マン点流!(回答)欧米では妊婦や子供は4階以上に住んではいけない!?

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「欧米では妊婦や子供は4階以上に住んではいけない法律がある」という話は都市伝説ではないか、という読者からのご質問。

質問:都市伝説では?


誰に答えて欲しいですか?
  • 全員
質問です!
欧米では妊婦や子供は4階以上に住んではいけない法律がある」という話をちょくちょく耳にするのですが、本当にあるのでしょうか?

検索してみても「あるらしい」という記事は沢山でるのですが、具体的な内容が全く見当たらず、都市伝説なのではないか?と勘ぐってしまいます。
でも、意外と信じてる人多いですよね。

発信源は『高層マンション症候群』祥伝社

ネットでググると、たしかに「欧米では妊婦や子供は4階以上に住んではいけない」といった類の情報がいくつもヒットする。でも、ひとつづつ丁寧に確認していくと、どれも似たり寄ったりの文章で、情報源が明記されていないし、大半は孫引き・ひ孫引きだ。

これらの情報の発信源は、2010年に出版された、白石 拓著『高層マンション症候群』祥伝社(2010/12/1)ではないだろうか。同書は10年以上前からそのことに触れているからだ。


具体的には次の文章が該当する。

欧米の高層マンション事情

(前略)そして現在、欧米の高層マンションをめぐる事情はどうなっているか。

スウェーデンでは「高層集合住宅の子どもは病気にかかりやすい」との指摘を受けて、反対キャンペーンが展開され、住宅の低層化が進められた。と同時に、子どものいる家庭は5階以上に住まないように指導されている

フランスでも、73年に高層住宅の建設を禁じる通達が出され、以後建設はストップしたままだ。

(中略)

超高層マンションにおいても、今後の動向は不透明だ。イギリスの例が象徴的で、イギリスでは子育てに悪影響が出るという懸念の広がりに加え、1967年にロンドン郊外の22階建ての高層集合住宅「ロナンーポイントータワー」がガス爆発で1部が崩壊、4名の犠牲者が出た事故も契機となって、高層集合住宅の建設が止まっていた。

ところが、85年にドックランドと呼ばれるロンドン東部の港湾地区が大規模に再開発され、超高層オフィスビルとともに高層集合住宅が建設されて、発展を遂げているのだ。都市において集合住宅が高層化するのはやはり避けられないのか。

とはいえ、そのイギリスでも、子育て世代は4階以上には住まないようにとする制限は続いている

(P24-25/序章 「高層マンション症候群」とは何か)

では、本書に記されている「イギリスでも、子育て世代は4階以上には住まないようにとする制限」の根拠は何なのか?

巻末に「 参考文献」として列挙されていうちの、次の文献ではないかとマン点は推測している。

  •  「ヨーロッパにおける高層集合住宅の持続可能な再生と団地地域の再開発」(財)経済調査会 経済調査研究所、2009年
参考文献
なぜ、断定できないのかと言えば、この文献はネットで閲覧できないし、アマゾンでも販売されておらず、国会図書館に行かないと確認できないからだ。

念のため、ネットで英国のサイトをザっと調べてみたのだが、「子育て世代は4階以上には住まないようにとする制限」は見つけられなかった。

※発見された方は、マン点までお知らせください。

※【追記4月27日】国会図書館で「ヨーロッパにおける高層集合住宅の持続可能な再生と団地地域の再開発」を調べてみたが、「イギリスでも、子育て世代は4階以上には住まないようにとする制限」の類の記載は見当たらなかった。

ヨーロッパにおける高層集合住宅の持続可能な再生と団地地域の再開発(表紙)

都市伝説かどうかはともかく

都市伝説かどうかはともかく、高層マンションと健康との関係について記された海外の論文は多数見かける。

たとえば、オーストラリアのエディスコーワン大学理学部生態系管理センター所長が共著者となっている2019年の論文「高層マンションと都市のメンタルヘルス—歴史的および現代的な見解」が分かりやすい。

※機械翻訳

概要

高層マンションは、長い間、居住者のメンタルヘルスの低下と関連してきました。この論文の目的は、高層ビルと社会福祉の関係、居住者のストレスレベル、およびメンタルヘルスへの影響に関するエビデンスを検討することにより、この関係が必ずしもそうであるかどうかを調べることです。

選択された文献から、高層マンションに住む人々の心理的ストレスとメンタルヘルスの結果の悪さは確かに明らかであり、これは特に貧しい地域のアパートに当てはまります。しかし、先進都市の多くのアパートは裕福な地域(特に緑/青の空間の景色を望むアパート)にあり、高層階の住宅はより高価です。いずれにせよ、高層の生活とメンタルヘルスの結果は社会正義の問題です。

あと、精神衛生問題ではなく、心肺停止が起こったとき、高層階に住むほど「命の危険」高いというカナダの論文もある。

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一級建築士/マンションアナリスト/マンション・チラシ研究家/長寿ブロガー(16年超)

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3 件のコメント

  • 匿名 より:

    スウェーデンについ最近まで、住んでました。ストックホルムでは、日本のタワーマンションのような物件も最近は建築され、友人もそこに住んでます。そのような話は聞いたことないですね。

  • 東アジア帰り より:

    ソウルや香港、シンガポールや上海なんて高層マンションだらけ。というか嫌でもそこに住むしかない状態。つまり東アジアでは、すでに何千万人というレベルのデータがあるのに、そうした懸念する声は皆無です。本当に調べたいなら、十分なデータはそろいますよ。
    でも、高層階の妊婦は流産するとか子どもの発育がよくないといった論文はありません。

    (ちなみに論文といてもランセットやNEJMなどの5大医学誌または国際的な産科学会専門誌に載ったレベルでないと相手にされません)

    もちろん海外でも万一の時に救急車の担架が来るのに時間がかかるという物理的な問題は懸念されてますよ。
    でも、それなら日本では下町の道路幅が狭くて救急車が入れない戸建てのほうが危険なくらいです。

  • 匿名 より:

    イギリスも色々な地域があるので断言はできませんが、
    少なくともロンドンでは高層住宅での子育ては普通に目にしてきました。
    ネットで確認しやすいので、日本の公営住宅に該当するカウンシルハウスに関する規約を読みましたが、そのような規制は一切、書かれていませんね。
    慢性的に住宅不足が社会問題になっているロンドンでそのような規制が
    過去にもあったとは到底、思えません。

    東部地域に限らず10年以上前から、ロンドンは富裕層向けの高層住宅ブームが起きており、テムズ沿いや駅周辺で日本でいうところのタワマンをよく見かけるようになってきていますよ。

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