第282回「損しないための究極のマンション選び」~第5部

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。


シリーズ第5回のテーマは「値下がりマンションで損しないために」です

マンション購入にあたっては、将来リセールするときの価値を購入時に想定する、若しくは考慮しておくということが大事です。いつなんどき、売却の必要が生じるか分からないからです。

 

そのとき、できるだけスムーズに、少しでも高く売りたいと考えるのが普通の感覚であり人情というものです。古くなったマンションが値上がりするなど、初めから考えていないとの反論もあるかもしれませんが、少しでも価値の保存ができる物件を望まない人はいません。

 

将来価値(リセールバリュー:RV)を決定する要素は、①立地条件(利便性と環境)、②スケール(存在感)、③外観・玄関・空間デザイン、④建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、➄ブランド、⑥管理体制です。

 

この中で一番比重が高いのは①の立地条件なのです。立地さえ良ければ建物は何でもいいという単純なものではないのですが、大きな要素であることは確かです。逆に、どんなに素晴らしい建物でも立地条件の悪さを補うことはできないのです。

 

また、稀少価値の高い立地条件かどうかの観点で検討することも大事です。

 

しかし、購入したマンションが購入時の価格より高く売れるような物件を購入できるかは分かりません。個人の事情や背景によっても異なります。

 

通勤の関係で値上がりしそうにない地方都市や郊外都市のマンションを選択せざるを得ない人もあるでしょうし、予算の関係で良い立地条件の高級なマンションを購入することが難しい人もあるはずです。

 

そこで、本稿では値下がり必至と予想できる物件である場合、どこまでが許容範囲なのかを検討して行こうと思います。以下の例は、東京23区の標準的な駅を選んでシミュレーションしたものです。

 

検討STEP(1)自分の家を賃借したと仮定します

○○駅徒歩圏で60㎡前後の新築マンションを5000万円で購入したとします。そして、これを10年後に売却する計画を前提とします。

 

この購入マンションと同等のグレードと広さを持つ賃貸マンションは、管理費込みで20万円が相場とします。

購入したマンションを自分で賃借したと仮定すると、10年間の合計では2400万円の負担(費消)となります。購入せずに同等の賃貸マンションを借りて住んだ場合の支出額ということです。

 

以下、賃借した場合より購入した方が得になるかどうかのシミュレーションをしていきます。

 

検討STEP(2)賃貸VS購入

上記の支出を前提にすると、単純に考えて購入マンションが2400万円値下がりしても損はないことになります。購入時の諸経費や固定資産税、修繕積立金などを10年合計で400万円とすれば、約2000万円までが許容範囲ということになるでしょう。

すなわち、損益分岐点は2000万円です。値下がり限度は、2000÷5000=40%ということになります。

 

ただし、これは現金で購入した場合のことで、ローンを利用する場合は10年分の金利を見ておくことが必要です。

ローン利用額を価格の90%、4500万円とします。これを35年返済にすると、毎月返済額は137,780円となります(固定金利1.5%と高めに設定した場合。2021年現在は1.2%程度)。10年間の金利の合計は、約590万円です。

 

尚、この場合の10年後の残債は3440万円となります。この清算をするには売却代金がこれを超えてくれなければなりません。

仮に3000万円でしか買い手がつかなかったとしたら、値下がり率は40%もの大きな値となりますが、東京都区内でこれほど値下がりする物件は少ないのが現況(=最近10年)です。

~駅別に見た実績データでは、0%~30%くらいの幅がありますが~

 

90%ローンを利用した場合は、現金購入による損益分岐点2000万円から金利負担590万円を差し引いた1410万円が値下がりの許容範囲となります。

 

つまり、5000万円の物件が3590万円まで下がっても損はないということになります。値下がり率は28%です。現金購入の場合の40%と比べると、当然ながら余裕度はかなり狭まりました。このような計算を何百件としてみると、金銭的な損得だけを考えた場合、購入は得策でないという結論になってしまう物件もあることが分かるのです。

 

検討STEP(3)相場の上昇を読む

ところで、中古マンションの価格は、どのようにして決まるものでしょうか? 次に、そのことに触れておくことにします。

 

新築マンションの価格は土地代、建築費、諸経費・利益から成り立っているのに対し、中古マンションは少し事情が違います。

①物件の個別条件 ②周辺の市場動向 ③売主の事情= 中古価格と考えられます。それぞれを詳しく見て行きましょう。

 

①中古価格の変動変動要因・・・物件の個別条件

殆んどの中古住宅は個人が売主ですから、事業として売買を行なっている業者のように、諸経費・利益を最初から見込んでいるわけではありません。また、建物も既に建っていますから、良い点もアラも見えてしまいます。

