第228回 「購入マンションの老朽化を考えておく」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

新築マンションの供給が激減してしまいました。業界の事情は次の2点です。

 

①先に売り出した物件の販売が進まないので、新規着工を踏みとどまっている

②用地がなく、仕入れがうまく行かない(売地はあっても価格が高いか立地が悪い)

 

「仕方ない。中古も検討しようか」という買い手も増え、そのために中古も人気ある物件は新築並みに高くなりました。

 

さて、今日はマンションの将来価値についてのお話しです。

 

●毎月4万円も必要な老後のマンション住まい

70歳を過ぎても仕事を続け、一定の収入を得ている人がある一方、定年とともにリタイヤしてしまう人もあります。リタイヤした人の心配は生活費ですが、退職金やそれまでの貯金によって生活に困ることはない人もあります。しかし、そのような人でも、生活費を切り詰めることを考えるときが来ます。

 

生活費で重荷になるのは住宅ローンなので、定年までには全額返済を終わらせる人もあります。それで重荷が軽くなったとしても、マンション住まいの場合は、管理費と修繕積立金が重くのしかかります。

 

マンションの管理費、東京では平均して15,000円かかります。広さや管理体制によって変わるのは言うまでもないですが、80㎡で30,000円といった例は少なくありません。

修繕積立金は、新築時は10,000円未満が多いですが、20年くらい経つと管理費と同じくらいになる計画が多いようです。現時点で築30年を過ぎたマンションでは35,000円、40,000円といった例も珍しくありません。

 

ということは、築後30年以上のマンションを最近購入した人、もしくは購入時が築10年のマンションでも20年住み続けた先には、管理費との合計では毎月30,000~40,000のランニングコストが必須ということになります。

 

一戸建てに住んだら、こんなにかからないのは明らかです。修繕費は一戸建てでもかかるわけですが、マンションの場合、月30,000円として年間36万円、20年で720万円を積み立てたてたとしても、共用部分の修繕にしか使えません。別途、室内の改修・更新費用が必要になるのです。

 

こうしたことを考え併せると、老後のマンション暮らしは損ではないか? そんな疑問の声も聞きます。。

 

●一戸建てとマンションの違いは?

以下は、一戸建てからマンションへ住み替え経験者の感想から、マンションと一戸建ての差を整理したものです。~首都圏の場合~

 

<マンションの良い点>

①近所づきあいがなくラク。濃密な近所付き合いや冠婚葬祭・自警団とか消防団・大掃除等の束縛・煩わしさが無い。

②ゴミ出しが24時間可能なのが嬉しい(そうでないマンションも多いが)

 

③光熱費が安い(冷暖房の効果が良く、省エネだ)

④外から覗かれないのがいい

 

⑤シアタールームやゲストルームなどの共用施設を安価で使用できるのが嬉しい(大型マンションの場合)

⑥水平移動のみで平屋感覚、狭いので行動範囲が必要最低限になり、何をするのもラク(特に掃除)

⑦蚊やハエの来襲が少なく、アリも侵入して来ない(高層の場合)

⑧近所の犬(遠吠え)や猫(発情期の声)による迷惑が無い

 

⑨管理人・コンシェルジュがいるので諸事相談ができる(物件による)

⑩引越し挨拶は殆ど慣例にない=上下両隣戸の住人を知らない(見方によっては、デメリットでもある)

<マンションの良くない点>

①地下駐車場・機械駐車場からクルマを出すのに時間がかかる(屋外平置きのマンションもある)・・・都会では車を持たないライフスタイルが一般化しているが

 

②庭が無いので緑が乏しい(プランターでは制約・限度がある)
③閉塞感がある(開放感がなく、蟄居させられているような感じ)

④風通しが悪く、熱や空気がこもる(目隠しがついているものの廊下を歩く人の気配が気になる)

 

⑤昼間でも北側の部屋は暗いので電気が必要(東西向きならそうでもいない)

 

⑥上下階・左右の音が気になる

 

⑦階段にしてもエレベーターにしても外出が面倒

 

⑧一戸建てと比較すると部屋数、間取り、収納場所に制限があり、スペースに余裕が無い(その方がよくてマンションに移る人もある)

 

