第250回 「安いマンションを探そうとしてはいけない」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

「安くて良い物件はないか」当然の購入者心理なのですが、ときどき迷路に入り込む人と出会います。

今日は、マンション探しで陥りがちな罠について話そうと思います。

 

●安くて良い品(物件)はないか?

マンションに限ったことではありませんが、誰もが、当たり前に「良い品」を得ようと品定めをします。しかし、マンションは一般消費財と異なり、簡単に買い直すことはできませんから、「より良い品」を探そうとするのが常です。

 

賃貸マンションなら、住んでみて不都合なことや不快なことがあっても、住み替えは容易です。だから、さほど深く考えずに決めてしまう人が多いのだと思います。筆者も、借家時代を思い起こすと、あまり深く考えず短時間であっさりと決めていたものです。

 

マイホームは、「買ったら一生そこに住み続けるのだから」という覚悟を持って選択する人も少なくはないようで、慎重に事を運ぼうとしています。 売買契約をしたら、もう後戻りはできない。そんな覚悟も持って選択するのが普通の買い手の態度です。

 

それゆえに、たくさんの品(物件)を見学して比較検討した後にどれかひとつを選びます。その過程は、個人差はあるものの。見学物件数が5件や10件ではなく、見学に行かなかったものも含めると20件も30件もあったかもしれないと語る人は少なくないのです。

 

 

●良いマンションは高値が当然

人間心理として、「買うなら安くて良い品」を求めるのは自然なことですが、筆者はよくこう言います。「良いマンションは高いのです。安くて良いマンションなんてない。そう思いましょう」と。

よく、良い物件があったら紹介して欲しいと言われますが、筆者は「不動産業者でもないし、良いマンションだなと感じた物があっても貴方の条件にピタリの物件ではないはずです。それを次々にご紹介してみてもさほどの意味はないのです」とお断りするのが常です。

第一、マンションの売り情報は公開されているのですから、筆者が稀有な売り物件情報を抱えている道理もありません。

 

安くて良い物件は、中古に限れば、取扱い業者(仲介)からもたらされることは皆無ではありませんが、僥倖(ぎょうこう)と言うべき類です。

 

さて、良い物件は市場に並べた瞬間に買い手候補が現れて、ほどなく売買が成立してしまうもので、立地条件が良く、かつ建物も立派な物件は、高くても買いたいという人が大勢あって、決して「安くて良い物件」ではないのです。

 

まあ、「高いが良いマンション」というべきものなのです。

 

●近くのマンションは良いマンションか?

ときどき、「現住所の近くでマンションが発売されました。子供の学校も変えなくていいので丁度良いと思い、早速、モデルルームを見学に行きました。気に入ったので買いたいと思いましたが、気になることがあって相談します・・・」といったメールがときどき届きます。

 

「マンションを買うのは、当分先のことだと思っていたが、近所なので見学に行ったところ、モデルルームに感動し、想像していた以上に月々の負担が軽いので、買いたいという気持ちが盛り上がった」というお便りです。

 

マンション業者から見れば、「期待していた通りの買い手がやって来たぞ」と大喜びする買い手候補です。少しくらいのネックがあっても、地縁の強みが上回って、契約確率が高い上客というわけです。

 

買い手にとって、「住み慣れた街のマンション」は不安要素も、悩ましい要素も少ないので決断もしやすいのです。

 

しかし、第三者から見れば「やめたほうがいい」マンションかもしれません。将来、そのマンションを売るとき、買い手探しに苦労するかもしれないのです。買手は、きっと近所の人に限られることでしょう。

 

買い手が多数現れるような物件ほど価格は高くなるもので、買い手が少ない物件ほど安値になるのです。中古マンションの価格は、人気投票で決まるようなものです。買手が、遠くからもたくさんやってくるマンションは、ごくごく少数の買い手希望者しか集まらないマンションより高値になるのは道理です。

 

●安くて良いマンションは本当にないのか

ときどき届く郊外マンションの評価依頼の中に、格安物件があります。

しかし、安いのも道理で、たいていがバス便や、郊外の支線の駅が最寄りで、利便性や賑わいからは遠い物件なのです。

 

依頼者は、安値に飛びついて検討を始めますが、懸念もあって悩むのでしょう。そんな事情から背中を押してほしいと筆者を指名するのかもしれませんが、筆者は見事に期待を裏切ります。

 

裏切られた依頼者から、「目が覚めました」とのお便りがあれば休心もしますが、多くは「無しのつぶて」です。落胆しているだろうことは想像が付きますが、これでよかったのかどうかを気に病み、しばらくは筆者のしこりとして残ってしまうのです。

 

依頼者の心情や筆者自身のことは別として、マンション選びで最も大切なことは立地条件ですが、価格が格別に安い物件は例外なく「バス便」か「駅から遠い」立地に問題がある物ばかりです。

 

それでも、そのようなマンションを買って生活する人はあるわけですし、多少の不便はあっても学校も医者も、買い物も何とかなるものです。しかも、価格が安いのですから、生活費も低く抑えられるわけですし、その選択に他人の筆者がとやかく言う権利も文句もないのです。

 

自己責任で購買を決めるのですから、「お好きなように」と言ったら、実も蓋もありません。ご相談メールをくださるということは判断するうえで何らかの迷いがあるからです。だから、筆者に「とても安い良い物件です」とでも言って欲しいと願ったのかもしれません。しかし、残念ながら、筆者はその期待を見事に裏切っているのです。

 

「その物件を買ったら、高い確率で損をしますよ」と「売らずに長く住むつもりなら、賃貸マンションに住むよりはいいのですが・・・」と告げるのが常です。

 

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●中古にある掘り出し物?

