第66回 高値売却ができても買い替えはできない?

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このブログはマンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介・・・・原則として、毎月5と10の日に投稿しています

 

第64回「マンション価格の高騰で喜ぶ人、喜べない人」の中で、「値上がりした自宅マンションを売却し、追加資金を調達することなく、買い替え計画を前に進める策はいくつか考えられますが、そのお話はおいおいご紹介して行こうと思います」とお約束したので、続きを少し書こうと思います。

 

●高値で売れるときは買いも高いとき

所有マンションが値上りしても、新たに購入するマンションも値上がりしていれば、ダウンサイジングしたり、極端に古い中古物件にしたりしない限り、買い替え計画は不調に終わるのではないかと思います。

 

その昔(昭和40年代・50年代)、多くの都民は先ずはマンションを買い、何年か先に値上がりしたマンションを売って郊外の一戸建てを買うという計画を持ったものでした。

 

それを半信半疑ながらも一般大衆が受け入れて行くのですが、その背景には地価が上昇すればマンションも値上がりすると信じるに足る事実が広まったからです。

 

半信半疑と書いたのは、当時の識者は「土地がないマンションなんて空中を買うようなものだ。資産価値はない。必ず大損する」といった論調が主体だったからです。

 

一戸建てなら建物がぼろになっても最後は土地が残るが、マンションは土地があっても狭いし、大した財産にはならない、、勝手に処分することもできない土地はなきがごとし。それに管理費や駐車料金など余計な費用がかかるから損だ――このようなコメントが新聞紙上に踊っていた時代でした。

 

しかし、時代は進み、地価の高騰が続くと、マンションも次第に高くなり、一方で、中古売買も少しずつ増えて行きました。資産価値が認められるようになると、識者のマンション排斥論はいつの間にか消えてしまいました。同時に郊外の一戸建ても値上がりしたため、さらに庶民は郊外へ押し出され、都心通勤2時間が当たり前の時代となって行ったのです。

 

それでも「庭付き一戸建て」は庶民の夢でしたから、郊外で開発されたニュータウンの分譲住宅は売れに売れました。最寄り駅までバスか、家族の運転するマイカーで行き、そこから最低1回は電車を乗り換えて職場に通うという生活スタイルが一般的でした。

 

通勤が遠すぎることを嫌った人は、中間地点で猫の額と揶揄された狭い敷地の建売住宅を買いました。

 

その後も地価は上がり続けました。こうして、土地は右肩上がりが永遠に続くと信じられて行きました。いわゆる「土地神話」が完結したのです。戦後の1950年くらいからバブル経済が崩壊する1990年ころまでのことです。

 

話を元に戻しましょう。高くなった自宅マンションを売却することで、大きな頭金を手に入れることができましたが、その資金で郊外の土地付き一戸建てを買えたのでしょうか? 狭いマンションから広いマンションへの買い替えもできたでしょうか?

 

断片的な記録から簡単にご紹介すると、500万円で買った2DKのマンションを1000万円で売却し、郊外の新築一戸建てを2000万円で購入したとか、港区の2DKマンションを1000万円で購入した人が2000万円で売却し、杉並区の新築マンション3LDKを3500万円で買ったといった実例がいくつもありました。

 

最初の取得から次の取得までの期間は10年前後あったはずです。その間に、買い手の家庭内事情は様々に変化していました。

 

それを具体的に整理して行きましょう。

 

変化(1):売却代金が頭金を増殖させた

1000万円のマンションを30%の頭金で買った人が10年後に1500万円で売ることができた場合、少なくとも800万円以上の頭金を用意できることとなった

 

変化(2):10年間に新たな貯蓄ができた

高度成長時代、多くのサラリーマンが毎年ベースアップと定期昇給の恩恵を受けたので、住宅ローンの返済をしながらも貯蓄に励むことができた。年平均50万円くらいの積立てができ、10年では500万円くらいの頭金が用意できた

 

変化(3):年収が増えたので資金調達能力が高まった

10年の間に所得は大幅に伸びたという人が多かった時代でした。ベースアップと定期昇給だけではなく、主任から係長、課長と出世して給料が増えました。毎月の返済が最初は50,000円でも苦しかった人が、10年後に10万円の返済もできるように変化していったのです。

 

結局は、売却代金+預貯金+ローンの増額の3点セットによって、当初の1000万円の2DKマンションから、少し遠くなったが夢の庭付き一戸建てに移り住むことができるようになったのです。

 

マンションからマンションへ買い替えた人も構造的には同じですが、一戸建てへの買い替えとの違いは住戸面積の差でしょうか?2DKか3DK(40㎡・50㎡が標準でした)のマンションから、土地150㎡以上、建物100㎡以上の一戸建てに移住した人に対し、マンション派は40㎡か50㎡から70㎡か80㎡の3LDKで妥協したからです。

 

買い替えした人たちの共通点は、頭金も増え、ローンも多額に利用できる力を持ったといえども、大半が元の住まいの近くではなく、場所の妥協、すなわち外周部に押し出されたことでした

 

今も続く有名な経済専門誌が、ある時こんなデータを特集で紹介したことがありました。それは、上場企業の取締役の住所地の移動に関するものでした。正確には覚えていませんが、〇〇年の新任取締役の住所は港区・千代田区・文京区などに集中していたが、10年後の〇〇年は杉並区・世田谷区が最も多いというものでした。

