第256回 「コロナ禍でマンション選びは変わるか?」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

「流行病・コロナ禍」は世界的な蔓延として私たちの記憶に長く留まるでしょうか?私たちから職を奪い、行動を妨害し、多くの人々に先行きの不安をもたらしたと言えます。

 

こんなときに、マンション購入を検討できる人は幸せなのかもしれません。先行きの不安は、人々の購買姿勢も停滞、つまり様子見姿勢に転じさせているようです。

 

さて、今日はコロナ禍で仕事の仕方が大きく変わってしまった人も少なくない中でマンション選びの方針転換を図る家庭もあるように聞きますが、その流れは大きな潮流なのでしょうか? そんなことを念頭に置きながら、書いてみました。

 

● マンション建築費の見通し

前回の記事で中古マンションと新築マンションの価格の成り立ちについて説明しました。新築マンションはデベロッパーが原価(土地代+建築費)に販売経費を加え、その上に適正利益を乗せて価格を決めるわけですが、現状では下げ余地はほとんどないようです。

 

土地は何年か前に買ったものなので「確定原価」です。建築費は、これから着工するスケジュールならば、現時点の建設会社の動向によって変わりますが、報道でも風聞でもゼネコンの安値受注という動きは見られません。

 

コロナ禍によって、着工を見合わせる例(一般建築物)が出ているとも聞きますが、建築費が大きく下がる傾向につながっているほどではないようです。これから新規に着工される建築費の動向に注視しなければなりませんが、今のところマンションの建築費が下がり始めたという声は聞こえて来ません。

 

新築マンションは完成物件を中心に水面下では僅かながらも値引き販売が増えています。これは、統計に表れにくい価格低下現象です。

統計上の価格も下がる可能性があるとしたら、まだ着工していないマンション、着工はしているが未発売の物件からです。しかし、それも急に下がることはありません。

何故なら、土地代という原価も建築費という原価も確定済みだからです。販売経費を引いて得られる利幅は通常10%程度しかないのがマンション事業ゆえに、下げ幅に大きな余裕はないのです。赤字販売を余儀なくされる状況になったときは、開発を凍結、もしくは着工を中止して時期を待つのが大手マンション販売会社の策でもあります。

建築費が決まっていないケースでも、現状では発注金額(建築費)が下がる可能性は低いので、新築マンションの価格が急落することはありません。

 

工事費が下がるのは、各地の自然災害の復興工事がなくなるか、東京都心の再開発工事が止まることなど、建設業界の繁忙が落ち着くこと、建築資材が値下がりすることなどが条件になるのです。

ときどき、建築資材(鋼材など)がいくらか値下がりしているという報道に触れることもありますが、建築費の45%は労務費(人件費)と言われるだけに、建築費が大きく下がる材料とはなりにくいのです。

労務費の上昇が一服したという声もありますが、人手不足は解消されていないために、建築費が値下がりに転じることにはならないようです。

結局、最後はマンション分譲会社(デベロッパー)が赤字覚悟で価格を下げるしかないのです。しかし、売り出し前から赤字事業を進めるのは企業としてはできないものです。

 

● 用地費の見通し

マンション建設に向く土地は郊外にもありますが、主として都心が狙いです。郊外都市でも駅に近い立地が良いのです。早く言えば利便性の高い土地ですが、そのような用地は例外なく高値です。

 

マンション建設に向く土地は、少なくとも500坪、商業地では300坪以上が必要です。最寄駅からの距離では遠くても徒歩10分未満、無論、環境の良さも大事です。

 

こうした条件に当てはまる売地は少ないもので、デベロッパー間で取り合いになります。 その結果、相場で売り出された土地も高値に誘導されて行きます。特に、23区の人気エリアなどは「引く手数多」なので相場の10%や20%高どころではない高値取引が成立してしまうものです。

 

そもそもマンション用地は希少価値が高いので。どうしても高値がつくのです。安く用地が買えたなどという話は滅多に聞くことがありません。

 

とりわけ用地争奪戦の激しい、都心・準都心の人気エリアは、信じられないほどの高値で競り落とすマンション業者が現れるものです。昔から、好立地の用地は取得が難しいものでしたが、昨今は非常に厳しい状況にあるようです。

 

好立地の用地が安く買えたのは、バブル経済が崩壊した後の1995年頃から2005年頃のことでした。良い立地条件を備えマンション建設に向く用地は例外なく法人所有です。これを、それまでは抱え込むだけだった法人がバブル経済崩壊後一斉に放出したのです。

そのおかげで、マンション業者は選り取り見取り状態でマンション用地を取得できたようです。無論、競争率も低いため取得費も上がることはありませんでした。

 

ところが、次第に優良な用地、マンション建設に向く好条件の用地は取得競争が激化し、取得額は上昇して行きました。結局、マンション価格は高騰し、限界を迎えます。売れ行きの悪化となって2010年頃にはマンションブームが終焉を迎えることとなったのです。

 

● エリア選定の変化

価格の高騰はあっても、根強い需要は残っていました。売れ行きの悪化を解消しようとしてマンションデベロッパーは価格の引き下げに取り組みました。ところが、高騰していた建築費を下げるのは簡単ではありませんでした。

 

直近5年ほどの傾向を短く言うと、郊外から都心へ需要がシフトしていることが明白です。価格高騰と重なり、郊外マンションが売れなくなっていることが、その背景にあると考えられるのです。

郊外にも郊外都市に職場を持つ階層がありますから、需要はあります。しかし、郊外に住んでいて都心の職場に通う人の方が圧倒的に多く、できるだけ職場に近いエリアで買おうとします。

 

かつては、遠距離通勤も厭わない一家の主人は家族のためとして郊外マンションを選択した例が多かったものですが、昨今は夫婦共稼ぎ世帯が増えて、郊外マンションは不人気です

