第262回 戸建派からの手紙「マンションか一戸建てか」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

「戸建住宅は修繕費かかっても、管理費や駐車場代がかからない分、トータルでマンションより安いです。マンションの資産性なんて所詮は築10年まで、10年以内で売るなら話は別だがそれ以上経つと土地がないマンションの資産性が急激に落ちるし、修繕費も10年目を境に上がります」

 

「戸建は土地がある分、資産性は落ちにくいです。例の●●1丁目の土地相場は120万/坪程度です。つまり、40坪の土地付き戸建を買えば、30,40年がたっても土地分の5000万が残ることになります」

「しかし、ここのマンションは30年後、2000万でも買い手がつかないでしょう。実際近隣の築30年のマンションの相場を調べれば分かります」

 

・・・・・これは筆者が最近会ったご相談者が、戸建て推進派の某氏から届いた手紙を筆者に見せてくれたものです。無論、その一部ですが、これだけを読めば随分と乱暴な意見です。

 

ときどきお目にかかるご相談者の中にも、マンション・戸建ての両方を検討している人がありますが、その人のことを思い起こしながら、記事を書いてみようと思い立ちました。

 

マンションと一戸建ての差異は何だろうか

筆者は、マンション、一戸建て、双方の購入・居住経験者です。ゆえに、その経験も踏まえての所感・持論です、

 

昔、家と言えば「一戸建て」と相場は決まっていたようなものですが、マンションが日本に誕生したのは、マンションという呼び名はなかったものの、昭和初期のことでした。初期のマンションは「西洋長屋」と揶揄され、形態は1オーナーによる貸家だったのです。

 

「同潤会アパート」という集合住宅が東京圏に複数建設されたことをご存知の読者も少なくないと思いますが、これは関東大震災の復興住宅として建設されたもので、今はもう1棟も残っていませんが、有名なのは「代官山アパート」と「青山アパート」でしょうか。

代官山は、超高層マンションに生まれ変わっていますし、青山アパートは「表参道ヒルズ」になりましたから、ご存知の方も少なくないことと思います。

 

戦後、貧しかった日本人が復興と経済発展を遂げる過程で「マイホーム」を志向したのは自然な成り行きでした。当初は庭付き一戸建てでしたが、次第にマンションが増えて行くこととなりました。

 

マンションが一戸建てに代わって庶民のマイホーム願望に応えることになったのは、一戸建て住宅が高値になって手が届かない人が続出したからです。通勤時間をドアツードアで計ったとき、2時間を悠に超えるのが普通になってしまったため、近場で手が届く一戸建ては猫の額ほどの庭しかなかったのです。

 

通勤時間を犠牲にしても庭付きを買いたい人は少なくなかったものの、働き蜂のお父さんは立地優先でマンションに目を向けるようになって行きます。当初は「西洋長屋」と呼ばれ、土地がない家と誤解もされ、「価値はない」などという乱暴な意見まで出ていましたが、分譲マンションの誕生は昭和39年が第1号でした。

初期のころのマンションブランドで知られるのが「秀和レジデンス」です。「秀和株式会社」が、次々に誕生させた「秀和レジデンス」の第1号は、東京オリンピックの年の1964年(昭和39年)3月に建てられた「秀和青山レジデンス」でしたが、その後も、「秀和レジデンス」は都区内の一等地に次々と建設・分譲されました。

 

同社は、業態を変えて今も存続していると聞きますが、マンション分譲の事例はないようです。

 

さて、筆者もマンションデベロッパーに在籍していた関係で、「分譲マンション」を長く見て来ましたし、自ら様々なマンションの開発・分譲に携わりました。 その実務経験と、自身のマンション購入・売却の経験から、一戸建てとの市場価値の差異も研究して来ましたが、「マンションの価値を決定づける最大要因は立地条件」と断言できます。

 

一戸建てですが、近頃は都区内に分譲されている例も少なくないので、立地条件の差はないなどと語る人もあるように聞きますが、つぶさに比較すればマンションが圧倒していることが分かるはずです。

 

それでも一戸建てを選びますか?

あるご相談者が語りました。「土地の面積が70㎡もない3階建ての一戸建てなんて買いたくない」と。

 

買ってしまった人からの相談では、「上に上ったり下に降りたり、1日に何度も往復する生活に耐えられません」などという例もありました。足腰の弱くなった筆者の義母は階段を嫌っていました。

 

一戸建ての良さは、マンションに比べて広いことや、上下に他人宅がないので、生活音を気にしないで暮らせることでしょうが、隣地との距離が接近していて、手を伸ばせば届いてしまいそうな点は気にならないものかと、他人事ながら心配したりもします。

また、大きな声や生活音は聞こえてしまうのではないかと、要らぬ心配すらしてしまいます。

 

邸宅と呼べるような大きな家ならまだしも、敷地が100㎡あるかなしかの建売住宅にどんな魅力があるのでしょうか?筆者の家も五十歩百歩ではあるのですが、幸い、隣家とは程よく距離があってマシかなあなどと言い聞かせています。

 

