第287回 「修繕積立金と管理費に注目しよう」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

朝日新聞2021年9月12日の記事によれば、管理会社が委託を拒むケースが増えているのだとか。

 

その理由について、同紙では、「管理会社としての採算が取れなくなった」と記しています。管理員の人件費が高くなっているのだそうです。

管理会社も営利企業なので、仕方ない対応であるとしても、住民(管理組合)は困惑しているようです。

 

マンションの管理について考えてみました。

 

「管理費の5万円」は高いか?

主として高級住宅地と言われるエリアの小型マンションのことですが、管理費だけで毎月5万円以上に設定されている物件があります。

 

修繕積立金との合計で7万円、8万円と高額です。この高額な負担をものともしない所有者がいるのも確かです。

 

一方、管理費と修繕積立金の合計で3万円程度のマンションも多数あって、その負担をこれ以上増やしたくないと考える所有者が多いためなのか、築後20年も経過しているのに修繕積立金の増額が行われていない例も少なからずあることに気付きます。

 

管理費が高いのは、人件費の影響と考えられます。管理人一人の人件費を月額平均25万円としたら、25戸のマンションでは1住戸当たり1万円の負担となります。一方、100戸のマンションで管理人が同じ1人なら1住戸当たり2500円ですみます。小型マンションは7500円も高い管理費負担となってしまうことが理解できます。

 

管理費が高いと売りづらいと考える販売現場の営業マンたちは、管理体制を変えてでも管理費を安くしてくれと要望します。 結果として、管理人不在の「巡回管理」という管理体制で出発してしまうマンションも誕生します。

 

一方、販売価格の高い高級マンションでは、管理費の数字を知って高いと抵抗を示す買い手は少ないので、営業マンは管理費の金額より、管理体制の充実を望み、結果的に高額管理費が設定されます。

 

管理費が高騰する?管理費は値上げが難しい?

新聞によれば、最近は管理人の雇用が難しいらしく、人件費を上げざるを得ない状況にあるのだそうです。人件費の高騰を理由に値上げを要望しても受け入れてもらえず、そのマンションの管理を降りる例も増えているのだそうです。

 

管理費を上げるのは容易でないことを窺わせる情報です。

 

管理費は共用部分の維持管理に不可欠な費用なので、所有者の理解はもらえても、節約して値上げを抑えたいという志向も同時に働くのでしょう。値上げは簡単ではないようです。

 

管理費が高過ぎるとの指摘から、一時期、管理会社の交替を目論むケースも続出しましたが、最近は収まったのでしょうか?

 

ともあれ、管理費はマンション所有者にとって不可欠の出費であり、過度の節約は疑問です。

 

しかしながら、購入時に目を向けると、管理費・修繕積立金の固定経費の安いマションを選びたいという購入者心理は理解できますし、高い印象が強ければ購入を避けようとするのも分かります。

 

考えてみましょう。管理費が3万円のマンションを避けて2万円のマンションを選ぶことに、どれほどの意味があるのでしょうか

 

確かに、20年住むと仮定すれば、毎月1万円は240万円も多く出費するということになり、軽視はできません。 しかし、筆者は「良いマンション、価値あるマンションを選べば、売却時にこのくらいの負担は取り戻すことが可能なのです」とお答えしています。

 

修繕積立金の増額はもっと難しい

管理費は、日常の必要不可欠な経費であり、水道光熱費などと同じようなものでなので、増額要請が得心できるとしても、積立金は銀行預金とは違って戻ってくることはないのだから、可能であれば増額はない方がありがたいと考える人も多いのかもしれません。

 

しかし、修繕積立金は将来の出費に備えて蓄えるものであって、欠かせない積み立てですーーーこう説明すると、「理解はできるが、10年か長くても20住むだけなのだから、結局は積立金の恩恵を享受できないのだから、できるだけ少なくして欲しいよね」―――ある人はこう言いました。

 

筆者は、こう切り換えました。

 

「病気したときの医療費負担を軽減するために健康保険があります。筆者などは殆ど病気しないので、健康保険は他人のために払っているようなものと思わないでもありません。でも、それが社会保障というものです」と。

 

マンションの修繕積立金も将来の多額の出費に備えて、コツコツ積み立てておく社会保障のようなものと言えないのでしょうか。

 

修繕積立金が年々上がるのはなぜ?

例外的に積立金を最初から高めに設定し、原則として値上げしないマンションもありますが、大半のマンションは新築当初は安くし、数年おきに段階的に高くしていくのが一般的です。

 

新築分譲時に高くないのは、分譲販売への影響を考慮しているためと考えられます。抵抗を小さくして販売の障害を軽減したいのです。

 

年々上がるのはやむを得ないとしても、中古マンションとなったマンションを売るとき、修繕積立金の高さがネックとなって売りづらいのではないか、このように考える人もあるのは確かです。

 

しかし、自宅マンションの価値を長く維持するための出費は、結局は売却時の価格に影響し、少なくとも下落率を縮小して所有者の利益に返って来るのです。

 

確かに修繕積立金の額を高いと感じる買い手さんも少なくありません。それがネックで買い手が決まらないという例もあるようです。

 

しかし、潤沢な積立金残高は共用部の維持と改善をしやすくするのですから、結局は我に返って来ることになります。

 

修繕積立金の月額を抑えたらどうなるのか?

