第294回 「しばらく待つという選択」の是非

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

「高くなって手が出ないので、しばらく購入を見合わせるべきか」・・・こんなご質問に筆者はこうお答えしています。「待てば値が下がるとお考えですか?待って得な理由はないですよ」と。

 

以下、その理由を解説してみます。

 

マンション購入の2つのお悩みはこれだ・・・・

マンションを買うべきかどうか考えるときの要素は2つです。それを先ず整理しておきましょう。

①今は待つべきときか、積極的に買いに行くべきときか

ネガティブな気分にある人は、「賃貸の方がいいのかなという気はする」と考えるようです。今は、一切の疑問を抱かずに買い向かう人は少ない。そう見て良いのでしょう。

 

しかし、待って得策かどうかと考えると、それを肯定する理由は見当たりません。大半の買い手層が購入を取りやめてしまえば、売れ残りが激増し、価格は下方修正されることでしょう。個別物件ごとに見て行くと、その兆候もあるようのすが、市場全体が下方修正されて行く兆候があるかというと、答えはノーなのです。

 

価値ある物件、人気物件と言い換えてもよいのですが、人気物件は逆に上方に向かう傾向もあるためです。

 

どちらかと言えば、不人気の物件は時間を置けば安く買うことが可能なのでしょう。しかし、不人気物件を狙うという購入スタンスは、それ自体に問題があるはずで、待って得策という根拠にはなり得ません。

 

加えて、住宅ローンの金利の動向も気になります。先送りして、価格が下がっても、その間に金利が上がったら元も子もありません。待っていれば、一段と低金利で借り入れができるようになるという保証も、無論ありません。

 

②良い買い物が見つからない

良い物件がないという声は度々届きます。新築物件も中古物件も同様です。

新築は、供給数がひと頃より大幅に減っているので、「物件がない」と感じる買い手が感じるのも無理はありません。

 

中古に目を向けても、売り物件が大幅に減っているというわけではありません。市場に出ている数そのものは変わらないのです。それを「物件がない」と感じるとするなら、「良い物件がない」ということなのでしょう。

 

このことに筆者も「そうかもしれない」と思いますし、否定できるデータも持ち合わせていません。中古は、数だけなら十分にあるはずです。しかし、購入者の人気を集める好物件がないのも確かなでしょう。

 

確かに、優良な中古物件は足が早く、店頭から短時間で消えてしまいます。それが繰り返されると、良い物件への遭遇率は低くなり、買い手は「良い物件はないなあ」と感じるのかもしれません。

 

レインズ(東日本不動産流通機構)のデータを見ると、2020年の新規登録件数は、首都圏全体で18万戸もあるのですが、成約戸数は3万5000戸超で、成約率は19%程度しかないのです。

 

また、築年数別の成約率という下記データを見ると、古い物件ほど成約率も低く、新しいものほど人気を集める傾向を示していることが分かります。

 

新規登録中古の成約率(2020年)

築0年~5年・・・・26.3%

築6年~10年・・・36.4%

築11~15年・・・28.0%

築16~20年・・・28.4%

*築21~25年・・・20.7%

*築26~30年・・・14.1%

*築31年以上・・・・12.5%

 

新築マンションが値下がりしない理由

過去を遡れば、首都圏の新築マンション相場が大きく値下がりしたことが二度あります。 1回目はバブル経済が崩壊して以降の1990年代、2度目は2010年代の前半です。

 

バブル後の市況・値下がり過程は割愛しますが、2010年代前半の価格推移を辿っておきます。以下は首都圏全体の平均単価の推移を表します

 

2010年・・・@219万円

2011年・・・@214万円(前年比▲2%)

2012年・・・@213万円(前年比▲1%)

2013年・・・@230万円(前年比+8%)

2014年・・・@235万円(前年比+2%)

2015年・・・@257万円(前年比+9%)

2016年・・・@262万円(前年比+2%)

2017年・・・@284万円(前年比+8%)

2018年・・・@287万円(前年比+1%)

2019年・・・@290万円(前年比+1%)

2020年・・・@306万円(前年比+6%)(2014年比+30%

 

2013年以降の新築マンションが2020年まで8年間も値上がりを続けているのは事実です。売れ行きが好調とは言えない現在も、値上がりは止まる兆しが見えません。

 

市場に出る中古マンションは年々古くなる

中古マンションの市場データを見ると、当然とも言えますが、平均のデータは年々古くなって行きます。2020年の成約データを見ると、築22年超ですが、10年前の2010年は築17年半程度で、平均値は5年弱短縮されました

 

一方、成約でなく売り出しデータを見ると、2020年は約27年、10年前の2010年は築17年余で、その差は10年です。

 

この数値から気付くのは、売り出される中古は年々古くなるが、成約になるのは比較的新しい中古ばかりとなっていることです。

 

これは、日本人の性向として「新しいものが好き」ということを表しているのでしょうし、「古いマンションの品質に不安という心理」を裏付けているとも考えれられます。

 

古いものほど価格も安いが・・・

2020年の成約単価(1㎡当たり)を築年数別に見て行くと、首都圏全体では次のようになっています。

*築0年~5年・・・・約88万円

*築6~10年・・・・・約75万円

*築11~15年・・・約63万円

*築16~20年・・・約57万円

*築21~25年・・・約47万円

*築26~30年・・・約31万円

*築31年以上・・・・約33万円(リノベーション物件が増えているため、平均値が押し上げられている

 

