第226回「中古マンションを購入するときの5大ポイントと選び方」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

 

中古マンションの魅力は、何と言っても価格の安さにありますが、住宅ローンを組んでも、その負担の軽さに安心するとともに、それまでの賃貸住宅より広くなることに舞い上がり、あっさりと決断してしまう人が多いようです。

(もっとも、人気の高いエリアは新築と変わらない高値の中古も多いのですが・・・)

 

しかし、住んでしばらくすると使い勝手の悪さに不満が出てきたり、最初の見学時に気付かなかった騒音などにストレスを抱えたりと、後悔している人も少なくありません。中古マンションを購入する際に気を付けたいことは多々ありますが、これだけは外せない最も重要な5つのポイント。今日は、これをご紹介したいと思います

 

①築年数に気を付ける

耐震性は人命に関わる重要な問題ですから、イの一番にチェックしたい項目です。耐震基準が厳しくなる前の建物が、すべて倒壊してしまうわけではないのですが、より安全な基準で建てられた建物を選んでおきたいものです。

 

具体的には1981年の基準改正以降に、新基準で建築確認されたものということになりますが、このときに駆け込み申請された旧基準の確認(許可とほぼ同義)建築物もありますし、マンションの工事は完成まで1年以上を要するので、これらを考慮すれば、3年の余裕を見ておく必要があります。

つまり、1984年より後に竣工したマンション、2019年の現時点では、築35年未満のマンションが安全ということになります。

 

築35年を超える旧耐震基準マンションの中には、専門機関の診断によって安全とされているものもあります。ただ、その割合は僅かです。

 

日本人は「新しもの好き」と言われます。「本当は新築マンションを買いたかったのですが、適当なの物件が見つからなかったので、中古マンションにしました。幸い、比較的新しい5年中古を見つけました」などと述べる人にときどきお会いしますが、築10年未満の中古は、市場に多く出回っているわけではありません。

「日本人は新しもの好き」と言われますが、築浅の中古はそのそも市場に多くあるわけではないのです。運よく見つけても、新築より高かったりします。競争も激しいので、高いものを掴んでしまう懸念もあるのです。

だったらあえて10年を超える、例えば15年超の物件を狙ってはどうでしょうか?

 

 

②リフォーム費用を計算にいれておく

購入する時点で、リフォーム費用を正確に見込むのは難しい場合があります。壁紙や床の張り替え程度であれば、割合簡単に見積もりが出るものですが、大掛かりな間取り変更やシステムキッチンの更新まで行なうようなケースになると、図面を検討し、設備機器を選んで仕様を決めなければ、見積もり金額は出て来ないからです。

 

新築マンションのモデルルームと比較すれば一目瞭然なのですが、年代によってマンションの設備は随分違うものです。特に、システムキッチンや洗面化粧台などは大きく進化しているため、比較的新しい賃貸マンションに住んでいる人は、分譲マンションでも中古になると、見劣りするタイプがあることに気付くはずです。

 

調理台の下部収納は、奥に物をしまうと取り出しが面倒な旧式、壁面がタイルのため目地の掃除が大変、ワークトップは汚れがこびりついたステンレス製といったあたりが直ぐに気付く部分でしょうか。

 

一番気になるのは、間取りです。これは年数には関係ないのですが、使い勝手の悪いものがあります。例えば、脱衣所からしか使えないトイレ(普通は廊下からの動線)であったり、収納庫が必要な場所から遠いところに集中していたりします。また、室内に段差があって、つまずきやすいといったことも目立ちます。

 

こうしたことに不満が高じてストレスが溜まると、何のためにマンションを買ったのか分からないことになります。仲介業者は、契約を急がせようとしますが、リフォーム費用の見積もりを大雑把でもいいので、考慮してから購入した方が賢明と言えるでしょう。

 

③リフォームは一気にやらないのがお勧め

上記に関連して補足します。

綺麗な家、設備のいい家に住みたい。日本人共通の願望ですが、特に女性は新築にこだわりが強い感じがします。

 

