第219回 「どちらかと言えば新築より中古を検討すべきとき!!」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

2019年9月2日の日経新聞にこんな記事がありました。タイトルは「マンション中古は主役」

 

かいつまんで紹介すると、「中古マンション検討者・購入者が増えている」のだと言います。背景には「駅近マンションは中古に多い」ことを記事は伝えています。

 

グラフは新築の供給戸数と中古の成約戸数を対比させたものでした。新築は契約戸数ではないので、契約戸数の対比では数字以上の差になっていることを示していました。

 

筆者は、この記事の分析コメントに違和感を覚えました。間違いと決めつけるわけではありませんが、新築の数が減って相対的に中古が増えているのは確かですが、日本人の新築志向が強くなっているとは思えないのです。

 

マンション購入検討者にお会いしてお話しする機会がある筆者は、大半が今も新築を希望していると感じます。筆者に届くメールも70%は新築物件の評価依頼です。

 

しかしながら、ご希望マンションの大半は問題物件なのです。高過ぎる価格、立地条件に問題がある、これといって取柄がない、従って売れない。そんな中から、「より良い選択」は難しい。そんな買い手の苦悩に立ち会うことが増えました。

 

筆者は、ついつい何でも引き受けてパニックになってしまうこともしばしばです。それでも、アシスタントを得て「やりくり」してきました。

 

アドバイス業は、相手に応じて血の通った、またかゆい所に手が届くものでなければなりません。決して機械がとって代わることはできないのです。似たようなご相談例はあっても、細かな部分ではみな違いますし、コピーして代用できるものでもありません。

 

従って、ご相談の数が増えると中身の濃い、そして的確な助言も難しくなるのです。実は、例年8月は比較的ご相談件数が少ないときなので、やり残していた研究や調査に時間を使いたかったのですが、今年はご相談への対応(レポート作成と面談によるご相談)に追われました。7月より少しは依頼件数は減ったものの、それでもご相談内容の複雑なものが増えてたせいで、多摩っている資料整理や調査といった学習・研鑽に必要な作業はできずじまいになりそうです。

 

さて、今日は「優良な中古マンションの探し方について」お話したいと思います。

 

●中古の中にお宝が眠っている

新築志向が強い人や、単に中古は思ったほど安くないから損だという偏見をお便りの行間から感じるときがあります。

筆者は中古礼賛派ではありませんが、新築マンションに失望することが多い一方、傍らで優良中古に巡り会って幸福感をお伝えくださった数多くの声を聞いているうちに、中古マンションの方が素晴らしいものが多いと思うようになったのかもしれません。

 

中古も安くない――それは事実ですが、だから新築がいいとは限らないのです。中古マンションを個人から購入する場合(大抵そうですが)、住宅ローン控除は最大で200万円、つまり新築の半分です。新築と違ってリフォーム代もかかるし、仲介手数料も払わなければならないから、もろもろ計算すると中古は高くつく、それなら新築と変わらないので中古は考えないという人もときどきお目にかかります。

 

一理はありますが、多分に誤解があります。新築より高い中古、そんなことは経済原理から見てあるはずがないのです。どうしてそう思うのでしょうか?不動産は二つとない商品なので、比較がしにくいということから誤解してしまうのも無理はありません。

 

詳しくはこちらの記事をご参照ください・・・「第112回 中古が新築より高いなんて。そんな馬鹿な事あるわけない」

https://www.sumu-log.com/archives/9172/

 

極端な表現をお許しいただき、敢えて「今、新築にろくなものはない」と筆者は考えています。正確には少ないという意味ですが、建物価値は昔に比べれば立派なものも多いかもしれませんし、物件よっては駅から2~3分と近くて、立地条件の良いものも僅かながらあります。それすらも「良くない」というのは価格が高過ぎるからです。

 

マンションは芸術作品ではありませんから、価格あっての評価になります。価格を無視して「良いマンションだと褒めるわけにはいかない」のです。

 

とはいえ、高いのは確かだが、このくらいなら許容範囲だと思うものもあります。安いものを求めて中途半端な物件を選択するよりマシだ。それに、この物件なら高くても住んでいて誇りを持つことができるに違いない」――こんなふうに思う物件もあります。

 

●機会損失

中古の売り物は、普通1戸しかないので、市場の動きは早く、多忙な東京人にはうまくゲットすることが難しいのかもしれません。良いものほど、あっと言う間になくなってしまいます。

 

「優良な中古マンションを買うのは難しい」――こう語る相談者は少なくありません。足が速いからです。多忙な東京人にとって、優良な中古マンションを買うというのは簡単なことではないのかもしれません。

 

折角、良いマンションと思って見に行っても、買い手が複数来ていてモタモタしてしまうと、取られてしまうのです。

 