都心に通勤し、家事労働も担う妻の労働過多を軽減するには郊外マンションでは不都合なのです。いわば、妻主導でエリア選定を図る買い手が増え、都心・準都心マンションの人気上昇、郊外マンションの不人気という構図ができてしまったようです。

 

無論、郊外より都心・準都心マンションは高値です。ところが、共稼ぎで高額所得世帯になった共稼ぎ世帯は、マンション価格の高騰にも抵抗が少ないのです。正確に言えば、高いなと感じていても金利の低下も加わって手が届くことに気付き、購入を決断して行くようです。

 

無論、所得の差は夫婦間にもあるので、ローンを組む主体は夫という家庭が多いようですが、優しい夫は、妻の家内労働を助けようとし、通勤時間の短いエリアで物件を選択しようとしています。

 

● 物件価格の変化・新築マンションは?

都心マンション・準都心マンションは高く、先に述べたように下がる気配は見られません。都心では、相変わらず高値の新規分譲例ばかりです。売れ行きは好調からはほど遠いのですが、それでも下がる気配は見られません。

 

今後どうなるかは、先に述べた通り厳しい予測しかできません。高くなると、決まって変化するのは面積の圧縮です。70㎡の3LDKを66㎡に、3LDKの数を減らして55㎡の2LDK中心にする、売りにくい下層階を1DKタイプにして単身需要を狙うといった策も目立っているようです。

 

この方法だけでは焼け石に水のようなものなので、コストを削減するため、様々な方策が現れます。実名は出せませんが、上階の住戸と下層部の住戸とで明らかな差をつけ、設備も仕上げ材もがらりと変えている例すら出ています。

 

少し前から、すっかり定着してしまった例を挙げておくと、天井高(梁下寸法)が低い集会室すら設けず販売用住戸の面積を増やす各戸の玄関脇に置かれるエアコンの室外機を隠す工夫を取りやめる、外観を良く言えばシンプルではあるものの、個性も何もないデザインにしてしまう、間取りも良く言えばシンプルですが、個性的な例が全く影を潜めてしまったといった点が主なものです。

 

● 物件価格の変化・中古マンション?

中古マンションの動きはどうでしょうか? 。

(1)中古マンションの価格は、新築価格に連動します。新築が上昇中のときは、割安な中古に需要が向かいます。すると、やがて中古も値が上がるのです。ところが、最近は新築マンションの価格上昇と同率ではなくなりました。中古の上昇幅が小さいのです。

また、(2)新築の供給が多い・少ないでも中古の価格は変動します。エリア内で新築の供給が少なければ溢れた需要は中古に向かいます。その結果として中古価格は上がるのです。特に希少な面積帯の中古は高い価格がつきます。都心部でよく見られる傾向です。

 

以上はあくまで一般論です。中古マンションの価格は、これに(3)物件固有の条件による加減があります。

最寄り駅からの距離や買い物便、自然環境、日照、眺望、騒音といった要素が加わり、更には物件のブランドや建物の存在感、最後に管理状態などまで評価に響きます。優良な中古は、新築を上回ることさえあるのです。

 

都心の高額マンションや郊外でも人気の駅・街のマンションは、中古になっても新築並みの取引が現実に行なわれていますが、条件の悪い立地・不人気の街の場合は築20年で新築相場の半値以下になってしまうのです。

 

新築の半値と述べましたが、購入価格から半値になってしまうということではありません。要するに、新築相場に対して20年で半値の評価であっても、新築相場が2倍になっていれば、購入価格からは値下がりしない理屈になります。

 

中古マンションも、新築マンションの価格上昇に伴って近年は急上昇しました。同率の値上がり傾向を見せていたのです。ところが、新築の売れ行きが悪化したのと同じに中古も売れなくなりかけました。

そうなったとき、中古の強みは新築と異なり価格の下落余地があります。なにせ、購入価格が安かったのですから。

 

加えて、住宅ローンの返済が進み、残債が減っています。その分での下げ余地は拡大しています。売れなければ、夫婦だけの相談で決断は素早くできます。その結果、家計に大きな問題を引き起こすことなく買い手をみつけることができていると言えましょう。新築マンションの価格は硬直的ですが、中古マンションの価格は柔軟と言えそうです。

 

● 郊外マンションに目を向けるべきなのか?

新型コロナの流行で在宅勤務が増えているようです。これがサラリーマンの通勤事情を変えています。この流れが住宅市場の変化につながるでしょうか?今日の最後に、この問題に少し触れておきます。

 

たまの通勤なら、マイホームを郊外に持っても大きな問題はないと言えるでしょう。今後は夫婦二人とも在宅勤務中心の生活に変わり、かつ長く続くということになるでしょうか?もし、そうなるのであれば、都心・準都心の高値のマンションを狙う必要はないことになります。

 

しかし、リモートワークという働き方は定着するかもしれませんが、それで足りる職場・職種にあって、夫婦ともども郊外マンションでいいとする需要が目立って増えるとは思えないのです。

まだ、断定はできませんが、郊外マンションニーズが著しく増えるということにはならない。筆者はそう思っています。

 

そもそも、新築・中古合わせたマンション購入者は23区合計でも年間に3万家族程度です。その中の何%がリモートワークや在宅勤務に就くのでしょうか?出勤しないで仕事ができる人・職種という人が増えているとしても、その内の何%がこれからマンションを買うのでしょうか?

 

夫はできても、妻は相変わらず通勤しなければならない状況が続くという家庭も少なくないはずです。

 

マンション購入者に限定すると、郊外移住などという潮流が現れるとは思えないのです。

とはいえ、今後の動きを注視していこうと思います。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。次は10日後の予定です。

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