当然と言えば当然なのですが、成約単価を見ると、古い物件ほど安く、築浅の中古ほど高値になっていることが分かります。言い換えると、新しいものほど高値、古いものほど安値で成約していることがデータからも裏付けられています。無論、あくまで平均値ですが・・・・

 

築年別成約単価と登録単価との差異

売り出し価格と実際に成約になる価格との差異に注目してみました。左が成約単価、右が売出し単価です。

 

*築0年~5年・・・・約88万円/108万円(値下がり率:19%

*築6~10年・・・・約75万円/85万円(同上;12%)

*築11~15年・・・約63万円/70万円(同上;10%)

*築16~20年・・・約57万円/66万円(同上;14%)

*築21~25年・・・約47万円/51万円(同上;8%)

*築26~30年・・・約31万円/39万円(同上;21%

*築31年以上・・・・約33万円/44万円(同上;25%

 

築0年~5年物件の乖離が大きいのは、築浅人気にあやかって強気な価格を設定する売り手が多いものの、期待通りに買い手は付かず、最後は値引きする売り手が多いことを表していることになります。

 

築26年以上の古い物件の乖離が大きいのは、リノベーション物件が多く、利幅を大きく取る、すなわち高値売出しの業者が多いため、最終的には値引きして売買が成立していることを窺わせるデータと言えましょう。

 

中古を探すなら

中古物件の探し方、その要点は以下の通りと整理できそうです。

 

①築浅マンションにこだわらないこと

築浅物件は高値・強気の売出し例が多く、実質価値より高値で買うことになりやすいこと、人気ゆえに短時間での結論を求められ、うっかりすればひどく高値で買ってしまう危険がありそうです。

 

先のデータでお分かりの通り強気過ぎる高値購入を避けたいなら、値引き交渉を頑張るほかありませんが、築浅物件は人気が高いので値引き交渉を受け付けないという一面もあります。

 

どうであるなら、築浅物件は諦めて築10年を越える物件に照準を合わせることが賢明です。

 

②築年数は15年程度が良い

古い物件の方が人気薄なので、価格も強気過ぎる設定をしない売り手が多いと考えられます。とはいえ、古過ぎる物件には抵抗を感じる例も少なくないので、ほどほどにしなければならないでしょう。

 

また、建物のクオリティに問題があるわけではないとしても、築20年以内と線を引くことを勧めます。より新しい物件が欲しいという買い手心理を慮って言えば、「築15年」となりそうです。

 

補足しておきますが、マンションの寿命は少なくとも60年はあるので、築20年を選んでも物理的な余命は40年もあるのです。加えて言えば、40年も住み続けることもないはずなので、築20年でも問題はないはずです。

 

足元の新築は高過ぎる。狙うなら竣工済みの売れ残りだ

筆者が中古マンションを勧めるのは、新築マンションが高過ぎるからです。建物スペックを見ると、コストカット策からか、残念な物件が多いことも加わります。

 

昨今、まあまあ優良な物件が高過ぎる価格ゆえに売れ残っているという例も多く見られます。

 

新築を狙うなら、竣工物件を値引き交渉して少しでも安く買うことです。販売状況によって幅はありますが、5~10%の値引きは期待できるはずです。

 

また、条件の良い間取りや階数などが残っていないケースもあるでしょうが、売れ残り物件の足は早くないうえ、頼めば検討時間を与えてくれるはずです。

 

条件設定に問題があるのでは

検討中に、「70㎡・3LDKという条件はひょっとして間違いなのでは?」そう気付くことでしょう。同様に、駅10分以内も見直した方がよいことに気付くでしょう。

 

そうです。予算を変えずに広い物件を探せば、立地条件を変えざる得ないのは当然のことですし、希望地域では60㎡・2LDKになるかもしれません。よしんば70㎡で予算内に収まる住戸があったとしても、所在階は1階や2階の日当たり・眺望に問題がある住戸かもしれません。

 

同様に、希望地域で希望の広さの物件を探せば、最寄り駅から徒歩10分余に条件を緩和しなければならないはずです。

 

中古物件では、築年数の「10年以下の新しいもの」から「築20年以上」に条件変更しなければならないかもしれません。

 

このような条件変更が予想できるなら、最初から条件を緩和、もしくは希望の幅を広めに取っておくことが必須です。条件を見直すという作業は欠かせない・・・そう思いましょう。

 

あとさき考えない選択は避けるべし

筆者が繰り返し述べて来たことのひとつは「マンションは必ず売るときが来る。そのときの売り値を想定しておくことが大事」という点です。

 

「将来、期待する価格で売れる物件なら良し、期待外れになりそうな物件には手を出さない」・・・この基本が大事です。

 

先述の通り、築浅物件は人気ですが、古い物件も買い手がないわけではないのです。ここに紹介したデータは、あくまでマクロの数字です。不動産・マンションの価値は個別物件の条件によって大きく異なりますから、重要なことはマクロの動きを把握しつつ、個別の条件に注目することです。

 

築浅マンションが人気だとしても、高値で掴んでしまえば、売却時の期待値(価格)は予想外に低い結果となって残念な思いをすることになるでしょう。

 

他方、少し古いマンションであることに一抹の不安を抱きながら買ってしまったものが10年先に期待以上の高値で買い手が付き、大喜びするということもあるのです・・・・物件選びは慎重にしたいものです。

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。

 

 

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