 

基本的には、立地条件と広さなどによる土地評価額と、築年数や建物グレード、広さなどによる建物評価額の合計、更に管理状態が加味されて中古住宅の価格になっていると考えられます。

 

但し、マンションの場合、土地と建物を別々に評価することはしません

 

②中古価格の変動変動要因・・・市場動向

周辺の新築マンションの発売が多いと、マンションを探している購入希望者が新築に流れるため、中古マンションは値下りしやすくなります。

 

市場動向という視点で付け加えると、周辺だけでなく、首都圏全体、あるいは23区全体の広域で需要が後退しているときも、中古住宅の価格は弱含みとなります。

 

一方、新築・中古ともに売り物が少ないときは、価格は強含みになります。マンションブームなどで、売り出す新築マンションが次々に完売してしまうといった状況のときは、中古マンションも足が早く、思い切った強気の売り出し価格でも、あっという間に買い手が決まってしまいます。

 

③中古価格の変動変動要因・・・売主の事情

新築住宅は予め販売価格が設定されていますが、中古住宅は売り出したあと、購入希望者との交渉で最終的な価格が決まる場合が多くなっています。

 

そのため、売主が何らかの事情で早く売りたいと考えている場合には、かなり安く買えるケースもあります。

買い替えのための売却のケースでは、移転時期の関係で売主が急いでいることがあり、買い手が優位に立てるのです。

 

東京都では、10年前に分譲されたマンションが10年後の2021年の今日、平均して20%以上の値上がりという結果でした。しかし、物件格差は大きく、値下がりしたものも少なくありません。

 

一方、地方都市は首都圏と同じように見ることはできません。それぞれの都市で事情が異なりますが、一般的な地方都市の事情を当てはめると、厳しいものがあります。

そもそも市場規模が小さく、そこへ新築の物件が安く販売され続けると、中古の価格が上がる余地は極めて小さいということになるのです。

 

平均と個別の違いに留意

以上に述べたことは、あくまでエリアごとの概論・総論に過ぎません。マンションという商品は、二つとして同じものがなく、個別の条件や内容がみな異なります。

 

同じ最寄り駅のマンション同士を比較しても、駅までの距離、道路付け、騒音、自然環境、建物の構造、グレード、共用施設・設備の内容、植栽、ブランド、管理サービスなどが異なりますし、同じマンションでも、住戸によって日当たりと眺望、広さ、間取りなどが違ってきます。

 

このような違いを個別要素とすれば、同一エリアであっても価格(価値)が微妙に、また大きく異なるのは当然と言えば当然です。

 

売主・デベロッパーは、エリア相場を考慮して、そこからあまり乖離しない価格で建設・販売しようとはするものの、良いものは高くて当然と考えますし、条件の悪い物件であれば安く建設するように企図します。

 

ライバル物件が駅から徒歩10分にあって5000万円であるとき、我が社の計画は徒歩3分の近さにあるのだから、5500万円でも価値があるだろう(売れるだろう)などと目論むものです。

 

実際には、近い、遠いという距離の要素だけではなく、他の要素も絡んでの比較になり、同じ駅が最寄りであっても、一方は5000万円で、他方が6000万円といった価格差が生まれたりします。

 

建物のグレードやブランドによる価格差も生じるものです。

ライバル物件を意識して、通常よりグレードを上げることもありますし、反対に価格の安さで差をつけたいという意図から、ライバル物件より影響の小さい部分や見えない部分でグレードを落とす例もあります。

 

設備・仕様のグレードを落とさない代わりに、構造や装飾をシンプルにして個性も面白味も何もない外観デザインになっている例も多く見られます。

 

ブランドも軽視できません。

ブランドが価格差を生むのは、大手有名業者が利益を多く取っているということではなく、ブランドにふさわしい建物にしようと、隠れた部分でも厳しい社内基準に沿って建設していることや、見える部分でのグレードの高さなどが反映されるためです。

 

もっとも、ブランドにふさわしくない物件も少なからず存在します。それは、それなりの理由や背景があったと推察できるのですが、具体例は割愛します。

 

さて、このようにして企画されたマンションは、価格は差がないような物件同士でも価値の違いが現われます。また、価値が明らかに高いとしても価格が高過ぎると思われる物件、その反対に割安な物件といったふうに、同じエリア内でもバラつきができるのです。

 

購入方針の立て方がポイント

買ったマンションが値下がりしても、次のように考えれば損とは言えません。考え方の問題ですが、シミュレーションしながらご紹介しましょう。ここでは、15年間住んだ後に転居する場合を想定します。

 