中古マンション市場では稀に掘り出しものがあるようです。個人の売主さんの中には、早く買い手を決めたいので、仲介業者の勧めに従って価格を低めにして売り出すことがあるからです。

 

思惑通りに買い手が現れ、買い手候補が値引き要求したとき、売り主はあっさり呑んで、更に安値での売買に進むことがあります。これなどは、掘り出し物に該当する例と言えましょう。

 

中古市場を調査しているとき、飛び抜けて安い成約事例に遭遇することがあります。同じマンションで、価格の安い理由が分からないのです。それが、このケースだったかもしれません。

 

●何年住むかを考えてみよう「3LDK・70㎡の罠に陥らないために」

良い物は高いと覚悟して選ぶときの割り切り法です。

それは10年住めればいい程度の「広さの妥協」です。考えてみてください。

今の住まいは何㎡ですか?仮に50㎡だとしたら、60㎡で十分とは言えませんか?10㎡は6畳ということです。広いとは言えなくても、妥協できる広さではないでしょうか?

 

仮に、子供ができたとして、その子が個室を欲しがるのは何年後でしょうか?10年後、小学校4年生のころと仮定したらどうでしょうか?仮に2LDKを買っておけば、子供部屋を10年は心配しなくていいはずです。言い換えれば、10年先を考えて買うことになるのです。

 

その次の子のことも考えれば、3LDKが必要になるかもしれませんが、できてから考えても遅くないとは言えないでしょうか?

 

言い換えましょう。10年住むことができる広さを前提に選択すればいいのです。最初から70㎡以上の3LDKを望むと、選んではならないマンションを買ってしまう危険がある。筆者はそう言いたいのです。

 

「長い人生、何があるか分からない」そんな時代でもあります。家に縛られてはならない。そう考えると、いつでもすぐ売れるマンション。いつでも買い手が探せるマンション。できたら高値で売れるマンションを買っておきましょうーーー筆者はいつもこう進言します。

 

富裕層で、2軒も3軒も買えるとか、必要なときに必要な家がいつでも買える人もあるようです。サラリーマン層でも2軒目のマンションを買い、元の家は賃貸資産にしている人にもお目にかかります。

 

しかし、多くのサラリーマンは売って買うのですが、選ぶマンションを間違わなければ、東京圏では買い替えは容易です。「70㎡以上」、「80㎡」などといった広さに固執すると、立地条件が二の次になってしまうことが多いものです。立地条件をおろそかにすると、失敗する。そう思って間違いないのです。

 

●高値で売れるマンションを狙ったのだから

無論、売るときのことを最初から考えるより、住んで快適な住まいを買うことに注力すべきだという声も耳にしますが、筆者は与しません。当分は住んで快適なマンションを選びつつ、10年先も見据えるというバランス感覚こそが大事だと思うからです。

 

高値で売れるかどうかは「立地条件」にかかっています。立地条件だけは譲らないと心に決めておきましょう。そうすれば、きっと良い未来が待っているはずです。広さに執着しなければ、立地選定を誤らずにすみます。

 

●新築を諦めれば立地の良い物件が買える

立地優先で探すと新築を諦めなければならないかもしれません。少なくとも何㎡以上は欲しいとしたとき、新築では買っていい物件が見つからないとします。そうであれば、中古を選択肢にするほかありません。

 

その中古も、近年は高値であるとされます。確かに、その傾向が強いことは筆者も否定しません。しかし、中古が新築並みの高値を付けるのは、それだけ需要がある中古、言い換えれば人気のある中古物件だからです。

 

単純な比較で高いと感じる中古も、買い手が多いから、人気があるから、価値を認める人が多いから高値で取引が成立するのです。中古マンションは、買い手が値段を決めているようなものです。高値でも買い手が付くなら、それが妥当な価格であると言って過言ではないのです。

 

筆者はよくこう言います。「新築は売主の原価積み上げ式に決まるのです。土地代、建築費の2大原価と販促費に利益を乗せて分譲価格が決められます。売れそうな価格が先にあって、逆算式に土地代、建築費を想定すると、利益は取れないことが多いので、売り値を高く設定するのが普通です。

 

