第192回 きれいに使えば我が家は高く売れる。新時代到来間近か?

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このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

筆者の長期予想の中に、「新築はやがてなくなる」というものがあります。

全くなくなるわけでなく、大幅に減るということですが、今でも「〇〇地区では5年ぶりの供給です」などという例は枚挙に暇がありません。そうした地域は今後ますます増えるということになると考えています。

理由は二つあります。

ひとつは家余り時代になりつつあるからです。空き家が社会問題になりつつあることでお分かりいただけるように、数だけならもう十分です。

空き家問題は一戸建てのことと思われがちですが、マンションでも空き家が増えつつあるようです。

 

勿論、空き家発生率は地域によって大きく異なるのであって、地域によっては家が足らないという状況がないわけではありません。しかし、東京23区全体など広域では不足があるとは考えにくいのです。

 

二つ目はマンション用地がないからです。マンションを建てたくても適当な土地は残っていないのです。

勿論、例えば木造密集地などでは再開発計画によって適地が発生しますし、古い社建物が建替えられて分譲マンションになるなどのことも今後も続いて行くに違いありません。

しかし、その数は極めて少ないと考えられます。

●家は中古が当たり前になる

以上のような理由から、新築マンションの数は長期的に見て減るだろうと思うのです。最近数年の新規発売戸数は年間35,000戸余(首都圏全体)ですが、これはひところに比べて半分、非常に少なくなったのです。

最近の市場規模(需要)は少なく見ても40,000なので、不足状態が続いています。

品物が少ないために、希望する条件の新築マンションがなかなか見つからない状況にありますが、今後はますます減って行く可能性が高いと考えます。もっとも、人口が減って行くことで、重要も減ればバランスすることも考えられますが、23区などの限定エリアでは人口減は緩やかと予測されいますから、やはり需要が大きく減少してしまうことはないと思うのです。

 

●新築志向が根強い国民であるが・・・

日本人には新築志向が強い国民と言われています。理由はともかく、新築マンションは気持ちがいいという声が多いのは確かです。その実態は、中古マンションは売りづらく、常時大量の在庫を抱えています。このため、新築マンションとの価格差が大きいというデータとなって表れています。

しかし、その新築が欲しくても売り物がない。しかたないから中古を買ってリフォームして住もう。そんなふうに考える人が徐々に増えているようです。

古いマンションを買ってリフォームを楽しむ人、あるいはリノベーション物件に惹かれる人の様子が各種メディアで取り上げられる機会も増えています。

中古の取引件数は、2017年には新築を超えたそうです。

 

こうした動きを見ると、遠くない将来、中古マンションが市場の中で大きなシェアを占めるようになるのかもしれない。そんな気がします。

 

●「高く売るコツ」の本が流行する

中古マンション人気が高くなれば、当然のことながら価格も高くなることが期待できます。しかし、高く売れるという傾向があったとしても、不動産はあくまで個別の条件によって価格は決まるもので、どうしても格差ができてしまいます。

 

そこで、既にときどき発刊される「中古マンションの売り方ノウハウ」本が今後は多数出版されることになるだろうと予想できますし、インターネットでも様々な「売却の際に役立つサイト」が生まれています。

これらの動きは高く売るコツを伝授する本やブログなどが流行することを予感させます。

 

●高く売るには綺麗に使うことだが・・・

自宅マンションを高く売るには、室内が魅力的だけでは足りません。なぜなら、中古マンションを購入しようかという人は、リフォームする意図を持っているので、期待していない場合が多いからです。

 

購入の決断は室内だけではありません。マンション全体の価値も当然吟味します。管理はどうか、共用部のレベルはどうかなどです。高く売るには、マンション全体の価値を上げることが必須になるのです。

とはいえ、一住人、一所有者として共用部に対して何かできるわけではありません。管理に関しては、日ごろから管理組合活動に参加し、多くの所有者に意識を高めてもらうほかありません。時間もかかることでしょう。

また、共用部の広さを変えたり天井高を上げたりもできないでしょう。廊下や外壁などを豪華な仕上げ材に変えるなども困難です。

共用部は、分譲時から立派なマンションでなければならないのかもしれません。

 

結局、中古マンションを高く売るには、せめて室内だけでも見学者に感動を与えるようにすることです。「これだったらリフォームなしで、このままでも住める。リフォーム予算も余った」と喜ばせることに尽きるのです。

 

欧米では、家を高く売るために常にきれいにしておく、自分で修理するほか、壁を塗ったり壁紙を張り替えたりする習慣があるそうです。

新築より中古の取引割合が多いからです。

日本も課題はまだ少なくないですが、いずれは欧米並みになって行くかもしれません。

そんな時代になるかならないかはともかく、自宅を高く売るためには、内見者が喜ぶ姿を想像し、常日頃きれいに使うことを意識して住まうことがコツです。

 

●所有者こそが最高の営業マン

中古マンションの買手は不安心理が強いものです。そうであれば、先ずはその解消に努めればいいということになります。綺麗にすること以外に大事な点はここです。

見えない部分、例えば耐震性や耐久性などの「構造に関する部分」や「省エネ性能」、一見しただけでは分からない「管理サービス」や「上下階・左右からの音」、「環境」などに関して説明することです。

 

と言っても、懸命に説明をしたり、聞かれもしないことにペラペラと喋ったりするのは抵抗があるし、売り急いでいるなどと勘繰られて逆効果になるかもしれないと二の足を踏むはずです。実際その通りでしょう。

 

筆者がお勧めするのは、「資料の整備」という方法です。つまり「販売ツール」を効果的なものにして見学者に見せる(コピーを持ち帰ってもらう)のです。

 

単に「分譲当時のパンフレットを渡す」では不十分だからです。住宅性能評価書なども、形式を見ると分かりにくくて使えません。

 

シンプルに、例えばQ&A式の資料を作成し、パンフレットの中から抜粋した資料と合体させて20ページくらいのクリアファイルに納めるというのはどうでしょうか?

 

手作りの販売資料ですが、タイトルは「新しく所有者になられる方へ」などとしても良いでしょう。

安心して住んでいただけるための資料作りというスタンスですね。キーワードは「不安解消」です。あなたが、買い手であったときのことを思い起こしながら作成するのです。

 

「何故この家族は売却するのだろう。何か問題があるのは?」と、このような疑念も見学者の多くは持っているものです。そうしたことにも軽く触れるといいかもしれません。

 

最後に、今あなたがマンションを将に買おうとしていらっしゃる読者なら、購入時の資料や悩んだ経緯などを書いた記録などを大切に保管しておくことを付言します。5年後か10年後か分かりませんが、売却のときの資料作りにきっと役立つはずです。

 

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