新築なら、たっぷり時間があって、ゆっくりと検討できるではありませんか?しかも、売れてしまう可能性は「発売時期(受付期間)」の関係もあるとはいうものの、1戸しかない中古と違って低いのです。じっくり検討する時間もあります。たまに、1住戸に二人の申込があっても、最悪は抽選でゲットする機会が残されます。

 

中古は、先着順ですし、下手に値引き要求しようものなら、売主側から断られてしまいます。つまり、買い手同士の競争にも勝たなくてはなりません。

 

この問題をクリアするにはどうしたらいいのか。悩ましいところです。別の機会に筆者の考えも開陳しますが、ひとまず先に行きます。

 

●新築には期待できない時代なのです

前に書いたので、https://www.sumu-log.com/archives/14428/詳細はそちらに譲るとして新築マンションの開発は極めて厳しい時代になりました。

 

希望地域に希望条件で新築マンションを購入することは至難の業です。なにしろ用地がないのです。良い売地があっても競争が激しく買収価格はどうしても高くなりがちです。デベロッパーの社内では、高くてもここなら売れるから買って来いと号令がかかることもあるでしょうが、判断を間違えば2年かけても売れず、最後は大幅な値引きをしなければならない事態に陥ることがあります。

 

そんな他社の失敗例を横目で見ているマンション業者は失敗したくないと萎縮し、マンション開発の情熱を失って行きます。

 

高くても構わないと強気に商品化しても、結局は販売が長期化してしまうので、価格の高さは業界共通の悩みになっている昨今です。発売当初(第1期販売)は、華々しいのですが、やがて尻すぼみになって、条件の悪い住戸が売れずに残る状況を迎えてしまうのです。

 

強気になれる良い条件のマンションでも、「高過ぎる」のが最近の実態です。しかし、地価は下がる気配はなく、建築費も相変わらずです。郊外なら安く買える土地はあるが、建築費は郊外だから安くなるわけではない。バス便マンションも同様だ。とにかく安くしないと売れない。徹底的にコストダウンを図って価格訴求をすれば何割かは売れるが、完売までは長い時間がかかる。販売員のモチベーションは上がらない・・・これがデベロッパー各社の悩みというわけです。

 

●安くしてくれることに期待は持てるか?

売ればければ安くするのでは?そう考える人は少なくありませんが、そうは問屋が卸しません。デベロッパーに在籍していた筆者にはよく分かるのですが、元々高利益率のビジネスではないのです。失敗すれば利益は消し飛びます。

 

企業存続のためには、利益確保は至上命題です。ときには失敗もあるものですが、大量供給を続けられるなら、一部の失敗を他の多数の成功でカバーできます。しかし、それができるのはごく一部の企業だけです。

 

売れずに値引きする行為は、企業の存続に関わって来るので、おいそれとはできません。特定のプロジェクトを見切って、他で稼ごうとしても今の時期は考えにくいときです。

 

こうした売り手の実情に鑑みると、安値販売は期待薄というほかありません。しかしながら、プロジェクト単位に見れば、販売促進のため必ず値引き引き攻勢をかけてくる時期が必ずやって来ます。そのタイミングを待つのも手です。

 

とはいえ、高くても話題になっているような優良マンションを値引きしてもらって買うのは至難の業です。タイミングを計っているうちに売れてしまうからです。売れてしまいそうか、まだ大丈夫か、そこを読むのも簡単ではありません。

 

●優良中古に目を向けても実は売り物がない

中古マンションを一度でも検討した人なら感覚的にご理解いただけるかもしれませんが、ときどき良さそうなマンションに遭遇することがあります。ところが、中古の場合、そのマンションでの選択肢は1住戸に限定されます。

 

新築マンションと違って何十も部屋があって「より取り見取り」ではないので、見学したが、たまたま前面の建物(略称:まえたて)があって、それが気に入らなかったものの、外観の立派さと共用部を見て「素敵なマンション」と記憶に刻まれることがあります。そして、仲介業者に「このマンションの中で良い部屋が売りに出たら教えて」と依頼して帰って来ます。

 

ところが、優良マンションは売りに出す人が少なく、大規模マンションでは活発に売買が行われているように見えますが、買い手個々の条件に当てはまる売り物は存外少ないのです。

従って、「出たら教えて」の登録をしても、情報はときどき入るものの、食指が動くことは少ないことが多いのです。

 

優良中古のターゲットは、ひとつや二つでは足りないことに気付きます。

 

●検討時間がたっぷりある新築、時間がない中古

しかも、たまに条件的に妥協範囲の部屋に遭遇しても、少しもたつくと他の買い手に取られてしまうので、決断は素早くしなければなりません。即決か翌日、長くても1週間以内には「購入意思」を伝えなければならないのです。

 

一方、新築マンションは、例外もありますが、ゆっくり考える時間が設けられています。同じタイプの間取りも複数あるので、階数で妥協できれば検討時間はゆとりがある場合が多いものです。

 

大抵は「予告広告」を繰り返しながら集客し、一定の数が集まったところで発売というスケジューリングなので中古マンションよりは検討時間がはるかに長くもらえます。

 

瞬間判断を求められる中古マンションを手にするにはどうしたらいいのでしょうか?

