第256回「増えるリノベ物件のご相談」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

統計を自分で取っているわけではありませんが、リノベマンションが増えていると感じます。少なくとも、筆者に対する「リノベ物件の評価依頼」の件数が増えている実感をがある昨今です。

 

今日は、その背景と要因を考えつつ、リノベマンションで注意しなければならない点について述べたいと思います。

 

増えている背景・業者参入の背景

ご承知のように、中古物件の仲介手数料は法定で、最大6%(+消費税)となっています。

仲介業者は、全国に数十万社も存在しますが、なぜ、こんなに多いかというと、少ない資本で開業ができる業態であること、商品在庫を抱える必要がないためと言われます。

 

競争相手も多いうえ、法定以上の手数料を取ることもできません。しかも、買い手と売り手の間に立って取引を円滑に、また事故がないように行うことは必須であり、1件の取引に複数の業者が絡むことも普通のことです。

 

一般的には、売主側業者と買い手側業者というふうに分かれて取引が進められ、仲介手数料も3%ずつ分け合うのです。

つまり、複数の業者が絡む取引の収益は半分以下になってしまうのです。これは、大手であろうと中小・零細業者であろうと変わりありません。

 

そこで、多くの業者は1件の取引を1社で行えるよう、様々な知恵を絞ります。

ここで、その方法をここで開陳するのは避けますが、少なくとも知名度の高い大手仲介業者が数多く「両手仲介」に成功しているのは確かです。

 

中小・零細業者は、売り手側にしても買い手側にしても取引に絡むのは中々大変そうです。零細業者の多くは、売買の仲介に成功することは1カ月に1件あるかないかというほど、僅かなのです。

 

そこで、1件の取引で多額の利益を上げる方法を模索することになります。その一環として進んでいるのが「リノベーション」ビジネスです。

 

 

価格が高過ぎる

中古マンションを個人所有者から買い取って、内部の仕上げ・設備を新装し、価値を高めて転売する「買取り転売事業」への参入です。

 

この業態は昔から存在しましたが、最近それが増えているのです。背景には業者の意向や目的より、金融情勢が挙げられそうです。すなわち、有力な貸出先探しに苦悩する金融機関は、リスクの少ない貸し出し案件としてリノベーション事業へ加担する姿勢を積極化するようになったのです。

 

住宅なら需要も安定しているし、うまく運べば買い手の住宅ローンの利用もあるかもしれないというわけです。筆者の知人で最近、リノベマンションを買った例があって、経緯をくまなく知ることができましたが、その時も取引成功のカギは「物件の仕入れの巧拙」」にあるという点でした。

 

仕入れ額が高ければ売り値も当然ながら高くなって、販売に成功する確率は低くなります。仲介手数料以上の収益を狙って参入したのに、売れずに価格を下げてしまえば、何をしているか分からないことになってしまうからです。

 

リノベ事業を成功させるカギは仕入れにあり」と気付きます。安く仕入れ、内装のプランニングで付加価値を高め、高値を付けて売るという構図です。

 

ところが、その仕入れが上手く行きません。あるリノベ事業会社(準大手仲介会社)の某氏は言いました。「リノベと言っても、あまり斬新な改造をしてしまうとコストも高くなって売り値も高くしなければなりません。そうすると買い手が中々決まらないのです。だから、コストを抑えてリフォームし、価格を抑えつつ販売にかけるのがコツですね」と。

 

筆者は、その販売商品を見学してみました。しかし、綺麗に使っていた個人宅がキッチンのガスコンロとシンクを交換しただけのリフォーム物件と大差ないなと思いました。無論、キズひとつないので、リフォームしたであろうことは分かりましたが、この内装で見学者は購買意欲が湧くだろうか?そんな疑問を抱きました。

 

筆者は意地悪な質問をしてみました。「これで売れますか?」と、ムッとした担当者は、筆者が身分を明かすと笑いながら答えてくれました。「最後は値引きです。まあ。2割くらいは下げて売っています。まあ、仕入れの失敗ですね」と。

 

リノベ工事でバリューアップしたところを売却時に評価してもらえるか?