⑨防犯、火災予防、子供の問題その他の相談相手や助け合いの絆が無い(3.11地震以降、見直される傾向がある)

 

●マンションの損なところ

一戸建ては管理費も駐車料金も払わなくていいから、マンションより得なのではないかという意見をたまに耳にします。確かに、一戸建てにないマンションの出費はと言えば、駐車場使用料と管理人の人件費、清掃費、エレベーターの維持費などです。これらは余分と言えないこともありません。

 

しかし、一概にはそうとも言い切れません。確かに、一面的に見れば、その通りと言えなくもないのですが、一戸建てにない魅力、例えば高層階から見える景色や、一戸建てには装備しにくい防犯機能、あるいは、木造住宅との比較では、火災に強いというメリットもありますね。耐久性の違いもあるでしょう。

 

こうしたマンションのメリットは、一戸建てのメリットを凌ぐものです。別の言い方をすると、マンションと一戸建ては、それぞれに長所、短所があるということでしょう。経済的な損得では測れないものがあり、結論はその人の人生観によるとしか言いようがありません。

 

一戸建てにも維持管理費はかかります。ただ、手入れや改装を放置する自由が一戸建てにはありますね。

一戸建ての所有者が手入れや改装を放置したために建物が傷み、老朽化が進んだとして、困るのは所有者だけと言って過言ではありませんが、マンションではそういうわけにいきません。

 

いずれにせよ、マンションと一戸建てを同一レベルで比較し、どちらがトクかなどと論議すること自体がナンセンスとも言えるでしょう。

 

●老朽化したマンションの問題点は?

マンションは、築40年を過ぎたあたりから補修、補修の連続で、住みづらい状態が続いたりすると聞きます。

しかも、修繕積立金が毎月重くのしかかるのです。せめて管理費だけでも負担が消えないかと感じる人もあるのではないでしょうか。

 

そうなると、「晩年は古いマンションに住み続けるより一戸建てが良い」という考え方も浮かんで来ます。

 

<マンションは古くなると高い修繕費が問題になる>

新築マンションを購入した場合、最初は安い修繕積立金も、5年毎に値上げされ、15年目からは管理費の1.5倍ほど(80㎡クラスなら管理費との合計で毎月40,000円)にもなってしまうという例が少なくありません。

 

新築マンションの販売時に「長期修繕計画書」が用意されるのが一般化しており、大抵の場合、30年先まで見越して金額が明示されています。しかし、その先は分かりません。50年先には、一体いくらになってしまうのでしょうか?

 

60歳で新築のマンションを購入したような場合、90歳でも築後30年ですから問題はないかもしれませんが、40歳くらいで築20年の物件を永住目的で購入したような場合、70歳のとき我が家は築50年を迎えます。としたら、既に管理費の1.5倍か2.0.倍になった修繕費の更なる高額積み立てを覚悟する必要があるかもしれません。

 

一戸建ての場合、古くなると家は傾き、雨漏りが発生し、建具の変形がおき、すき間風が入り込むものという常識があります。そこで、あちこち修繕しながら建て替えを先延ばしして50年くらい住み続けるわけです。それでも、修繕のための出費は発生します。時には多額の費用がかかります。

 

これは、マンションでも同じです。木造と違って、すき間風は入らないでしょうし、よほど強い地震に何度も遭遇しなければ傾くこともありません。しかし、給排水管や建具、床材、壁紙などに「詰まり」や「変形、破損」などが同じように起きます。

 

いずれにせよ、必ず修理費用がかかる。それが家というものです。しかし、一戸建てにはないエレベーターや共用玄関のエンジンドア、パーキングシステムなどの機械の故障などはマンションならではのものです。

 

もっとも、一戸建ても2階建ての場合(大抵そうですが)、階段の昇り降りが困難になったら、階段の手すりに取り付けて使うホームエスカレーターの新設に多額の費用がかかったり、維持費を要したりすることもあります。

 

<建て替えが難しいマンション>

マンションは築後50年ともなると、建て替えが話題に上ってくるかもしれません。

 

そのとき、「工事中どこかに仮住まいし、完成したら戻って来る。そんなのは面倒だ。いろいろ不具合が出ていることは承知しているが、このままでも十分住める。私はもう自分の寿命も終わりが近づいているので、静かに暮らしたい」。そう言って建て替え計画に反対する人もあるそうです。