中古になると、部屋を見た瞬間に「汚いなあ」と興ざめしたりもするのでしょう。そこは見学前から覚悟しておくことが大事かもしれません。

ともあれ、中古マンションを購入したら、リフォームが不可欠になります。しかし、リノベーションしようなどと大掛かりなリフォームは考えない方がいいでしょう。

金額が大き過ぎるからです。度々重なる打ち合わせに時間も取られるし、費やすエネルギーも半端ではありません。ようやく満足するプランができて工事に入っても、完成したときの失望感が大きいことも多いのです。

 

PC上で完成イメージを瞬間的に映し出すシステムもありますが、実物とのギャップは小さくありません。お金と時間をかけた割には出来上がりに不満を漏らす人も多いのです。

 

筆者のお勧めは「プチ・リフォーム」です。例えば、入居前はガスコンロとトイレだけ新品に交換し、壁紙もトイレの1面だけ、さらに欲張って玄関ホールの壁にボーダーの木パネルを張り付ける程度にするなど、最小限に留めることです。

 

1年経ったら今度は寝室の壁紙を高級感のある布クロスにする、3年目はリビングの一角にミセスカウンターを取り付けるといった、分割リフォームを計画するのです。

 

中古物件の見学に同行して「きれいに使ってきたお宅」に出会うことがあります。リフォームが要らないと思える物件も少なくないのです。しかし、築20年などになると、さすがに部分的なリフォームは必須です。

 

リクルート社の調査データなどを覗くと、年数に比例して費用がかさむようですが、それを一遍にやってしまうのではなく、発想を換えて購入時は最小限に抑え、後の楽しみに残すことをお勧めします。マイホームの楽しみは、賃貸では許されない室内のお化粧や模様替えにもあるのですから。

 

④立地条件を最優先に選択する

マンション購入の決め手と言っても過言でないのが立地です。立地条件の良さを条件の一番にすることが大事です。これは、新築でも同じですが、中古マンションの場合には、絶対条件と言ってもよいほど重要なものです。

 

マンションの価値が高いかどうかの判断基準の一つは、生活に便利がよいかどうかです。どんなに自然環境が良く、空気が美味しい場所でも、霞を食べて生きて行くことはできませんから、例えば通勤・通学に便利、買い物や医療施設が近いといった場所が望まれます。

 

都会に居れば、大体どこに住んでも便利に思えるようなものですが、実際には、不便な生活をしている人は多いものです。職場が変わったり、子供が成長して、高校に進学したが、とても遠いところにあるので大変だったりとか、また、病気にかかり、長い間通院することになりそうだが、病院までのアクセスが悪いなどといったことも起こるからです。

このように、生活をしていくうちに事情が変わって、引っ越し、すなわち売却を考えることが必要になります。その際に、首尾よく売れるかどうか、もっと言えば有利に売れるかどうか。ここが重要です。その際、立地条件、すなわち利便性の高さは次の買い手にとっても大事な条件になります。

 

とりわけ中古の中古、つまり築年数が長い中古マンションはそれだけでハンディキャップになって来ますから、何にもまして立地条件の良さを決め手にした方が良いのです。

 

⑤修繕積立金の額や大規模修繕計画をチェックする

マンションにも寿命があります。構造上100年は持つコンクリート住宅ですが、手入れを怠れば短命になるのです。クラック(ひび割れ)から雨水が染み込み、内部の鉄筋が錆びると、鉄筋は膨張しコンクリートを内部から破壊してしまいます。

 

屋上の防水加工が経年変化し、目に見えない雨漏りが起きると、室内に湿気がこもって不快になることがあります。また、25年も経てばエレベーターも交換の必要が起きます。更には、排水管にコレステロールが溜まり、流れが悪くなるという状態も長い間には起きるでしょう。水道水が濁ってくることもあります。

 

こうした問題を避けるために、マンションの大規模な修繕を周期的に行う必要があるわけですが、当然その費用はすべて所有者が負担します。財源は、ご存知の「修繕積立金」です。

しかし、その額は管理組合によってマチマチです。足りない場合は、一時金の徴収ということになります。もし、徴収に応じられない入居者が多ければ、修繕計画は暗礁に乗り上げます。そして、工事が遅れ、マンションの寿命は短くなります。

 

購入を検討するマンションの修繕積立金が十分なのか、また、修繕計画はどうなっているのか、この点を確かめておくことは、とても重要になります。

 

