第217回「マンション探しでやってはいけないこと」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

今日はなかなか買えないという人向けの解決法を少し書いてみることにしました。

 

1)すぐ見に行くが中々決めない人

主に中古マンションを探している人のことですが、行動力があって結構と褒めてあげたいところですが、何事も「過ぎたるはおよばざるがごとし」で、見学のたびにあれがダメここもダメと答えが出せないまま、これを繰り返す人がいます。

いつも別の業者ならともかく、せいぜい3社くらいなので、案内のたびに結論を先延ばしにしたり、ダメ出しを続けたりするので、業者にも疎まれてしまう人がいます。

 

業者も頼まれれば案内の手配をしますが、「どうせ今度もダメ」と見切ってしまい、真剣に取り合ってくれません。

本人は、そんなことと知らず見学を繰り返して行くうちに、ますます欠点ばかりが目に付くようになって「あらさがしの名人」になってしまうのです。見学回数が多過ぎてマンション評論家になってしまう人にこれまで数えきれないほどお会いしましたが、マクロの目とミクロの目の「複眼思考」ができない人かもしれません。

 

情報が何でも簡単に手に入る時代の罠に落ちるということでもあるのですが、欠点・短所ばかりに目を向けていたのでは買いたいものすらも通り過ぎてしまいます。

 

2)勉強し過ぎで混乱を招く人

調べているうちに知識ばかり増え、最近は何が正解か分からなくなりました。こう語る人にときどきお会いします。知識が増えるにつれて気になることも増えてしまうものです。そして以下のような罠にはまってしまいます。

 

幹より枝葉が気になってしまう

知識が増えれば増えるほど気になることも増えます。「ハザードマップを見て、地域の安全性を確認しましょう」と本か何かの記事で読んだために、水害や火災や地震の心配をするようになったりします。

きっかけは、新築マンションのHPにあった「武蔵野台地」にあるマンションは安全といったページを見たことでした。それが嵩じて、液状化・火災危険度・倒壊危険度などのハザードマップを気にするようになったというのです。

 

仙台から東京に戻った転勤族だと語る人の相談では、地震の恐怖からか過度の心配性(症)が見て取れました。高層マンションは怖いというのです。相談して来たマンションは、低層マンションでした。

筆者はタワーマンションにも、高層マンションにも、さらに低層マンションにも住んだ経験を話しました。阪神大震災が起こった当日に大阪にいて怖い目にあったことも、地方都市の湾岸エリアに住んでいて津波に家ごとさらわれ、命からがら逃げた筆者自身の体験談もお伝えしました。

 

さらに、関西のマンションの被害状況や仙台市内の傾斜マンションの話などを織り交ぜながら、日本ではどこに居ても天災のリスクはあること、低層マンションだから高層より安全とは限らないこと、日本の建築技術の高さは折り紙付きであること、ただし、手抜き工事のような人災は稀だが存在したこと、悪意はなくても工事ミスが重大な欠陥マンションを生み出してしまうこともあるが、対策も保証もあること等々を話しながら、マンション選びで肝心なことは何かを筆者なりの持論を展開しました。

 

危険のないマンションであるかどうかは大事な点ではあるものの、日本のゼネコンの秘術を信じ、その手前で構造設計を担当した設計士および設計事務所を信じるほかありません。工事ミスは大手ゼネコンでも起こすものですが、万一の場合の対応策を信じて待つしかないのです。無論、対応策が経営の破綻につながることもあるので、売主またはゼネコンの財務状態などがカギを握ることがあります。

 

そのほかの問題でも同じです。過度の心配は行動を臆病にさせます。

 

情報過多が招くネガティブ志向

「駅から遠い物件は資産価値が低い」などというブログの記事を見て「徒歩10分以内のマンション」がいいという固定観念を持ってしまった人にときどきお会いします。

筆者が「5分以内がベター。10分は遠いです」と言うと、駅から10分なら近い部類と思い込んでしまった人は驚きの表情を見せます。筆者がデータを示して説明すると納得します。

 

一方で幾多の情報に混乱をきたしてしまう人もあります。何か一つを正しいと思い込むのではなく、複数の意見や情報を見聞きして正しいものはどれか分からないと言います。例示はしませんが、混乱をきたし、かつネガティブ志向に陥っているのです。

 

