第267回 「自用マンションと賃貸用マンション」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

さまざまなタイプのマンションに投資した経験を持っています。その経験を思い起こしながら、マンション投資の功罪についてお話ししようと思います。

 

マンション投資の目的「キャピタルゲイン」

マンションを自宅以外に持つことの意味は、資産形成の一環です。筆者も、投資目的でマンションを買ったことがありました。マンションを自宅以外に持つことの意味を教わり、メリットがあると信じたからです。

 

メリットのひとつは「キャピタルゲイン」でした。買ったマンションが何年か経過して値上がりすれば、それが大きな財産形成になると教わったからです。

 

マンションを買って賃貸し、賃料でローンを払う形にすれば元手は頭金と僅かな諸経費だけで多額な財産を手に入れることができるという甘言に乗ったのです。

 

実際にやってみると、大きく値上がりしたマンションもあったし、反対に大損したマンションもありました。値上がり益を狙うなら、物件の選定が鍵を握るのだと知りました。後述しますが、ワンルームマンション投資は必ず損を被るものだということが深く刻まれました。

 

一方、家族で住むことのできる「ファミリータイプ」のマンションなら、儲かるものも少なくないということを学んだのです。

 

マンション投資の目的「インカムゲイン」

マンションを全額キャッシュで購入した場合なら、賃貸収入は実質として手元に少なくないキャッシュをもたらすことでしょう。その収益を投資額で割った利回り計算すれば、多くのマンションは手金利時代の現在なら、預金利息を大きく上回るはずで、悪くはないと言えます。

 

ところが、マンション投資を考える人の多くはローンを利用します。手許現金を使うとしても僅かで、少なくとも90%以上を借入金で賄おうとします。

従って、毎月の家賃収入はローン返済に充当されることになり、手元に残る収益はゼロに等しいのです。

 

では、何のために買うのでしょうか?答えは簡単です。ローンが完済した暁には家賃収入がそっくり手元に残るので、老後は年金のように安定収入となるというのです。

 

このロジックに偽りはありません。しかし、30年とか35年先の収益をどこまで当てにしていいのでしょうか? ワンルームマンションの家賃は10万円かもしれませんが、それはスタート時点のことで、古くなるに伴って家賃は下がるものです。10万円は30年後5万円に下がってしまうかもしれないのです。

 

たとえ、5万円でもゼロよりはいい。何もしないで毎月5万円の収益があれば、老後の暮らしに役立つ。そう考える人もあるのかもしれません。しかし、デメリットもあることを知っておかなければなりません。

 

生命保険の代わりだという触れ込みも・・・

夫が先立ったとき、残された家族に多額の生命保険金が渡れば、不安なく暮らしていけることでしょう。反対に、多額の借金が残ってしまったのでは死ぬに死ねない、このように考える一家の主は、せめて住宅ローンの返済に困らないようにしなければなりません。

 

無論、貸し付けた金融機関側も返済が滞るようなことがあっては困ります。そこで、昔から「団体信用生命保険」という仕組みを作り、いざというときは残余の貸付け金(ローン残高)が回収できるようにしたのです。

 

投資マンションでも、生命保険が付与されたローンに加入するはずなので、万一のときも、家族に多額の債務は残らないのです。そのうえ、毎月家賃収入が振り込まれることになれば、生活費に回せるので悪くない話です。

 

自用マンションも同じで、賃貸用マンションとともにローン返済に苦しむことはありません。

 

自宅ローンとの重複借入に問題ないのか?

しかしながら、自用のマンションを買うとき、ワンルームマンションを買ったために、ローンが組めないという心配はないのでしょうか?