<オトクな中古マンションの選び方・その要は?>

2017・2018年は、中古マンションの成約件数が伸びました。

新築マンションの供給が少なかったためです。なかんずく、首都圏では、低価格帯のシェアが低くなっています。先行指標になる「新規着工戸数」のデータを分析すると増加傾向にはありますが、その水準は低く、今後もしばらくは、期待できません。

 

中古マンションを購入するための、オトクな方法をご紹介しましょう。

東京圏に限れば、中古なのに周辺の分譲中新築マンションより高値が付く例が結構あります。規模もグレードも、分譲主や施工会社の信用度も、また立地条件も同程度なら、そのような逆転現象は起こらないはずです。

 

現実は、只今販売中の新築物件より、その中古物件の立地条件が格別に良く、その他の条件も総合的に優れていたりします。

しかも、築後20年以内までなら、設備的にも遜色がないため、新築に劣るものは少ない、むしろ、時間の経過によって敷地内の樹木が大きく育ち、見事な景観になっていたりもします。

 

室内が少し汚れ、傷ついたりもしていますが、大してリフォーム費用はかからない物件も結構あいます。しかし、仲介手数料が必要、登録免許税や固定資産税の軽減措置が受けられないなどの計算まですると、築浅の中古マンションは、新築より高くつくこともあります。

 

そこで、例えば築15年を超える物件に目を向けましょう。すると、平均値では新築価格の6掛けくらいで購入することができるのです。

 

あくまで平均ですから、上のグレードを望んだ場合は、15年もので7掛けか、優良中古なら8掛けくらいでしょうか。つまり、新築マンション70㎡が7000万円の相場の地域なら、5000万円から6000万円の予算で手に入る可能性があるという理屈になります。

首都圏の外周部や地方都市では、もっと乖離が広がっていますから、半値以下で手に入るものもあります。

 

築20年にもなると、設備は旧式である可能性も高いですし、間取りも気に入ったものはないかもしれません。そこで、それらを思いきって全部換える(リノベーションする)くらいの腹積もりをしたらどうでしょうか。

そうなれば、程度問題ではありますが、500万円から1000万円の追加予算が必要になるかもしれません。

なお、矛盾するようですが、最近の新築マンションより、築15年以上の中古マンションには優れた間取りが多いことを補足しておきます。

 

 

こうした点を事前に十分チェックしながら進めるとして、リフォーム後の出来上がりは、自分好みで満足度の高い新居となるはずです。予算が余ることも多く、オトク感が大きいでしょう。

あまり古い物件には問題が隠れている場合もありますから、物件ごとに判断して行かなければなりません。

 

例えば、築20年の物件の寿命はどうなのか、そんなに古い物件を買って大丈夫かという疑問が湧く人もあるようです。しかし、あと何年住みますか?30年も住むつもりですか? 若い人は、そこまで行く前に、次の手を考えたらいいのです。

 

ご年配の方は、リタイア後から死ぬまでそこで暮らすのでしょうか? 55歳で購入したら90歳まで35年もありますね。築20年のマンションを買っても、90歳時には築55年です。しかし、理論上はまだ居住可能です。

 

とはいえ、存命中に解体・再建築の必要な寿命に達してしまうかもしれません。

これまでの建て替え事例を見れば、40年程度のマンションが多いのは事実です。

しかし、メンテナンスに対する意識改革が深まった現在ならどうでしょうか。今後は、適切なメンテナンスが行われるマンションが増加し、寿命は伸びていくのではないでしょうか。

 

ただし、大規模修繕がいつ来るかをチェックしてから購入することが重要です。

中古マンションで一番気をつけなくてはいけない部分、それは大規模修繕が周期的に行なわれて来たか、今後も必要なときに行えるメド(積立金の額)があるかです。

入居して1年も経たないうちに、修繕費の追加徴収が管理組合で討議されるようでは困ります。そこで、修繕計画を尋ねることが重要になります。費用の積み立て額と、不足がある場合の収入計画に関しては、正確な返答を求め、不安を感じたら、購入を見送りましょう。

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

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ちなみに、11月10日は「第698回 検討できる新築マンション激減?」です。

 

 

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