勉強することは当然必要なことであり良いことですが、その方法や活用術、咀嚼の仕方などを誤ると、羅針盤を失った舟に乗っているようなもの、自分の立つ位置すら分からない状態に陥るのです。

 

人間は、革新的なことを行なうとき、大きな心理的抵抗を感じます。ゆえに、昨日と同じ今日の方がラクなものです。

高額な買い物であるマンション購入は、人によって革新的な行為です。疑心暗鬼や不安があれば、抵抗は一段と大きくなります。心はネガティブになり、決断は覚束ない状態になります。

 

ひとつの意見や考えに凝り固まってしまう前者の方がマシかもしれません。しかし、多くの人が情報過多で答えを導けていない後者が多いのではないかと感じています。

 

優先順位を決めていない人・間違った優先順を付ける人も

「百点満点のマンションはないのです」と筆者が言うと、百人の人が「分かっています」と反応します。

しかし、そう言いながら百点満点を無意識に望んでいる人も実は多いのです。

 

どこかに「優先順位を決めて」と書いてあったのでしょうか、希望条件を優先順に整理をしてから意見を求めて来られる人もあります。その順番に疑問を感じることもありますが、思考法としては適切です。

 

絶対妥協したくない点、できたら妥協したくない点、妥協してもよい点という3つの区分で整理していた人もありました。筆者は個人の価値観に意見を言える立場ではないので、「客観的にはこうです」ということにしています。

客観的とは、「資産価値」すなわち将来の換金価値の観点からの意見です。

ここでは省略しますが、「資産価値の観点では優先順はこうなります」と説明します。

 

 

本の記述は重要度も優先順位もなく網羅的だ

マンション選びのハウツー本は、非難を恐れず言えば、瑣末なことを優劣なしに羅列しているだけです。

物件選びの際に注意すべきこととして、場所選び、建物選び、住宅ローン選び、ときには業者選びまで、メリット・デメリットを満遍なく述べるスタイルです。

 

建築家の著書であれば、よりレベルの高い構造、遮音性の高い給排水設計、あるいは断熱効果の高い工法や材料などに言及するのは当然のことです。幾通りかの工法や技法、部材、設備などを紹介しています。

それらは、現実的に採用されることの少ないものも含まれていますし、著者が主張する三流という施工方式でも、大手マンション業者が普通に採用していたりします。

 

結局、読み終わったあとに「どれが良いかさっぱり分からない」のです。

 

雑誌の記事でも、「低層が良いか高層が良いか」や、「完成済みマンションか青田買いか」のような場合、結論はそれぞれのメリットとデメリットを並べて、あとは貴方次第と結論付けるものです。

偏った記事は書けないので、仕方ないことなのでしょうか。

 

営業マンを疑ってはまる罠

次は、勉強不足の営業マンにばかりに会ってしまうことで起こる罠です。

営業マンもいろいろなタイプがいますし、所属企業の教育の仕方にもよりますが、経験が不十分、知識不足のままで現場に降りている例は多いものです。

チームとして仕事をこなせばいい、未熟な担当者の足らない部分はベテランがカバーできるはず。企業側はこのようにと考えている節があります。

 

しかし、未熟な担当者につかれた顧客にとっては迷惑な話です。繁忙期には、ベテランも新人もない状態なっていて、咄嗟に場当たりな、あるいは正確性を欠く説明で乗り切ろうとする営業マンも少なくないからです。

 

説明を聞いて「おかしい」と一瞬でも感じたら、その先の説明をすべて疑って聞くことになりかねません。決して良いことではありません。反対に、「おかしい」とも思わなかったら、怪しい知識を掴んでしまいかねません。

 

一方、営業マンは「都合の悪いことは黙っている」という習性を持つ人種です。肝心のことになると、焦点をずらしたり、話題をそらしたりして逃げようともします。

このため、買い手は、営業マン不信という固定観念を持つに至り、何でも裏付けを取らなければ済まないクセが染み込んでしまう人もあります。

 

木を見て森を見ない状態に迷い込む

ある建築家の著書に、「〇〇の部分を△△の材料で造ったマンションは三流だ」や、「このような工法は一流マンションでは採らない」などと記載してあります。

「三流マンションの根拠とする項目がずらりと並んでいるので、しっかり勉強した人は、モデルルーム見学に行き、パンフレットを見てチェックし、該当する箇所が1点でもあると、三流なのかと疑います。