 

入居者の中には、中古マンションとして購入して来た若い世帯もいて、建て替えに賛成する人もあります。しかし、建て替えには当然ながら多額の費用がかかります。これは積み立てられていませんし、入居者個々のふところ具合はそれぞれに異なります。このため、費用の捻出が最大の課題に浮上します。

 

何回も住人同士の話し合いが設けられ、合意を得るのに10年も15年もかかるのが普通です。一戸建てなら自分の意思だけで全てを決められるのに、マンションは何と煩わしいことか。でも、いつかそんな日がやって来るのです。

 

建て替え問題で話し合いが繰り返される途中、着工に至らないまま他界する人も出て来ます。それでも、死ぬ直前まで快適な暮らしができるのであればいいのですが、建物の不具合が多く、ストレスの溜まる日々を送ることにならないとも限りません。

 

としたら、晩年の煩わしい問題に巻き込まれないうちに逃げ出した方が賢いかもしれません。自分の意思だけで永住できる一戸建てへの転居や、新しいマンションへの買い替えを決断することが必要になるかもしれないということです。

 

①高齢者専用住宅や、②まだ新しいマンション、③自分の意思だけでどうにでもなる一戸建て――この三つが終の棲家の選択肢ということでしょうか。

 

 

●老後も都心?それとも郊外?

マンションと一戸建ては、それぞれに長所、短所があります。従って、経済的な損得では測れないものがあり、結論は先述の通り、その人の人生観によるとしか言いようがないのです。

 

高齢者ほど、都心に住んだ方が何かと利点が多いということも明らかです。都心なら否応なくマンション住まいという常識?があるようですが、それは一戸建ての価格が高過ぎるからです。

しかし、広い庭付き一戸建てを望まなければ、敷地は狭くても、土地代だけの安い中古住宅を選択する道もあるのです。もちろん、郊外なら庭も手に入るかもしれません。

 

しかし、筆者も一戸建て居住経験者ですが、階段の上り下りが面倒と思います。地方都市に住んでいたころは隙間風に「寒さ」を痛感しました。

最近の一戸建ては建築技術の進化や材料や構造の進化から快適な住宅が増え、古くなっても隙間風が入らないとか冷暖房設備の進化によって長く快適に住み続けることができるようです。

 

しかし、先述のようにマンションとの決定的な違いがあり、老人になってからの一戸建て暮らし、特に階段の上り下りはつらいのではないかと思います。しかし、東京都内で平屋に住むなどというのは現実的ではありません。

郊外でも、一戸建ては2階建てが圧倒的に多いのです。平屋を求めると、建ぺい率の関係から広い敷地が必須になり、駅から徒歩10分以内などという物件に住むのは現実的でありません。

 

足腰に問題ないとしても、駅から遠い一戸建ては外出にブレーキがかかりやすく、老後の暮らしをアクティブに楽しむなどということは難しいでしょう。友達付き合いも遠のく可能性が高くなりそうです。

 

 

●古いマンション暮らしの覚悟

筆者はマンション派で、経済的に困窮しない限り死ぬまで都心か準都心のマンション暮らしになるだろうと想像しています。管理費・修繕積立金の問題さえ解決できれば、マンション住まい以外は考えられないと思うためです。

 

東京都内で暮らしの利便性、快適性を実感して来たからです。今は事情があって10年ほど前から一戸建てに住んでいますが、「不便さ」を痛感しています。注文住宅で快適な家とは言えなくもないのですが、立地条件に問題があるのです。

 

事情があっての一戸建て暮らしに踏み切ったのですが、場所を選ぶことができなかったのです。しかし、近い将来マンション住まいに戻ることになるはずです。

 

さて、先に述べた通り、マンション暮らしには管理費・修繕積立金の固定経費が毎月掛かります。新築を購入する資力のない筆者は、中古マンションを買うことになるのだろうと思いますが、毎月の負担を考えると住宅ローンは使えないなあとも思っています。仮に利用するとしても金額は僅かに留めなければなりません。

 

新築は無理なので中古を当然としても、立地条件を妥協できないとしたら予算的に築年数での妥協が必須になるだろうと思うからです。

 