リノベマンション事業のカギは仕入れにあるのだなと、そのとき思いました。どんな商売でも同じですが、安直に儲かるビジネスなんて存在しないのだと。

 

リノベーションのデザインや設備で魅力を高めれば、それだけ時間も追加コストも増えてしまいます。そうして設定された高い売り値は市場で受け入れてもらえないのです。

 

結局、行きついた答えは安く仕入れた中古マンションに、少ないコストで高い付加価値を生み出した商品にするという至極当たり前の策にたどり着くのです。

 

結局、安く仕入れるのが最大関門であることに気づきます。しかし、個人のマンションオーナーは安く売りたくないはずです。中には「事情があって至急換金したいから、即金で買い取ってくれるなら屋syく売るよ」といった例がないわけではありませんが、そんな売り手を探すのも容易ではありません。

 

行きついた先は、売りたいが中々買い手が決まらないような条件の良くない物件が仕入れの可能なマンションということになるのです。具体的には、「古~い物件」、「立地条件の悪い物件(バス便など)」となってしまいがちです。

 

筆者にご相談くださる案件は、例外なくこの問題物件です。筆者のレポートの骨子だけを述べれば「遠すぎます。駅から15分などという物件は、たとえバスがあっても不人気で、転売価格は000万円まで下がるでしょう」や「価格が高過ぎます。リフォーム無しの売買価格は直近で000万円ですから、約1000万円も高いですね。このリフォーム内容でプラス1000万円の価値はありません」といったものです。

 

リノベーション工事で付加価値を高めるのは結構なことですが、将来の売却の際には、古くなってしまうので、10年前にリノベーション工事したばかりだから価値がありますよと主張してみても、築年数は10年重なるので、ひどく安値で手放さざるを得ないのです。

 

古いが良いマンションとは?

筆者の揺るぎない信念に、マンションは「立地条件が一番重要。買うときは一番の優先条件とすべき」というものがあります。

 

同じ程度の立地条件なら、言うまでもなく建物価値で差異が生まれますが、立地条件の悪いマンションは、どう着飾ってみても所詮は価値あるマンションになり得ないのです。

 

古いけれど新築に並ぶほどの優良中古マンションを分析すると、やはり立地条件が全く違います。そのあたりではそこだけ光っている「別格の立地」なのです。同駅から同じ5分にあっても片方は平地で、高値のマンションは小高い丘の上にあったりします。それだけではありません。植栽が見事で「まるで林のなかに隠れるように立っている」のです。

 

同じ駅でも、こんなに差があるのかというほど「環境、街なみ、眺望など」が筆舌に尽しがたい差があるのです。アドレスが高級住宅地と同じでも、最寄り駅が同じでも、直近の環境・雰囲気・たたずまいがまるで違う。そのような物件は都区内に多数存在します。

 

郊外都市に高い評価の立地条件のマンションはないのでしょうか?と聞かれると、「ないことはないのですが、極めて珍しい」と答えるほかありません。

 

築年数に注意

リノベマンションは、よほど安く仕入れないとリフォーム工事費用をかけて利益もたっぷり取るというビジネスモデルは成立しません。

 

リノベ業者が行きつく先は、売れずに困っている中古マンション所有者を口説いて安く買い取る道です。売れずに困っている物件とは、「古過ぎるマンション」か「バス便マンション」です。

 

中でも、古過ぎるマンションには注意が必須です。駅から遠くて古い物件などは論外です。

 

古過ぎるマンションとは、具体的には築30年を超えるマンションのことです。中には40年超えるものもありますが、これなどは「耐震性に問題がないとしても避けたい物件のひとつです。

 

築30年のマンションを買った場合、売却時は築後40年、50年になっています。しかも、リフォームしたことの評価は経過年数から殆どゼロと考えなければなりません。

 