いうまでもなく、積み上がるスピードが遅くなりますし、必要な時に支出できる金額に足りないということになるかもしれません。

 

足りないときは管理組合総会で借り入れや臨時徴収を決議しなければなりません。しかし、これは簡単なことではありません。購入者(所有者)の財政状態は様々で、懐具合は様々です。年金生活者など、購入時点と比べて様変わりしている所有者もいるはずです。

 

その意味で、積み立て額の増加カーブを抑制しつつ、20年程度で頭打ちにしたいものなのです。

 

修繕積立金の残高不足がマンションの価値を下げる?

マンションの共用部を適宜改修しながら、きれいなマンション、快適な共用部のマンションでありたいと望んでも、肝心の財政の裏付けがないのでは絵に描いた餅です。

 

結局、優先事項と後回しの部分とに分けるほかなくなります。屋上の防水工事や外壁補修などが必須の修繕項目になり、そのほかは先送りされます。

 

後回しされた部分は、何年も放置され、極端な言い方をお許しいただけるなら「無残な姿をさらしたまま」となるのです。典型が、共用廊下の床です。清掃を定期的にしても劣化は覆い隠せず、無残な姿をさらしているものです。

 

ここで具体のマンション名を挙げることはできませんが、30年以上も経過したマンションだというのに、それを感じさせないマンションも実在します。

 

積立金の残高が潤沢なのでしょう。外壁、エントランスとロビーなどが美しいことに加えて、敷地内の植栽がきれいに手入れされていて、シンボル的な大木が建物を包み込むように見事に育ったマンションを見て、維持管理の良いマンションのお手本はこれだと感じられるマンションもあります。

 

その反対のマンションも多く、管理の悪さが年々資産価値を下げて行っていることを知らないのでしょうか?

 

修繕積立金の安いマンションの末路を考えてみると

ときどき修繕積立金の月額が異様に安い中古マンションに遭遇します。中には築30年近いマンションなのに、管理費の半額程度の低い金額に抑えているのです。

 

このようなマンションの場合、建物はどんどん薄汚れ、壊れた設備は放置されて荒れ放題。そんな状態になっていると想像するのは容易です。

 

このようなマンションでは、仮に管理組合の新役員になった人が修繕積立金の値上げを提示しても、高齢の住民の反対にあって値上げができず、やがて廃墟と化していくのです。

 

どうしてこんなことになってしまったのか、これは筆者の想像でしかないのですが、「私は、ここで死ぬまで居続けるつまりです。今さら古い建物をピカピカに磨いてもらわなくても結構。住むのに支障はないのだし、古いままで結構。生活費を切り詰めるようなことは極力やめたい」という声が多いのでしょう。

 

「積み立て金と言ったって、個人が勝手に処分はできないのだ。つまり、出っ放しなのだから、何のメリットもない」・・・ここまで語る人がいるとは思えないものの、腹の底には大差ない考えをしまい込んでいる人がいるのではなかろうか」・・・こんなふうにも思うのです。

 

修繕積立金の安いマンションは、建物の劣化スピードを速め、居住性を悪化させて行くはずです。昨日と今日で差が見えないとしても、5年経ち10年経っていくうちに無残な姿に変わり果てて行くのです。

 

管理の悪いマンションの末路

維持管理の大切さを頭で分かっていても、行動が伴わない人も多いのでしょうか。少なくとも、初めてマンションを買うときは、知識も乏しく、かつ管理の大切さに思いが至らず、結局は管理の悪いマンションを買ってしまったと嘆く人も少なくないのです。

 

維持管理に努めましょうと声を上げてみても、先立つもの(積立金残高)が少ないマンションではどうにもならないのです。

 

結局は、「なすがまま、なるようにしかならない」と諦めるほかないのです。経費を抑えたマンションは、健康管理を放置した身体のようなもので、気付いた時には手遅れなのです。

 

生活には支障がないとしても、見た目の悪さはいかんともしがたく、資産価値は低下して、いざ売却というとき価格の安さにほぞ(臍)を噛むのです。仕事柄、様々なマンションを見て来た筆者は、管理の仕方でこんなにも差が大きくなるのかと実感させられてきました。

 

積み立て金が有効に使われなければ意味はありませんが、積み立て金残高が少ないために適宜・適切な修理・改善ができずに来たマンションの建物価値は劣化するものと承知しておきたいものです。

 

購入時に将来の価値を考えることが肝腎

筆者は「マンションを買うときは、いつか売るときが来るのだから、そのときに高値が付く物件を選択すべき」と主張し続けていますが、高値が付くマンションの条件のひとつとして、「建物の維持管理の良いもの」を挙げます。

 

管理の良さを見学に行って、たちどころに分かるというほど単純ではないものの、誰もが分かるのは見た目です。ぱっと見に分からないのは、財政状態です。

 

購入時にこれに目を向けるなら、営業担当に尋ねるほかありません。管理会社に問い合わせして資料を取り寄せてもらうのです。そうして、把握すべきは何より積立金残高が潤沢か否かです。

 

大規模修繕を実施するには1戸平均で100~150万円が必要と言われています。100戸なら、1億円~1億5000万円の残高があれば良いことになります。もっとも、直近で大規模修繕工事をしていれば残高は大幅に減っている可能性もありますし、逆に築年数が新しく、まだ十分に貯まっていない場合もあるので、判断は簡単ではないのですが。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。

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