 

金融機関は、「信用情報センター」に記録された債務者の情報を100%把握しているものです。抜け道はないと見なければなりません。つまり、借金をすべて把握しているので、そのトータルが限度を超えていないかどうかというチェックを抜かりなく行っています。

 

もし、あなたが賃貸マンション住まいでワンルームマンションを買うというときは、自己居住用のマンションを買う際に予算が窮屈になるかもしれない。下手すれば、自用マンションを買えないという事態も想定しなければなりません。

 

既に自用マンションを買っている人はどうなのでしょうか? 所得が高く返済余力があると見なされれば借りることはできるでしょう。しかし、投資用ワンルームマンションを買う意味・メリットはあるかと問われれば、筆者は賛同できないと答えます。その理由は、ワンルーム投資のメリットが大きいと言えないからです。

 

キャピタルゲインを狙えないワンルームマンション

メリットがあるとしたら、いざというときに容易に転売することができて、かつ転売利益が収受できる場合です。それが可能なのは、一般のファミリータイプのマンションだけで、ワンルームマンションには転売利益など期待できないと考えるべきなのです。

 

ワンルームマンションを投資目的で買う人の傾向を見ると、「投資額を少なく抑えてインカムが多いもの」、すなわち「利回りの高いもの」を求めるのです。転売するときは、当然ながら築年数を重ねているので、賃料も下がっているため、利回りは低下しているかもしれません。そのうえ、一段と利回りの高さを求める買い手が多いので、売り手は価格を引き下げざるを得ないのです。

 

住宅ローンの返済が進んでいたとしても、築年数も重ねているので高い家賃を採れる状態にはないはずです。としたら、高値で売却するなどという芸当は100%無理と思わなければなりません。

 

としたら、売却も困難ということになりかねません。つまり、キャピタルゲイン狙いのワンルーム投資などはあり得ないといって過言ではないのです。

 

もうひとつの問題・・・賃借人が途切れたとき

筆者は、学生街と言われる地域にワンルームマンションを持った時期がありますが、切れ間なく賃借人が現われ、賃料が入らずに困ったという事態は免れました。

 

退去することが分かるのは、1か月前なので、そこから募集を開始して、退去と同時に次の借り手を募集しても空室期間はゼロに近い高回転だったと記憶しています。

 

しかし、そうでないことも少なくないと聞きます。清掃だけなら間に合うものの、リフォームすることになれば、数日はかかってしまいます。それで済めばまだしも、繁忙期にぶつかれば1か月の空室期間ができてしまうかもしれません。

 

そんなことがないように、ワンルーム業者が自ら借り上げて家賃を保証する制度を用意していますが、永久保証では無論ありませんし、賃料も安くなってしまいます。いざというときも借り手に困らない人気マンションならいざ知らず、ワンルームマンションで高い人気を誇る物件は、購入金額も高いものです。

 

結局、利回りは特に高いということにはならないはずです。リフォーム代を計算に入れたら、旨味は減ってしまうことでしょう。

 

利回りが低いファミリータイプだが・・・

その点、ファミリータイプのマンション投資なら、インカムゲインの利回りは低いものの、いざ売却というとき多額のキャピタルゲインをもたらしてくれる可能性が高いのです。

 

筆者は投資家ではないものの、さまざまな事情からタイプや地域の違うマンションを同時期に複数所有した経験を持っていますが、ファミリータイプのマンションでは何度か目をみはるほどのキャピタルゲインを得たのです。

 

反対に、ワンルームマンションでは売却損が大きかったことも味わってしまいました。

 

これらの総括から得た持論は、「投資するなら一般ファミリーマンション」ただし、「大都市の人気エリアに限る」、「駅から近い物件がいい」というものです。

 

投資するなら駅近マンション

足元では、在宅ワークの増加で郊外マンションの中に売れ行きを伸ばしている物件もあると聞きますが、それが大きな潮流になってくれれば郊外マンションも人気が出て、価格を押し上げてくれる可能性がゼロではないものの、筆者は否定的です。

 

「貸して良し、売って良し。無論、住んで良し」のマンションは、駅近に限ると筆者は主張します。

大都市・横浜ですら、駅から遠いマンションの未来は明るくないのです。投資であれ、自用マンションであれ、交通便で劣るマンションは避けたいものです。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。次は10日後の予定です。

 

ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

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