 

つまり、地価上昇が原因となって所得が増えた会社役員でも、都心には住めなくなってしまったと記事は告げたのです。

 

 

●これからの買い替え

マイホームと言えば庭付き一戸建てが相場だった時代から、東京では「マイホームと言えばマンションでしょ」と言って過言でない今日ですが、さらに変化したことは、狭くても便利な都心が良いと考える人が大多数になったことです。

 

特に共働き世帯、なかんずく夫婦とも正規社員の場合は遠くには住みたがりません。

 

子供がいても企業内保育園の利用などによって解消できる恵まれた家庭もあるようです。また、夫婦のどちらかが育児休暇を利用しつつ働き続ける女性も増えています。こうした人は、住み替えるとしても、郊外には行けない・行きたくない人たちに該当します。とするなら、買い替えはできなくなるのでしょうか?先の「買い替え法則」に当てはめて考えてみましょう。

 

買い替え法則とは、売却代金+貯蓄の増加+年収の増額による資金調達能力のアップの3点セットのことですが、それぞれについて検討してみます。

 

➀ 売却代金:都心のマンションの全てが同じ比率で値上がりするわけではありません。相場が急騰すれば、売却する人はみんな値上がりすることでしょうが、物件固有の条件によって格差ができます。また、購入時期が現状のように高値のときに買ってしまうと、売却価格が期待したほどではないという場合もあります。

 

② 貯蓄の増加:これは、それぞれの家庭が計画的に行うべき問題であり、他人が予測できることではありませんが、一般論として言うならば、購入時より世帯年収が増えている可能性が高いので、結構な貯蓄額に達すると考えられます。

 

もちろん、高校・大学の子供が二人いて、二人とも私学に行っているために家計に余裕がないという家庭もあるかもしれません。しかし、共働き世帯も増えている現代は、夫婦ともに出世して、とともに収入が増え、片方の収入には手を付けずに家計が回るようなことになって行く家庭も多いはずです。

 

③ 年収の増額による資金調達能力のアップ:収入は増えたものの、年齢を重ねたために住宅ローンの年限が短くなってしまうことによって資金調達能力はさほど変わらないという家庭もあることでしょう。運が悪く、上がると期待した年収が勤務先の経営不振などによって大して増えなかったということもあるかもしれません。

あるいは、買い替えしたい時期に金利が大きく上昇していたら、調達力は低下してしまいます。

 

このように点検して来ると、勤めている会社の業績によって変わって来る側面もありそうですし、転職して大きく好転する人もあるでしょうが、減収になる場合が多いかもしれません。しかし、全て不確実です。先行きは不透明というほかないのです。

 

ともあれ、家計管理を計画的に行うことで、上記リスクをある程度軽減することはできるはずです。

 

●買い替え先の選び方を考えればいい

ここまでの考察では、都心住まいを続けたい人にとって、将来の買い替えが可能かどうかは、雇用が守られ、定年後までのライフプランを明確に描けるような職にある人以外、何とも言えないという結論になってしまいそうです。

 

しかし、必ずしもそうとも言えません。出社するのは週1日で良いとか、直行直帰の職種につくとか、都心に限らず、都区内に多数の営業所・支店を持つ企業にいれば、また、本社の移転などによって自宅を準郊外に移しても問題ないということになるかもしれません。

 

また、定年間近になっていて、かつ子供が独立していたら、ダウンサイジングという選択ができるかもしれません。

筆者の知人で、住宅ローンを使わずに3LDKから2LDKにダウンサイジングの買い替えをしようとしている人があります。新築マンションを買い、20年住んだ55歳の人で、維持管理が将来も期待できる築30年の中古を買って永住するつもりというのです。

 

また、これは特殊な例かもしれませんが、売らないで買うという策もあります。実例を紹介しましょう。

 

現住所のあるマンションを買ったとき、元の家を売らずに賃貸している人があります。将来は、今の家を賃貸して、賃貸中のマンションに戻るというのです。賃貸中のマンションは、子供の成長に伴って手狭になったので新たに今のマンションを買ったそうですが、その間に2軒目を買えるだけの資金調達能力を身に着けたのでしょう。

 

どちらも駅近の、賃貸もしやすいマンションでした。賃貸中の住まいが空き次第、引っ越しするのだそうです。定年後も片方のローンは残るそうですが、賃貸収入でお釣りが出るとかで、定年後8年ほどで完済するので、それ以降は毎月お小遣いが入ると喜んでいます。

 

もちろん、定年とともに退職金がもらえるはずなので、それで繰り上げ返済してしまうかもしれないと語ります。それを貯金に回しても、低金利が続いていたらメリットはないからです。退職金を別の運用方法に回す道もないことはないので、まだ決めなくていいだろうとも言いました。

 
  •  *  *  *  *  *  *  *  *
 

年齢を重ねるだけでなく、時が経てば仕事・家庭の事情は変わります。将来の社会・経済もどうなるかは不確実で誰にも分かりません。従って、今から事細かに計画を立てることはできないとも思います。

 

しかし、将棋ではありませんが、家・自分の状態がこうなったらこうする、社会がこう動いたらこうするなどと考えをめぐらし、どう変わっても柔軟に対応できるような道を研究し、複数の策を練っておくことは必要な気がします。

 

・・・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございます

 

 

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