売却損が出そうなマンションを購入してしまいました。買い替えたい場合、5年間待つべきか?

スムログはいつでもみなさんからのお便りをお待ちしております。ありがとうございます。

しかし、のらえもん宛にはこういうややこしい質問が多いのですが、なぜでしょうかね?
私宛の質問。それは自分が他の人からどう見えているかの鏡、ということで、もうすこし「ややこしくないのらえもん」を2021は目指すことにします。


差出人: 通勤時間100分
誰に答えて欲しいですか?
のらえもん
メッセージ本文:
質問させていただく主旨に明るく精通してそうなのらえもんさんを指名させていただきます。

昨年2LDKの新築マンションを購入し、この春の入居を待ち侘びているところです。
購入を決断した頃は3人家族でしたが、こどもが増えるかわからず、とりあえずどう転んでもいいように資産性の高そうなマンションを選びました。
その点には全く後悔はないのですが、買った直後に妊娠発覚、4人家族になってしまいました。
しばらくは広さに不満はないとは言え、こどもが男女ですから、いずれ3LDKは必須です。
良いマンションに巡り合えたら損切ってでも買い替えようかなと考え始めた矢先、購入から5年以上経過したら(6回目のお正月を迎えたら)損失控除(所得税等との相殺)が出来るという制度を知りました。
選んだマンションも資産性があるとは思いますが、流石にこのご時世、買値以上で売れることはなく、どこで売っても売却損は出ると思います(ここでの損は、ローン残高との比較でなく、単に購入額との比較)。

ですので、5年は我慢しようとは思いますが、マンションも水物、ちょうど良いマンションがちょうど5年後に出るとも限りません。
従って、良いマンションが見つかれば、その段階で買い替えすることも視野に入れていますが、この控除制度での損益額次第では、やはり待つべきとも考えたりして、なかなかに揺らいでいます。

いざと言う時、このあたりの判断を容易にするため、売却時点での損益比較について、ご解説いただけないでしょうか。

マンション例は以下でお願いし、不足があれば仮説を作っていただいて構いません。

購入額は6000万、今売却すると5000万、一年経過毎に売却額は100万づつ低下
建物と土地の評価額はそれぞれ半分
ローンは35年固定で1%

この場合の3年経過時と5年経過時(損益控除が出来る時)の差が知りたいです。

どうかよろしくお願い致します。


最近のマンションでそんなに豪快な売却損が出るようなマンション…ありましたっけ?あるかもしれませんね。特にオプションてんこ盛りにした場合は。
なお、税務面でのアドバイスは、マンションブロガーにできません!これ注意してくださいよ。もしご相談されるなら、税理士に”お金を払って”相談しましょう。

さて、読者の皆さんには「購入から5年以上経過したら~」のくだりはわからないと思います。これは、「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」ですね。国税庁のホームページに解説が出ています。特例の適用要件や除外要件はリンク先からご確認ください。今回は、5年経過時はばっちり当てはまっている、ということにします。

私がここから計算するのは、読者の相談回答ではなく、自分で行ったシミュレーションです。

新築入居直後に売却した場合5000万円
3年経過時の売却想定額は4700万円
5年経過時の売却想定額は4500万円
取得にかかった経費を100万円、売却にかかる経費を135万円とする

5年経過時の減価償却分を計算すると、自己居住ですから減価償却費は1年あたり0.015で計算します。建物分の価格3000万円×0.015×5年=225万円が減価償却費として計上されます。

譲渡損失を計算すると:
譲渡損失=譲渡金額-(購入金額-減価償却費+取得費および譲渡費用)
=4500-(6000-225+100+135)=1510万円となります。

5年後に4500万円で売った後にマイホームを買い替えた場合、1510万円は売却した年から3年かけて所得から差っ引くことができます。5年後の所得が800万円、それが続くとすると、売却した年の所得は0に、翌年の所得は90万円となります。つまり売った年は全額源泉徴収分の所得税が帰ってきますし、翌年の節税効果も大きいです。ざっくり2年間で100万円前後の節税効果があると計算できます。

さて、3年間、5年間住んだ場合の残債の減り方もチェックしましょう。

6000万円の物件を頭金1割で住宅ローン5400万円スタートの35年固定1%で借りていた場合、
3年経過時の残債額は5007万円
5年経過時の残債額は4739万円
となります。どちらも現在価値よりも住宅ローンの残債が多い状態つまり「残債割れ」していますね。この場合は銀行様に自分の財布からお金を出さないと売れません。

3年経過時は、5007万-4700万円-135万円(売却経費)=▲442万円の追い銭が必要なのに対し、
5年経過時は、4739万円-4500万円-135万円=▲374万円の追い銭となります。節税効果と合わせて170万円ほど費用が節減されますね。

ということで、上記の机上計算では「5年経過(というよりもお正月を6回迎える)を待った方が良い」ということになりますが…その選択は家族の幸せを産みますかね?

正直、この程度の差だったら、奥さまのご意向を大切にされたらいいんじゃないかと思いますね。奥さまは「せっかく買った新築マンションなのだから我慢しても長く住みたい、ここを売って行き先がもし中古になんてなったりしたら絶対嫌」と思っているかもしれませんしね。家庭内の平和は大事です。

頭のいい方は損得勘定が先に来てしまって、住む人の感情を考えていないことが多くてですね。いままでいろんなパターンを見てきました(遠い目)

「通勤時間100分」さんの助けになれば。それでは!のらえもんでした!!

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マンションアナリスト、ブロガー、インフルエンサー。マンション購入ということに真正面から真剣に考えたブログを足掛け10年も運営しました。忙しくなりすぎて更新が滞りがちですが、スムログも引き続きがんばります、よろしくお願いします!
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1 個のコメント

  • 通勤時間100分 より:

    早速お答えくださってありがとうございました。
    控除出来ると言っても大した金額ではないのですね。(ここでいう大したは購入金額と比べて)
    よいマンションが出れば考えていきたいと思います。ありがとうございました。

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