 

ある人は、場所も良く、私の評価ではかなり高い得点がつく物件でしたが、本の主張そのままに三流と決めつけて止めてしまいました。

 

別の例ではキッチンのワークトップが人工ではなく天然の御影石でできていました。洗面所も同様で、大きな三面鏡や女性の化粧道具が種類ごとにきれいに納まる設計になっていました。

また、掃除のしやすい継ぎ目のないタイプの洗面ボウルや、ガスコンロ前のホーローパネルもさっと一拭きと言われ、すっかり気に入りました。

寝室には、ウォークインクローゼットが付き、服装品がたくさん詰め込めるように感じました。

モデルルームでは、扉や引き出しを開けたり閉めたりしました。風呂の浴槽に体を沈めてみて広さを実感し、感激は絶頂に達しました。

 

こうした行動を繰り返すうちに、「ここの風呂は狭いな」とか「コンロの前壁はタイルか。掃除が大変だ」などと、細部に「ダメ出しする」クセができてしまいました。

 

細部も大事ですが、優先するべき条件は他の所にあるはずです。それが満たされれば、後順位の条件は目をつぶることも必要なのです。ところが、細かな条件ばかりに目を向け妥協しようとしません。

木を見て森を見ない」でいると、遠回りになってしまいます。

 

 

3)見過ぎる人

これは、やってはいけない行動パターンの3つ目です。

見れば見るほど目移りして決められなくなるからです。百点満点のマンションはありませんので、どれを見てもどこか気に入らない所が出て来ます。あちら立てればこちら立たず、帯に短しタスキに長しというやつです。

だから、そろそろ決めようと思っていても決めかねてしまうのです。

 

物を選ぶコツは二つに絞って、二者択一にすること

たくさん見ている間に、前に見た物件の記憶が薄らいで来ますし、記憶の鮮明な最近見た物件の中ではどうかと言いますと、たまたま気に入ったものがひとつもないときは、結局二つに絞るまでに至らないものです

 

たくさん見ると欲が出る

もうひとつのデメリットは、たくさん見ると欲が出て来ることです。予算を棚に上げて、もっといい物をと考えるようになってしまうことです。高望み、ないものねだりというやつです。

 

自分の予算をはるかにオーバーする物件であればハナから諦めて除外してしまうものですが、届きそうなやつだと、記憶から消えず、それよりもっと良いものをと考え、次第に高望みしてしまうのです。

悲劇的なのはモデルルームが予算を超えているタイプを展示してある場合です。5,000万円の予算の人が5,000万円のタイプを見たいと思って現地を訪れても、モデルルームは8,000万円のタイプしかないというケースでは、目に焼きついたモデルルームの印象だけが残ります。つまり、買えもしない物件のイメージだけが記憶に刻まれてしまうのです。

 

見れば見るほど目移りし、目が肥えて高望みし、ありもしない理想を追いかけてしまいます。そういう人は、この先もひとつ見送り、ふたつ見送りして、結局いつまでも買えない人になってしまうのです。

 

「ひとつやふたつ見送ってもマンションはここだけじゃないのだから」などと考えているうちに、言い換えれば、「ひと月やふた月購入が遅れても大勢に影響はないさ」などとタカをくくっていると、半年や1年はあっという間です。

 

その間に金利が上がったり、消費税がアップしたりで慌てる事態になってしまうかもしれません。最近3年くらいの市場の動きで顕著なのは価格高騰です。その結果、理想にほど遠いものを選択してしまうことになるかもしれません。それじゃ、今まで1年以上も研究し、探して来たのは一体なんだったのか、ということになってしまうのです。

 

そもそもマイホームは何のためにあるのでしょうか。老後の安心のためとか、社会的ステイタスシンボルとして持ちたいためとか、いろいろあるでしょうが、本来は快適な暮らしをしたいからだと思うのです。

 

大抵の人は、今住んでいる賃貸マンションより広くて、新しくて、設備が良くて、毎日が気分よく過ごせる住まいを求めて手に入れようと考えるものではないでしょうか。

 

少しでも良いものをと考える気持ちは十分過ぎるほど理解できますが、それも度を越せばいつまでも快適な住まいを手に入れられないということになってしまうと思います。「過ぎたるは及ばざるが如し」です。

 

