新築プレミアムって本当にある?築浅中古マンション高くない?

のらえもんです、おそれいります。
こんなメールが来たので私がお答えさせていただきます。

−−−
差出人: いんらい
新築プレミアムの実際について

1年以内に住宅購入の検討をしているものです。(30代後半、妻、幼稚園以下 2名、3LDKマンション想定)
いつも楽しく拝見させていただいております。
常々個人的に疑問に思っているので質問させていただきました。
よく新築マンションが高騰しており買った瞬間に新築プレミアムは10%以上、吹き飛ぶ。
という話を目にしますので新古品である築3年目ぐらいのものがねらい目かと思い、
検索サイトを日々閲覧しておりますが、
正直新築時より高値で出されている方ばかりで、
新築プレミアム無いので市場より10百万円安く購入できそう、
みたいなのを期待していた身としてはがっかりしています。
全部高いじゃん、と。
研究不足の甘々の甘ちゃんであることは承知しておりますが、
これは一体どういった現象なのでしょうか?
検索サイトの価格はほぼチャレンジ価格となっており、
まだまだネゴの余地があるということなのでしょうか?
出物の物件は出ているけど一瞬で消えており、チャレンジ価格のものしかサイトに出ていない?のでしょうか?
正直、1件たりとも「おお割安!!」というものを見つけたことがないです。。。

苦情ではなく素朴な疑問ですのでご解説いただけますと幸いです。
−−−

ふむふむ、なるほどですねー。

まずは新築プレミアムについてご説明させていただきますと:
新築マンション価格=築5年目の中古になったときの時価+坪4万円✕5年+「新築プレミアム」

マンションは1年あたり坪4万円づつ減価していく(by沖有人大先生理論)ので、この補正をかけた上で、更に新築時に高かった分を新築プレミアムといいます。昔は2割、今は1割くらいと言われてますね。

「マーケット見ると新築プレミアムなんてないじゃん!築浅マンションは新築価格より高く売り出しているし、なんで!」

うん、お気持ちはよくわかります。でもね、新築価格なんて入居した後はただの記号です。中古マンションマーケットは常に時価。その価格で一人手を挙げてくれるならそれで良いのです。そのため、売主は焦っていない限り、取引が成立するかギリギリの価格で売り出してみます。

 

理由1:「首都圏マンションの価格水位が全体的に上がっている」

都県地域別 中古マンションの成約㎡単価 レインズ季報マーケットウォッチ令和2年4-6月度


まずはこちらをご覧ください。2017年第2四半期から2020年第二四半期を比較すると、中古マンションの成約平米単価は東京都区部は上がっています。その他のエリアも横ばいです。

その一方で、2017年からこ3年間で成約したマンションの平均築年数は20.61年→22.63年と、2年分上がっているわけです。

都県地域別 中古マンションの成約・新築登録年数の推移 レインズ季報マーケットウォッチ令和2年4-6月度


つまり、2017年から平均2年分古くなったのに、平米単価が下がっていません。

沖式減価・1年あたり坪4万円/年は依然としてあるかもしれませんが、中古マンション全体の価格水位が高まっているので、おっしゃる通り「築浅マンションは、中古なのに新築時より高い!」ということになるのです。

 

理由2「マンションに適する場所からマンションは建っていくため、近隣に立地が劣る新築マンションが建つと相対的に立地に優れる中古マンションに一定の需要が生まれる」

マンションというものはまとまった空き地がないと建てられません。最近できた大規模マンションの場合、もうこの2択のどちらかです。
1:元々大きな敷地があった、例えば国や地方公共団体の払い下げやオフィス、工場跡地など
2:木密解消や商店街再生など、区画全体の再開発案件

特に2は、立地は良いのですが再開発をまとめるための時間とコストがかかります。このため、再開発の新築マンションはとかく高くなりがちです。もしエリア内で相当高い新築マンションが出現すると、周辺の中古マンションへ目が行きます。

1の場合ですと、土地の入手方法によっては土地原価が安くなるかもしれませんが、立地は相対的に不利なことが多いです(適地からマンションになってるため)。このため、新築マンションとの比較でエリア内の中古マンションが見直されます。

ということで、大型の新築マンションが建設されると、周辺のマンションの需要が引き上がるのです。市場メカニズムなのでしょうがありません。



なお、ひとつだけ希望を述べるとすると、おっしゃる通り中古マンションの価格は売主の言い値であり、成約価格ではありません。最初の売り出し価格はチャレンジすることも多く、当初価格より平均8%値段が下がったところで、成約するというデータを見たことがあります(すいません、このデータの出典元を失念しました)。

なお、最新の東京23区の価格改定シェアと値下げ率についてはこちらのレポートをご覧ください。
https://www.nomu.com/mansion/library/trend/report/tokyo_share.html

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1 個のコメント

  • インライ より:

    御礼

    のらえもんさん、丁寧な解説ありがとうございました。
    ドル円の為替レートが日米金利差で完全に説明が出来ないように、
    マンション価格も複雑な要因が絡み合って動いているわけですね。

    でも事実として下がってないなら新築プレミアムなんかに躊躇しなくても!
    という考えも浮かびましたが、マーケット全体が上昇傾向にあるのが前提で、
    さらにそこに個別の立地背景が絡むとなると全く何が起こるのかわからないわけでして、
    やっぱりそうなると基本に立ち返って新築プレミアムの部分はリスク(対価?)として、
    認識しておくのが大きく外さない・後悔しないコツとなるのでしょうね。

    おたよりを取り上げていただいただけでうれしかったです。(笑)
    ありがとうございます。

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