが発生します。この部屋に一次取得層が移り住んでくるし、その時は引っ越した人より若い人が入ってくるんですよ。

つまり、「新築を中心に中古含めて雁行型の価格形成」が出来上がってて、住民層の入れ替わりが発生している、という事象が見られますね。

なるほど。「エリア全体としては新陳代謝が起きている」ということですね。

後は大規模再開発される時に、HARUMI FLAGとかSKYZ&BAYZ(東京ワンダフルプロジェクト)の時もそうでしたけど、賃貸棟ができるので、今後の購入者候補を育成することができますよね。地縁が生まれるので。


東京ワンダフルプロジェクト。透明で表されている部分がパークアクシス豊洲キャナル(賃貸棟)。


そうですね、東雲キャナルコートCODANもその発想で作られていますね。賃貸棟をエントリとした分譲棟への新陳代謝の促し。

でもそのためには、中古マンションも新築と同じように魅力を保ってないといけない。それは、はるぶー先生を筆頭に東京湾岸ライフ先生、Twitterだとハルミズム先生など「マンション管理系の人たちのお力で、エリア内の分譲マンションの住み心地と価値を保っていただく」っていうのは、新陳代謝を円滑にすすめるためにも重要になるんじゃないかなぁと思います。


Wコンフォートタワーズ分譲時の東雲キャナルコート。現代建築の巨匠たちが共演した。


10年ごとに住み替えそうな湾岸にも、はるぶーさんの時代がやってきたということですか?

さっき言った同エリア内の賃貸マンションのお話。作った最初はその目論見通り進むとは思うんですけど、途中からズレないかな?という心配はしています。

「築年数の経過による分譲マンションの値下がり率」と「賃貸マンションの賃料の値下がり具合」、どっちが低いですかね?「賃料」の方が低いですよね?そうなると、年月が経って分譲マンションの値下がりが一定以上を超えると、付近の賃貸に住んでいる人達は、他所に行っちゃうんじゃないかなぁって思うんですよね。

複合開発の分譲マンションがだんだん古くなっていって、「賃貸マンションの家賃と比較したとき、グレードがちょっとずれてきちゃった」と。

そうすると「キャナルコートの賃貸から築年の経過したキャナルコートの分譲」ではなくて、「新築とか築浅の東雲で言えばプラウドシティ東雲キャナルマークス」だとかに逃げてっちゃうということになるんですかね。

実際にそれは起こってますね。あと、これは逆説的ではありますが、「街としての完成度が高すぎると、逆に新陳代謝が進まない」というのもあります。佃のリバーシティ21が良い見本で、あそこは代替の街が無さすぎて特に「分譲棟の住民が外に出て行かない」んです。ですので今、大変失礼ながら高齢化が進んできてしまっている。

「高齢者にやさしい街」と言う意味では、とても良い街だと思います。しかし、街の新陳代謝という点では、素晴らしい街であるがゆえに1年毎に住民平均年齢が約1歳上がってしまうんだなぁと。晴海フラッグも「完成度が高い街」を目指しているがゆえに、リバーシティ21と同じ道を辿らないかな、と今から心配をしています。

ま、大丈夫かな。晴海フラッグはリバーシティ21ほど利便性が良いわけじゃないから。


HARUMI FLAGは賃貸専用区画「PORT VILLAGE」が用意されている。1487戸・4棟構成の賃貸棟。


結局のところ「街がどういう方向性を向くか」ってそこに住んでる年齢層の構成によると思ってて。だんだん平均年齢が上がっていくと街が年を取っていっちゃって、若い人が入りにくい街になっちゃうと。だから余計に「悪循環みたいな高齢化」が進んじゃうわけですね。

だんだん住民が年を取って、高齢者は変化を嫌うから、「自分たちの住み心地の良いようにしよう」って若い人や変化を受け入れなくなっていく。その極端な例が、エリアは違いますが、秀和幡ヶ谷レジデンスですよね。

湾岸に足りないもの、それは〇〇力だ!

さて、さっきDJあかいさんと話してて思い出したのが2016年、豊洲市場が「ベンゼンだヒ素だ」って突如騒がれ始めて、よくわからない理由で移転が2年くらい足止めされた一件。

東京内陸部、池袋を根城にしている当選まもない小池さんがまぁ「新興エリアである豊洲をdisることが自分の政治ポイントにつながる」と思って、マスコミ巻き込んでひどいキャンペーンをやらかしましたね。あれをちょっと振り返りたくて。


小池知事が突然豊洲移転をストップ。「築地は守る、豊洲は活かす」とか適当なこと言ってたけど、2年かけてやったことは時間とお金を無駄にしただけだった。でも小池さんの支持率は上がった。