日本人には「新しいものを好む国民性」があると筆者は思いますが、家は新築以外考えられないと語る人すらあります。言い換えれば、中古取引に慣れていないのです。家は一生の間に5回も6回も売り買いする品ではないので仕方ない部分もあるのですが、「新品はよい。保証もしっかりしているから安心」という文化が定着しています。

 

これに対して、中古住宅は売り手に悪意がなくても「下手すれば不良品をつかむ可能性があるし、文句の言いようもない」という心配があるのでしょう。

 

最近10年ほどは、新築マンションの供給量が低迷し、買いたくても買うものがないという状況が続いています。分かりやすく言えば、半減しているのです。理由や背景については折に触れて書いていますので、ここでは割愛させていただきますが、買い手から見れば「買いたいが品物がない」状態にあるのです。

 

しかし、スーパーマーケットや百貨店などで品ぞろえを見るのと違い、新築マンションが店頭から姿を消していることに気付きにくいのでしょう。良い物件らしき新築マンションの広告に胸を躍らせて行動する買い手候補者が多い状況は続いています。

 

新築が買えないなら、中古を買おうかという動きは僅かでしかありません。激減した新築需要を吸収しているわけではないのです。中古取引は確かに増えているようですが、新築の落ち込みを補っているとは言えません。

 

古くても良い物件はあるのか?

新築マンションの激減は、勢い中古マンションの中から探すしかない現況にありますが、古くても優良なマンションはないわけではありません。

 

的確な判断ができるならば、中古の売り物は多数あり、選り取り見取りです。ただ、価値ある中古は少ないとも言えるでしょう、それでも、売り物は確かにあるので、その中からうまく選ぶほかありません。

 

古くても良い物件も少なくはないのです。しかし、その目利きが難しいというご意見に反論するのは気が引けます。ここでは、良い中古の選び方の骨格だけお伝えすることにします。

 

既述のように、立地条件だけは妥協しないことが肝腎です。地域の選び方は買い手の勤務先その他の事情があるので、ここで十把一絡げにコメントするわけには行きませんが、どこで買うにしても、駅に近いことをトップに、生活利便性を第一にすることが重要です。

 

築年数は「一応の基準」という意味では20年です。築10年以内の新しいものを望む人が多いので、その種の築浅マンション派競争率が高く価格も強含みです。そんなものには目を向けず、敢えて15年超えを狙う方が良い物件をリーズナブルな価格で買うことができるものです。

 

古い物件を買ったら、転売時に一層古さが増して売りにくいのではないかという心配をする人もありますが、築30年になっても、マンションの余命はたっぷり残っています。心配は要らないのです。

 

三井がお手伝いできることは?

筆者のお手伝いできることは、候補マンションの価値判断、同マンションの将来価格の予測などです。

 

適正価格なのか、手放したいときに売れるか、また将来価格はいくらと見ておいたらいいのか、駅から若干遠くても問題ない条件を備えていると言えるか、このマンションを買って損はしないか、頭金をどのくらい入れるべきか、そもそも立地条件として問題ないのか、無名の企業の分譲らしいが、買って大丈夫か、駅から遠いがバス便が良いので買おうと思うが、大丈夫か・・・等々

 

皆様のお悩み・疑問に全てお答えしています。長年の調査研究は、買い手の皆さんのお役に立つ場面は少なくないことと思います。

 

・・・・・今日はリノベマンションについて語りました。リノベマンションが全てダメと決まっているわけではありませんが、「内装の美しさ」に目を奪われて購買に突き進んでしまうのは危険です。営業マンの中にはすご腕もすくなくありません。また、買い手自身も商品を手に取ってしまう(見てしまう)と、欲しいという気持ちが高揚して冷静さを失う瞬間があります。

 

一旦、その場を離れて高揚感を消し去り、10年先のことまで考えるなど、冷静に検討する時間を取るようにしたいものです。

 

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

http://www.syuppanservice.com

 

 

※別サイトのブログ「マンション購入を考える」もお役立ち情報が満載です

720本以上の記事があります。

https://mituikenta.com

 

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