マンション暮らしでは何を覚悟する必要があるのでしょうか?古いマンションを選択するほかない買い手(筆者を含む)を念頭に補足します。

 

1.修繕積立金に着目する

マンションの場合、所有者一人の考えや資力だけではどうにもならないのがマンションです。廊下や外壁の補修は、マンションの所有者の合意によって積立金を取り崩して実行に移されます。そのための合意形成は、積立金の残高に左右される部分も大きいのです。

あるご相談者は言いました。「〇憶円もあるのです。心配なさそうです」と言いました。一住戸平均で200万円近くの残高があるマンションでした。財政豊かなマンションであることは確かと、筆者も思いました。

 

積立金の収支履歴をつぶさに見なければならないものの。、瞬間的にお金持ちのマンションと感じたのです。

 

しかし、潤沢な貯金があるマンションばかりではありません。

 

※例外もある

管理組合の資金力は、毎月の修繕積立金の収支によるのは言うまでもありません。毎月の積立額が大きいほど良いだけでなく、支出を意図的に抑制すれば残高は大きく潤沢な貯蓄が可能になります。

 

しかし、支出は少ない方が良いといえども、意図的に抑制するのが良いとも言えません。無駄な支出を抑えることと、必要な支出を先延ばしすることとは別問題です。

 

適宜、支出はしなければならないのです。

 

2.築年数は20年以内などと線を引く

マンションの大規模修繕は、一般的に1回目を建物竣工後12年目くらいが良いとされていますが、絶対的なものではありません。しかし、長く放置すれば不具合が出て来ます。不具合の中には見映えだけの問題でないものもあります。例えば、雨漏り対策や機械故障の修繕など放置できない場合があるからです。

 

これらは喫緊の問題として管理組合に諮られ、ほどなく修繕工事が実行されますが、緊急でないものは積立残高の減少を抑えるために、ひいては衝立金徴収額の増加を防ぐために先送りされてしまう場合があります。

 

古いマンションほど、積立金の問題、修繕実行の先延ばしなどが懸念されます、これをマンション購入者が事前に判断するのは容易ではありません。その意味で、「比較的新しいマンションを選んだ方が無難」ということになるのかもしれません。

 

筆者は、線引きは20年としていますが、絶対的なものではありません。

 

新築志向の強かった買い手さんの中には、築10年以内と線を引く人もありますが、筆者は築10年以上、20年くらいが良いと考えています。

理由は、あまり古いと問題物件が多いこと、10年を超えると建築上の問題は解決済みの場合が多いからです。

 

予算にもよるのですが、概ね築20年以内と覚えておきましょう。

 

20年マンションなら30年住み続けても築50年です。最近20年以内に完成したマンションなら、余命はまだたっぷり残っています。売却するのも築50年なら問題はないはずです。

 

30年先の築50年マンションは現時点と異なり、流通市場では特別なものでなく平均的な築年数になっているはずです。

ちなみに、現時点で中古市場に出ている物件の平均は、地域差はあるものの平均で20年くらいですから、30年先には単純に考えて築50年平均になるはずです。

 

3.立地条件は妥協しない方がいい

中古市場でマンションが普通に取引されるようになった現在でも、取引価格は物件の人気度で大きな差異があります。

 

中古マンションの価値は大半が立地条件で決まります。一定の地域内での比較でも、最寄り駅から徒歩5分と10分とでは差がつきます。

この差は、20%か大きくても30%程度ですが、都心と郊外といった広域での差は何倍と半端なレベルではありません。

 

かつて、マンション価格が高騰した時代においては、安さを求めて郊外マンションを求める人も多数ありましたが、今日は都心で共働きする夫婦が増えて郊外マンションの購入者は郊外に勤務先を持つ夫婦だけになってしまったようです。つまり、郊外マンションの需要は縮小してしまったのです。

 

新築でも中古でも、郊外はマンション販売が難しい時代になっています。将来、郊外のマンションを高値で売るのは需要減とともにますます難しいということになるかもしれません。その意味で、郊外都市で購入する人も「その都市の中でより価値ある物件」を厳選しなければなりません。

 

都心・郊外を問わず、立地条件だけは妥協しないことが重要です。

 

 

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ちなみに、11月30日は 「高い新築マンション。それでも買うべきか」です。

 

 

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