豊洲市場移転が足踏みした時にちょうどあのあたりでマンションを売っててですね、「絶対売れる」と思って買ったら小池知事の発言で全然内覧も来なくなっちゃって。

海風とかの影響で窓とかすごく汚れるんですよね。売れないから長期空室だし。わちゃまるさんと一緒にお掃除に行ったりとかして。あのマンションは「駐車場の空きがない上に、来客用駐車場は朝からずっと占領してる人がいたり」と、車遠くに置かなきゃいけなくて苦労したりというところがありましたね。

ただ、豊洲市場の問題ってそれこそ先に話題に出た「漂白しなきゃいけない土地の記憶」というところはありますよね。重金属扱ってた工場跡地で「食べ物扱う」とか「住まいを建てる」とか、「いくら土壌改良してると言っても抵抗があるという庶民感覚」に都知事が乗っかったんでしょうね。いわゆる「ケガレ」の思想というか。

その情報聞くだけで、あかいさんがどのマンションを売っていたか見当ついてしまうんですけれども。

さて、2016年のあの瞬間は豊洲市場だけでなく、「豊洲全体が汚染されている」という感じになっちゃって、マスコミが一時期豊洲の交差点に張り付いて、住民にインタビューするわ、周りのタワーマンションまでなんとなく巻き添えくらってましたね。あの空気感ってやっぱり「高みから見下ろしやがって」という一種の嫉妬の眼差しなのかなぁって思いました。

豊洲市場の問題の時に「擁護の声や反論の声が湾岸以外からあまり上がらなかった」ように思います。それはいろんな理由はありますけれども、先述の「他地域の人の湾岸に対するそのモヤモヤっとした感情」だとか、あるいは「湾岸の人たちの振る舞い」を見てあまり愉快に思っていなかった人たちが、「快哉を叫ぶ」まで行かないですけれども、「そういうこともあるよね」みたいな受け止め方をした部分はあるんじゃないかなと。

だから豊洲の件を踏まえて考えていくと、湾岸はエリートサラリーマンみたいな人が大半を占めるわけですが、「湾岸の人は周りからどう思われているか?」とか、「自分が得する損するという話ばかりでなくて※ノブリスオブリージュをどう考えていくか?」とか、「今まで公共的資源を集中投資されてきて政治の恩恵を受けてきたわけだけれども、逆風になって政治的に損失を押し付けられるとなったら『それは要りません』という話が通るかどうか?」、「いやそれでも戦うとなった時に今足りないものは何か?」とかいろいろ繋がっていく話ですよね。

(※編集部注釈)
ノブリスオブリージュ:貴族の義務、転じて富裕層や高学歴者の社会的責任を指す。

足りないものは「カウンターとしての政治力」ということですか。

ですね。「マイナス面を受け入れれがたい」となったら、政治的発言力を付けていかないと結局「政治に振り回されて終わる」んじゃないかと。やっぱり代表者を自分たちから出していかないと、いずれ「顧みられないエリア」になっちゃうんじゃないでしょうか。

マキァヴェッリが君主論で言うところの、「気まぐれに恩恵が施されはするものの、気まぐれに殺されてしまう」というやつです。自分の運命を人の気まぐれに委ねないためには「力」しかない、この場合の力は「湾岸の利益代表を区議会なり都議会なり政治の場に送り出すこと」だと思います。

これは極端な話かもしれませんが、豊洲市場の問題は「湾岸と政治の立ち位置」だとかいろいろ考えるきっかけになったんじゃないかと思います。

おっしゃることはよくわかりますよ。「都内の由緒正しい歴史あるエリア」とされているところだって、元々は人が住んでいなかったわけです。そこの住民たち自らが文化を作り、政治的発言力を踏み固めていっての今がある。

湾岸エリアは広い工業地帯からの用地転換である以上、どうしてもデベ主導がまだ強いけど、「今住んでいる住民たちが歴史と文化を作っていかないといけない」んだろうな、と。


同種の悩みは普通借地権(一部所有権もあり)物件が並ぶ幕張ベイタウンだって持っているのではないか。他にも新浦安、みなとみらいなど。名主・領主・地主がいない新興エリア独特の悩み…


さっきの話に繋がるんですけど「湾岸に骨を埋めようって覚悟の人」が少ないんじゃないかなと思いますね。高く売れるタイミングを見極めて売り出してどっか違うとこへ出てっちゃうという感覚ですね。腰を据えて政治なり個人店なりやっていくマインドなり環境なりになっていかないとなかなか「絵に描いた餅」なのかなと。

湾岸に来てる人たちって自分の代で湾岸生活が始まるいわゆる「初代」の方がほとんどだと思いますが、「二世代三世代とこのエリアででやってくんだ」ってことになっていくと「その子や孫の世代がちゃんと好きになってくれる街」になるかどうかってのは大きなポイントだと思うんですよね。「価格が高すぎて子世代が家を構えられない」というのも困るし、「魅力がなさ過ぎて若い世代がみんな出て行く」というのも厳しい。