見学のし過ぎで青い鳥症候群に嵌まる

あちら立てればこちらが立たず、あるいは帯に短しタスキに長し。これが、マンション(住宅)というものです。

雑誌の記事を見ていると、よく「待った甲斐がありました。3年探し続けて理想のマンションに出会いました」などという喜びの声が載っているときがあります。

本当にそうなのでしょうか?単に理想と錯覚しているだけなのではないか。筆者には、そうとしか思えないのです。理想のマンションなど、存在しえないのですから。

 

ただ、屁理屈を言えば、人によって理想の基準が違うから、他人が嫌だという部分があっても、当人にとっては理想なのかもしれない。タデ食う虫も好き好きというから、やっぱり理想だったのかもしれない。そういうことかもしれません。

 

閑話休題、人間には感情と理性があり、理性通りに行動できない人は少なくありません。分かっちゃいるが・・・というやつです。

マンション探しにおいても、予算を棚に上げて高い理想を求めていることは分かっているらしいが、実際の行動は理屈に沿わないという人があります。

 

平たく言えば、予算は5000万円、求めているマンション像は8000万円という矛盾する行動を採っているのですが、このような罠にはまる原因を考えてみましょう。

 

見学回数が多くなればなるほど、モデルルームを見て舞い上がるような感動は次第に失って冷静さが増し、良し悪しを見分ける目が肥えて行きます。

同時に、理想のマンション像が頭の中にでき上がってしまいます。

 

モデルルームの見学を数多くこなして目利きになったつもりが、現実離れしたモデルルーム展示に判断力を狂わされ、それぞれのイイトコ取りした理想像が完成してしまうのです。

マンション会社は、「売り」の部分を強調し、買い手の興味を引きつけることを狙った演出をしますから。

理想的な広さのベッドルーム、広いバスルーム、贅沢なユーティリティルーム、20畳もある広いリビングルーム、夢だったミセスデン(DEN=専用の部屋というほどの意味)、フルオープンのキッチン、専用のバルコニー付きキッチン、休日のブランチとしゃれたいスクエアで広いバルコニー、大きな納戸、古い箪笥は捨ててもいいと思えるほどの大きなウォークインクローゼットなど、それぞれの特長が記憶に多数残ります。

 

ところが、リビングルームを広くすれば、部屋は狭くなり、両方を望めば、全体の面積が広いものになる。広い部屋は、その分だけ価格が高くなって、現実からどんどん遠ざかって行きます。

 

そこに気付けばまだしも、その広さでも予算を上げずに買えるマンションを以前に見たことを思い出して理想を追い続けてしまいます。ここが問題です。

 

実は、そのマンションを何故選ばなかったのかと問うと、駅から少し遠く、向きが西だったから止めたのだと答えます。

 

次に、広さも満足、向きも南向きというマンションに出会ったが決めなかった。その理由は収納が足りないからだと。

そのマンションは、キッチンから直接バルコニーとユーティリティに繋がっていて、家事動線がとてもいい。それまでにない理想のマンションだと強い印象を持つに至ります。しかし、「せめて収納スペースがあと少し広かったら良かったのに、残念」とこぼしながら見送ります。

 

このようなことを繰り返して行くと、イイトコ取りの理想像が刻み込まれて行きます。

 

例に挙げたような罠にはまってしまう人は意外に多いのです。問題なのは、あり得ないもの、あるいは予算から見て不可能と思われるような高望みをしてしまう人です。

 

隣の芝生が青く見えてしまうのが人間の悪弊でもあり、これは仕方ないことなのかもしれません。

メーテルリンクの「青い鳥」という作品。貧しい家に育ったチルチルとミチルの兄妹は、幸福を招くという青い鳥を求めていろいろな国に旅に出かけます。しかし、結局どこにいっても青い鳥を捕まえることができずに家に帰ってきます。

二人は疲れ果てて眠り、夢から覚めると、なんと家で飼っていた薄汚れたハトが青い鳥になったのです・・・。この物語になぞらえることができそうな人は結構多いようです。

 

もう少し先へ行けばもっと値下りし、金利も低下するかもしれないと思っても、それを誰も保証はしてくれません。価格も金利も底だったというのは後になってから分かることですが、それが分かった時では遅いのです。

 

解決法:マンション探しで迷ったときの整理術

 

ここからは、迷ったときの対策について述べることにします。題して【マンション探しで迷ったときの整理術】です。過去記事(第151回)を加筆修正しています

 

東京圏の一部エリアでは、物件固有の条件によるとはいうものの、10年経っても値下がりしないどころか、値上がりしているマンションもあるのは確かですが、本来、建物は完成したときから老朽化が始まるのですから、経過年数によって価値が下がるのは当たり前と言えます。

 

同じ中古マンションでも、値上がりするマンションと値下がりするマンション。この差は、どこから来るものでしょうか?