①まず、今後15年間の生活を家族で楽しむ(快適に暮らす)ための買い物であると考えます。

②次に、購入住戸を賃借したと仮定した場合、毎月の賃料はいくらになるか調べます。15万円の家賃が相場としたら、15年間で15万円×15年×12カ月=2700万円の賃料が消える計算です。

③15年後に売却するとき、家賃を払ったと仮定した分の2700万円の値下がりで損得はトントン。それ以下の値下がりで済めば、その差額が儲けになると考えます。もし、購入マンションの価格が4000万円であったとし、15年後に半値の2000万円になったとしても、700万円の儲けが出る理屈です。

 

ただし、これは全額現金で購入した場合の話です。住宅ローンを利用した場合は金利分を差し引くことが必要です。

 

住まいは売らない限り損得は現われない

30年以上も前(1988年以前)にマンションを買った人の多くは、大きな値上がりを体験しました。タイミングや購入した物件・場所によって差はあるものの、短期間に我が家が2倍、3倍になったことで驚いたものです。

 

しかし、現に住んでいる家の値段が何倍になろうと、何の得もなかったのです。むしろ、固定資産税がアップしたことで苦々しく思った人もあったはずです。

 

一方、売却した人は、高値に驚くとともに手にした金額に喜び一杯だったはずです。ただし、その資金でもっと良い住まいを手に入れようとすると、郊外のまだ値上がりの波が及んでいない街へ行くほかにありませんでした。

 

売却した場所の近くは同じように値上がりしていたため、売却して得た金銭に(新たなローンなどで)プラスしなければランクアップした家は買えなかったからです。

 

反対に、バブル期に高額な住まいを購入した人は、その後の極端な値下がりを体験することとなりました。

何かの事情で売りたいとなったとき、現実の厳しさにぶつかりました。売却して得る金銭では住宅ローンの残債を清算できないことを知ったからです。いわゆる追い銭が必須でした。

 

その金額の大きいこと。結局、売却を断念した人も多かったはずです。

これは含み損を抱えてしまったものの、損失を確定しないで済んだというケースです。つまり、値下がりしても、売却しなければ損は表面化しないことを意味します

 

大きく値下がりしたとしても“賃貸”より遥かに価値があるのが“購入”

「資産価値」に注目し、できるだけ損しないマンション選びについて述べても、それを「儚い(はかない)言葉」と受け取る人も少なくないと想像します。なかんずく、地方都市に居住する人はその感が強いことでしょう。

 

地方都市では、そもそも東京のような高いリセールバリュー(売却価格)は期待できないからです。無論、首都圏でも郊外では地方都市並みの売却価格しか期待できない所もあるのです。

 

そこで、高いリセールバリューが期待できない場所で選択する場合の「覚悟」とも言うべき考え方をお伝えしようと思います。

 

10数年経過し、いざ自宅を売ろうかというとき、調べてみたら売るに売れないという事実を突きつけられる場合があります。理由は、売却見込み額の低さもさることながら、残った借金(住宅ローン)が売却額より多いため、銀行との清算にあたっては預貯金を崩して追銭(おいせん)しなければならないからです。

 

住宅ローンは35年の最長で組む人が多いのですが、その場合、例えば15年経過すると、仮に1.5%の固定金利なら、元金はおよそ38%減ります。そのような場合、自宅が50%もダウンしたら売却代金だけでは清算ができないのです。

 

もし、値下がりが35%以下で済めば追い銭は無用ですが、物件によっては微妙なところです。金利が高い場合も、同様に残高が多いので、清算が厳しくなります。

 

10年しか経過していない段階で売却する人も少なくありません。様々な家庭の事情がそうさせるのですが、そのときの住宅ローンの減り方は25%程度(金利が1.5%程度の場合)です。従って、そのときの価格ダウンが20%ほどであれば頭金5%として、それを取り戻すことができますが、売却見込み額が25%ダウンだったら、手元には1銭も残らないということになります。

 

まさか、そこまで下がることはないだろうと高を括っている人は結構多いようで、惚れて買ったというだけでなく、何年か住んで愛着のある我が家ゆえに自己評価を高く見積もりがちなのです。

 

具体的な物件名は控えますが、某調査会社のデータ(リスト)によれば、10年後価格(2019年時点)の騰落率ワースト50位のトップは、何と50.1%ダウン、50位でも38.7%なのです。これは、地方都市の話ではなく、東京都23区内の中古マンションリストなのです。その中には有名ブランド物件も散見されます。

 

売ったとき手元に1銭も残らない状態を想像すると、悲しくてやりきれない――そんな所有者の姿が浮かびます。値下がりしても、損が最小限に留まるマンション選びをしたいものです。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。次は10

日後の予定です。

 

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