判断するための学習をして知識をため込んでおく必要があるでしょうが、一般の買い手には本業のかたわら深い知識と情報を的確に集めることが難しいはずです。。

 

方法は、インターネットで情報を集めることではなく、筆者のような詳しい者を利用するのが賢明です。 筆者は不動産業者ではなく、あくまで買い手サイドのサポーターであり、ナビゲーターです。僅かな調査・相談料で答えを導くことができます。我田引水で恐縮ですが、利用しない手はありません。

 

●仲介業者と濃密な関係ができても期待はしない方がいい

ところで、仲介業者に「出たら教えて」と頼んでおいたらどうかという質問がよくあります。筆者は大概、「期待はできません」と答えます。

 

なぜなら、ライバルが多いからです。個人的に親しい間柄の営業マンでもいれば、売り物が出た瞬間、いの一番で知らせてくれるかもしれませんが、まあ期待はしない方がいいでしょう。

 

物件探しは、誰かにゆだねて「待てば海路の日和あり」とはいかないのです。自ら労を惜しまず、探しに行くべきです。とはいえ、後述しますが、週末ごとに見学に出かけましょうと勧めているのではありません。

 

見学前に有力な物件を絞り込み、これは良さそうだというものだけを見に出かけることが大事です。無駄もときには必要ですが、多忙な人ほど効率を考えるべきです。

 

●綺麗な室内に感動する中古も稀にあるが・・・

ところで、中古マンションは新築マンションのモデルルームのような飾りつけをしていないことが多いので(例外もありますが)、部屋を見てトーンが下がったという声をよく聞きます。

 

それはそうでしょう。中古マンションも売り物です。その売り物が、傷つき汚れたままで買ってくれと言っているのですから。

 

反対に、運が良ければ中古とは思えない美しい物件に遭遇することもあります。ちなみに、筆者が15年以上住んだマンションを売ったとき、買い手さんはリフォームを一切せずに住むことができたと喜んでいたと聞きました。専業主婦だったか妻が「キレイ好き」だったからです。

 

しかし、このような綺麗な物件に遭遇する確率は10%以下と思った方がいいのです。室内にはあまり期待しないで見学した方がよいということです。目の付け所は、街・駅・外観・玄関・共用部です。そして眺望・日当たり・プライバシーです。

 

●あっと言う間に見つけた人も

無駄足をしなければ、1か月以内に購入まで進むことが可能です。自慢話になって恐縮ですが、筆者がナビゲーターになってマンション探しをお手伝いした人は数知れずですが、最も早い人で契約締結なで2週間という例もありました。

 

平均的には1か月、候補物件は平均10件、見学物件は同5件といったところです。みなさん、共通して「信じられない」とおっしゃいます。契約まで1か月以内にたどり着くのです。

 

「耳年増」という言葉があるのかどうかわかりませんが、物件名とその批評は筆者も顔負けの人で、「表面情報通」とでも言うべき人が、この言葉がぴったりのタイプです。なぜ、何十軒も見て歩くのだろう、もっと効率よく、無論適切な選択のうえで、購入というゴールにたどり着くことはできないものか?そんな疑問を抱きます。

 

探し始めの人も「転ばぬ先の杖」ではありませんが、筆者を大いにご利用いただきたいと思います。

 

日頃の作業は「マンションの評価レポート」と「将来価格の予測レポート」を書くことですが、もっと踏み込んだサービスをできないかと模索して来た筆者がたどりついた答えがあります。そして実行し、成果もあげてきました。筆者は仲介有業者ではありませんから、物件を自ら探してお勧めするというようなことは一切いたしませんが、結果的に自画自賛の高効率のサービス形態が完成形に近づいたと思っているところです。

 

体が二つあればいいのですが、効率を追えばサービスの質が低下。代わる人もなく、目下の悩みは、「質を低下させずに注文をどうやって、各種サービスをスピーディーにこなすか」にあります。「それもまた楽し!!」です。

 

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

 

 

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三井健太著「マンション大全」が販売中。

全326ページ・定価:1800円+税。朝日新聞出版より。

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<主な内容>第1章 選手村マンションに思う/第2章 東京オリンピック後のマンション価格/第3章 コストカットマンションと業界の苦悩/第4章 中古マンションの価格の成り立ちと変動要因/第5章 マイホームが持つ二面性。居住性と資産価値/第6章 マンションの価値判断と探し方のハウツー/第7章 初めてのマンション購入・タブー集

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

マンション業界の裏側を知りつくした、OBだからこその視点で切り込むマンション情報。買い手の疑問と不安を解決。マンション購入を後押しします。