 

それは、需要の多寡によって生まれる結果です。東京の人気住宅地ではマンション開発が難しく、新築マンションは滅多に販売されません。いきおい、そこに住みたい人は中古へ向かうしかないわけです。その結果、人気住宅地の中古マンションは値が下がりにくいという傾向が現われます。

 

首都圏でも10年で新築時の半分に下がってしまった極端な例が少なからずあります。これは、その地域における需要と供給の関係が大きいのですが、それだけでもありません。

 

その地域の中でも条件が特に良くない物件だからです。何がよくないかを一言でくくることはできませんが、物件固有の条件によることだけは確かです。

 

需要の少ないエリアでは中古価格は下がりやすく、需要の多いエリアであっても、固有の条件によっては、やはり下がります。

どのような地域にせよ、少しでも高く売れそうな物件を選びたいものです。

とはいえ、条件が全部揃うマンションは中々ないものです。従って、あちら立てればこちらが立たずと悩み・迷う買い手さんは少なくありません

 

そこで、優先順位を設けて後順位の枝葉末節部分は切り捨てるような選択態度が望まれます。それでも簡単ではない現実があるようです。次のようなご相談事例がありました。

駅に近いことを優先するべきであることは分かるが、駅近物件には満足できるものがないと悩んでいる。そんなとき、駅から少々遠いこと(徒歩12分)を除けば満足度の高い物件を発見。駅近を優先順位のトップに掲げて探して来たが、それを捨てても購入したい。だが、20年くらい住んだら売却するか賃貸する予定なので判断に迷う。あまり高くは売れそうにないし、賃貸するにしても家賃は高く取れない。が、環境も建物の内容もいい。どうしたものか」と。

 

将来の売却価格が下がること必至という場合の考え方

このような場合、次のように考えを整理してみることをお勧めしたいと思います。

◆売却や賃貸は、20年以上も先のこと。そこまで予想するのは本来難しいことである

◆住まいは何のためにあるのか?日々の暮らしを豊かに送るための基盤ではないのか。駅から遠いという問題はあっても、さほど苦にならない程度なら、そちらを選択すべきではないのか。

◆20年後に売却するとき、値下がりは間違いないだろう。でも、下がり方が極端でなければいい。その許容範囲は、どのくらいだろうか。単純に金銭的な損得だけで判断してみる。20年マンションの価格は今、いくらかを調べてみたら大まかな予想はできるかもしれない

◆20年後に購入価格の半分になったとする。しかし、住宅ローンは半分以上返済が進んでいるので、銀行の清算をしても手残りがある。少なくとも頭金以上の金額が残る。これなら損はない。仮に、売却せず賃貸したら、駅前物件ほど高くは貸せないが、ローン返済に充当できるくらいの額は取れそうだ。とすると、最終的にはローンなしの物件が残る。そのときに売れば、更に売値が安くなっても手残りはある。

◆仮に4000万円の借り入れをした場合、20年後に残金はいくらになっているかをネットのローン計算ソフトで計算してみると、35年返済、固定金利1.2%の固定金利の場合、残債は1920万円。仮に頭金500万円で4500万円のマンションを購入した場合、20年後に半値の2250万円になってしまったら、これを精算すると手残りは僅か330万円だ。頭金500万円や初期投資の各種費用もあるので、半分も戻らない計算になる。

◆毎月の返済額11万6000円と管理費等を合計した金額が約15万円だから、これでは、賃貸マンションに住んだ場合と負担は変わらない。ほかに固定資産税の納付もある。

とするなら、賃貸マンションの方が良いかも。本当にそうなったときは、きっと暗澹たる気持ちになることだろう。しかし、そのままローンが終わるまで保有したとき、半値をさらに下回るとしても1500万円くらいにはなりそうなことに希望が持てる。

◆それに大家さんに気兼ねして住む家とマイホームでは満足感はまるで違うではないか

◆その地域の人口が激減した場合はどうなる?やっぱり専門家に聞いてみよう

 

住まいはどうあるべきかの原点を整理しておきましょう。

人間には欲が付きものですから、居住性も高く、且つ将来の資産価値も高い物件を望みがちです。しかしながら、それには予算を大幅に上げなければならない場合も多いことでしょう。

それが可能な人は、値下がりの小さい都心の人気エリアに求めればよいですが、簡単に行かない人はどうしたらよいのでしょうか

 

その場合は、次のように方針を決めて探すというのはいかがでしょうか?