ご相談者の中には、子沢山の家族もあって、そのような人の場合は狭いマンションではどうにもならないということなのかもしれませんが、一戸建ての資産性には疑問が多いのです。

筆者も、土地代が要らない家だったから建てたものの、今は持て余しているのです。いずれは、マンションに住み替えることになるかもしれないなあと独り言をつぶやいています。

 

大事なことは、いざというときに安値になってしまわないかどうか

筆者の家は、東京から見れば超遠隔地なので売却は無理だろうと半ばあきらめてもいます。建築したときから想定していたことなので落胆することも、売却資金を当てにすることもないのですが、読者の皆さんへお伝えしたいのは、「家は将来の売却を想定して買うべきだ」という点です。

 

マンションの売買での成功と、少ないが失敗もした筆者の経験と市場分析の理論、ご相談者とのやり取り、多数のマンション評価作業、そしてマンション開発の実務経験・販売経験などを通じて、筆者なりの「マンション理論」を構築して来ましたが、少なくとも東京圏では「一戸建ては考えにくい」というほかないのです。

 

ご相談者の30代~40代の人は、大半が永住は考えにくいと語ります。転勤もないので、移住はなさそうだが、子供の教育や、勤務先の将来も絶対安全とは言えないことに加えて、転勤・転属も絶対にないとは言えないので、売却が容易な物件、大儲けしなくていいが大損もしたくないので、この物件(マンション)の将来価値を占って欲しい・・・こんなふうに筆者へのご依頼は続きます。

 

筆者の日常は、こうしたご依頼に応えることですが、マンションでも物件の選択を誤れば大きな損失を被る場合もあるので、短絡的に「一戸建てはダメ、マンションがいい」と言っているわけではないのです。

 

しかし、どちらかと言えば「マンション」です。一戸建てで、売却時の価格が購入時より高くなる例は殆どないはずです。少なくとも、5000万円で買ったマンションと、5000万円で買った建売住宅の10年先、20年先の市場価格を比較したとき、マンションを上回る高値になった一戸建てがあるとは思えないのです。

 

マンション選びも大事なことは立地条件と外観だ

筆者はよく「マンションは部屋を買うのではない。マンション1棟を買うようなものだ」と言います。

 

その意味を賢明な読者ならお分かりのはずですが、マンションは区分所有権を売買するものでありながらも、共用部分もセットされています。言い換えれば、外観も自分のモノ、エントランスもエレベーターも自分のモノ、最上階の展望ルームも自分のモノなのです。

 

ただ、独占できないだけのことで、ルールに従えば自分たちのモノとして使用できるわけです。無論、誰に断ることも要せずに利用できる廊下やエレベーターもあるのはご承知の通りです。

 

こうした点を念頭に置いてみると、「マンションは1室を買うようでも、実は全体を買っている」と気付くのです。「あれが俺のマンションだ」というとき、マンション全体を指して言っても間違いでも過言でもありません。

 

見学に行って、マンションを外から見た瞬間、その威容に圧倒されるか「しょぼい」と感じるかは「月とスッポン」の差です。たとえ、室内が広くて綺麗で設備が良いとしても、外形が貧相であれば購買意欲は湧いて気ないでしょう。

 

そのような低レベルのマンションでは、買い手も付きにくいでしょうし、付いても安値になってしまうはずです。つまり、マンション全体が「誇れる姿をしているかどうか」で価格は大きく変わるのです。

 

無論、マンションの価値を最も大きく左右するのは立地・環境です。建物は経年減価しても場所の価値、すなわち立地・環境は経年減価しないものです。少なくとも、人口が減って、街が大きく衰退して行かない限り、立地・環境は変わりにくいものです。

 

経年優化」というキャッチコピーをご覧になったことがあるでしょうか?これは、三井不動産(レジデンシャル)が広告で使用していた造語ですが、時間をかけて街を発展させる取り組みを表した言葉です。

最も分かりやすいのは「植樹」です、マンションの敷地にたくさんの樹木を植えることで、それらが育てば景観が変わって綺麗な姿を見せるはずだ、そんな思いが「優化」なのでしょう。

 

マンションの外観は、敷地内の植栽を含む外構部分とセットで私たちは捉えるはずです。たとえ、外壁が経年劣化していても、それを覆い隠すように葉を広げた中高木、足元の低木や花壇の花などは、マンションを美しく見せることでしょう。

 

外観とは、コンクリートでできた建物だけを指して言うものではありません。「燦然と輝く」のか「威風堂々」なのか、表現は様々ですが、要は「格好いい我が家」かどうかが大事なのです。

 

大邸宅を計画している方とのご縁は筆者にはありませんから、概ね1億円以下の住宅を東京圏で検討なさりたい方が中心です。そのような買い手さんを念頭に置きながら本ブログを毎回綴っています。

 

今日の記事も、結論は「マンションお勧めの所感」ですが、そのマンションも選び方を誤ると損が大きいものもあることを重ねてお伝えしておきたいと思います。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。次は10日後の予定です。

ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

http://www.syuppanservice.com

 

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