それは「あかいさんが見ている湾岸の人」がTwitterに偏ってますよw 普通に湾岸エリアのファミリーは「ここで一生過ごすんだ」って言う方たくさんいらっしゃいますよ。ただ、東京初代の方が多いから基本根無し草ではあるし、仕上がったら他エリアに住み替えることも現状は抵抗ないでしょう。それでも、子どもが小学生になってくると地縁が大きくなって簡単に足抜けできなくなる。そろそろ「自分たちで踏み固めないといけないフェーズ」には来ていますよね。

他のエリアだと「地主の人」とか「生活に困らない人」が政治家をやってたりするんですけど、 豊洲とか有明は勤め人がほとんどでそういう人がなかなかいないわけですから、政治をやるにしても「専業でどうやって生活していけばいいんだ?」という課題はあるとは思うんですよね。

「エリアの利益を代表する人」がいない、すなわち「議会なり都政なりにエリアからの意見を伝える人」がいないと、結局江東区でも「内陸の方ばかり優先されてる」とかあるいは「湾岸ロープウェイみたいな構想」が出てくるんですよね。湾岸のその意見を代表する人が「人口の比率を考えてもちょっと少なすぎる」んじゃないかというところはあるんでしょうね。「代表されてない意見っていうのは考慮されない」という話です。

前も話したかもしれませんけど、やはり坪250-350くらいのタワーマンションだと、住民の多くは「高収入といえど勤め人」なんですよね。他エリアのように「余裕と地縁を持っている人が出馬して現地の利益代表として議会で発言してく」という段階を踏むのはなかなか勇気がいる、と(あかいさんには表立って反応しませんでしたが、豊洲一円を基盤とする方は何人かいるんですよ!)。


さて、あかいさんとほぼ台本なしにしゃべってきたのですが、こう「湾岸エリア論」になっていったのは意外でした。

たまにはこういう話もいいんじゃないかな。他の人だと話さないと思って。

湾岸タワマンの今後、のらえもんの今後。

最後になりましたが、「のらえもんアカウントの今後」について話してもいいですか?

のらえもんはあくまでもブログ執筆やTwitterのためにある仮想キャラクターで、「中の人である僕」は自分の中では分離してるんですよ。しかしこの「のらえもんという仮想匿名アカウント」が大きくなるにつれて、さて今後どうすればいいのかなぁというのは最近の悩みですね。

思ったより大きくなりすぎちゃったんだw

良くも悪くもわたしのブログは、「新築マンションの紹介」、「湾岸エリアの応援隊」この2つの大きな柱でできてきたのですが、湾岸エリアで新規供給マンションが少なくなり、一方で私のブログを読んでから湾岸エリアに住み着いたという人が軽く1万人を超えているわけで。先ほど述べたように、湾岸エリア住民も「そろそろ足場を踏み固める時期」、もう少し経てば「次の世代にどうやって橋渡しをしていくんだ」と、今後を真剣に考えるものがありますね。

「真剣に考えてる」っていうのはどういう方向性ですか?


のらえもんブログとアカウントも10年目を境にそろそろ変わる必要がある(のらえもん)


んー、ぼんやりと考えているのは「のらえもん総研」みたいのを作って「湾岸エリアこういう風にあるべき」みたいな提言をするアカウントに成長していくとか。提言にとどまらずお手伝いしていくとか。「湾岸エリアのタワーマンションは維持が不可能だ」っていうヤフーニュースとヤフコメの論調が世論なんでしょうけど、「いやそうじゃねぇぞ」と。

湾岸タワーマンションを維持可能なものにして、次の世代にどうつなげていくのか。有識者アカウントと水面下では議論しています。

「湾岸マンション」とか「湾岸の市況」とかから一歩離れた、もっと幅広い面を扱っていく、「のらえもんver.2.0」みたいなものですかね。

そろそろこのアカウントを10年やってきて、私自身も年を取ったな、と(笑)なにか湾岸エリアへの応援とか恩返しとか、匿名を超えてそういうのができればいいですね。

次回の対談 は・・・

(のらえもん)思った以上に深い話になりました。思い出したくもないあの震災直後の3/15に私はお台場に行ってみたのを思い出します。人はだれもおらず、街はショック死状態でした。今はオリンピックが決まり(コロナで延期したけど)、東京湾岸エリアはいま最高潮を迎えています。行政・デベロッパーが作った「余白の無い街」がこれからどうやって歴史を作っていくのか。のらえもんも少し考えなくてはなりません。のせられてちょっと余計なことをしゃべってしまったかも。それではスムログ次回対談をお楽しみに!

対談に出てきた物件の情報はこちら

対談に出てきた物件の掲示板

最後に

スムログでは、今後取り上げて欲しい座談会・対談のネタを随時募集していますので、「スムログメンバーへの質問やお便り」からお願いいたします。

過去の座談会/対談

バックナンバーはこちらから
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