◆そもそも家を買うのは何のため? 老後のことを考えたら賃貸マンションで良いわけがない。それに家賃が勿体ない。だから家は買う。この考えをしっかり固めておく。

◆マイホームは、日常生活がしやすいこと、快適な暮らしが基本。通勤・通学の便が良いこと、子供のいる家庭では子育てがしやすい環境にあること等が大事である。

◆住宅ローンに追われるようなストレスはない方がよい。つまり、無理な資金計画のもとに買ってはいけない。

◆駅近で、かつ広い住戸を求めても無理と分かったら、広さを我慢して駅近を選択する。我慢の範囲は、現状の住まいにプラス10㎡(例)などと定め、欲張らない・高望みしないこととする。

◆我慢できる広さの物件がないときは、駅からの距離を少しだけ妥協するが、バス便だけは避け、徒歩10分以内を許容範囲と定める。または、中古物件を探す。立地を優先する。これは、将来の売却価格が下がり過ぎないことを考慮した選択である。

◆売却の時期は10年以内を目安とし、その間の暮らしに支障がない広さでいい、次にランクアップすればいいと割り切る

 

以上のように整理してみてはいかがでしょうか?

 

マンション探しで迷走している人の整理術

新築が高いので、中古に方向を変えてみたが、良い物件に出会えないまま1年が経った。振り返ると、いいなと思った物件もあったが、一足違いで買えなかったり、良さそうに思った物件は内見に出かけてみると、目の前に隣のマンションが壁のように立ちはだかっていたりと縁がない

 

ときどき新築に戻ったりもしたが、高過ぎると思った。中古は、新築に比べると設備は古いし、わくわくする気持ちがわいて来ない。リノベーション中古も見たが、新築のモデルルームのような感動を味わったものの、築年数が40年と聞いて怖いと思った

 

このような人は、次のように方針を整理してはいかがでしょうか?

◆中古で良さそうな物件を見つけたら、リフォームを前提とする。つまり、室内に関しては鼻から期待しない。ただし、全面的なリフォームではなく、間仕切りは壁紙を貼りかえる程度に抑え、一部の設備を交換するだけのプチリフォームに留めると割り切り、総予算は200万円か300万円までなどと決めておく。

◆中古物件の候補地を複数決めておくが、駅から徒歩5分以内を厳守する

◆建物は、ブランド力にはこだわらないが、少なくとも50戸以上(郊外は100戸以上)の規模があり、外観デザインに優れたものとする。

◆築年数はできたら新しい方が良いが、20年くらいまでは良しとする。

◆バルコニー前面の建物まで30メートル以上の距離があること、もっと近くてもいいが、その代わり屋根を飛び越えて遠くを望めることを条件にする。

◆見学に行っては裏切られることの繰り返しだったので、物件紹介サイトに眺望写真が載っているもの、若しくはグーグルマップで隣接マンションとの距離感をチェックして問題なさそうなものだけを見学する(間取りだけで飛びつかない)

◆場合によっては3階以下の部屋は候補から除外する

◆新築も諦めないが、竣工時期が1年以上であるとか、価格が未発表の物件は候補から外す

AERA.dotの記事が公開されました。

https://dot.asahi.com/dot/2019082100035.html

https://dot.asahi.com/dot/2019082100036.html

「晴海フラッグ」に関する三井健太の投稿です。参考までにご一読を!!

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

新・マンション購入を考える

是非ご購読ください。680本以上の記事があります。

ちなみに、8月10日の第689回は「選手村マンションの未来」です。

 

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マンション業界の裏側を知りつくした、OBだからこその視点で切り込むマンション情報。買い手の疑問と不安を解決。マンション購入を後押しします。