土地代も建築費も昨今はとても高く、業者は高い分譲価格を承知で売り出しています。それでも強い購買意欲が販売の成功をもたらします。売れるかなあと心配しつつ高値の用地を買収し、高い建築費に目をつぶって建設を進めて行きます。

 

心配しつつも販売活動を開始します。一定の時間をかければ完売します。問題は、その期間です。分譲主は、工事中の段階から販売を開始し、完工の時までに完売できれば、代金の支払いに困ることはありません。しかし、期待通りに販売が進まないときは建築費の支払いに窮します。約束手形払いにしたり、一時的に銀行借り入れを起こしたりしてゼネコンに支払う必要が生じます。

 

そんなことは避けたいので、新築マンションの販売は竣工完売を目標にしています。ところが、最近は竣工時に半分も売れていない例も見られます。値引きしたり、おまけをつけたりしながら販促に努力しますが、昨今は中々売れず、苦慮しているデベロッパーも多いようです。

 

そもそもデベロッパーの事業利益は粗利で高々20%しかないので、値下げ販売も難しく、かといって売って行かなければ存続の危機を招くため、デベロッパーの多くが苦慮しているのです。

 

この先、新築マンションが安値で販売されることはあるのでしょうか?よく問われます。安くするには、①安い用地を仕入れる②建築費を下げるしかありません。しかし、どちらも実現は難しいのです。

 

新築が高値で手が出せないなら、結局、中古マンションから選択するほかないのです。中古の方が選択肢は広く、購買は中古の方が早いのです。

 

●価値ある中古は新築並みに高い?

しかし、優良な中古は新築並みに高いという反論も耳に届きます。そう思うのは何故かを説明することもありますが、具体の物件を提示しなければ理解は困難です。無論、ブログで開陳するわけには行きません。

 

ともあれ、新築より高い価値ある中古もあるのは事実です。何故、中古なのに新築を超えるのでしょう。言うまでもなく、新築より価値があると売り手の多くが認めているわけです。

 

そもそもマンションの寿命は長く、仮に寿命が80年としたら、新築マンションの余命は80年、築20年の中古マンションの余命は60年です。長くとも20年か30年住まうだけなら十分ではありませんか。筆者はよくそう言います。

 

新築と中古の建物を比べると、美しい新築、くたびれた印象の中古といった見た目の差は歴然としていますが、これを「経年劣化」と表現します。価値ある中古マンションの共通点は「古さを感じさせない」があります。

三井不動産は「経年優化」というキャッチフレーズを使っています。

具体的には植栽が大事ということらしく、同社のホームページによれば「人がつくったものの多くは時の経過とともに劣化します。しかし、木々は時の経過とともに育ち、多くの命を育み、人々に安らぎを与え、人と人、人と自然のつながりを生み、温もりのある豊かな環境をつくります。三井不動産グループは、時間とともに熟成する緑あふれる「経年優化」の街づくりを進めています。・・・とあります。

 

三井不動産に限らず、価値あるマンションの多くが敷地内の緑化に力を入れています。その価値が買い手にも通行人にも伝わって来るのは、分譲時から数えれば5年、10年と経過したときです。

 

分譲マンションの設計では、構造や間取り、室内スペックといったことに注力しますが、資産性の観点では敷地内の空間をどうレイアウトするか、どう造園するかといったことが重要です。しかし、その価値が買い手に伝わるのは、早くて入居時です。植栽については、数年たたないと分からないのかもしれません。感動的なレベルをイメージして言えば、10年なのかもしれません。

 

●10年経てば自分の購買力も伸びる

今日の最後は、買い替えは簡単かどうかびついてです。

 

昔と違い、日本をマクロに見れば一人当たりの所得も減って、貧しい国になったという声もありますが、一方で、一部の階層では所得が増えて貧富の格差が広がっているという見方もあります。

 

こうした議論はともかく、筆者が注目するのは、マンションを買う世帯、なかんずく都心・準都心で買う階層の購買力です。いわゆる、ダブルインカム世帯で、夫婦合わせると多くの家庭が年収で1500万円もあることに気付きます。

 

現時点では、そこまで行かない家庭も無論あるのですが、彼らも10年経過すると1500万円、2000万円世帯になることでしょう。

こうした世帯所得の伸びがあるからこそ、スタートは60㎡程度のマイホームに甘んじても、10年もしないうちにステップアップは可能になるのです。

 

条件の良くないマンションを買ってしまわない限り、10年後に「より満足度の高いマンション」へのステップアップは容易なのです。ちなみに、筆者の日常業務のひとつは「将来価格の予測」ですが、この作業をして気付かされるのは、「物件格差が大きい」ということです。10年を経過して同じ時期に売り出された同じ駅を最寄りとするAマンションとBマンションの中古価格の差が100と50になったりする実例を見るにつけ、市場の判断は厳しいものであることを再認識します。

 

分譲時はそこまでの差はなかったのです。まあ、100対80くらいでした。それが10年経過で100対50になってしまったというわけです。

選ぶマンションは前者でなければなりません。選択を誤らないことがマンション購入ではとても大事です。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

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