マンションコミュニティの女性読者39%に対して、筆者の投稿した記事(5件)の読者は女性が46%(次図)。
さらに女性読者層を拡げるべく、これまでよりも柔らかいテーマを取り上げてみた(間取り図が柔らかいテーマか?)。
「スムログ読者はこんな方々| マンション・チラシの定点観測」より
意外と思われるかもしれないが、業界の自主ルール「不動産の表示に関する公正競争規約」では、「パンフレット」も「折り込みチラシ」も、間取り図を掲載することが義務づけられていない。そのせいか、結構いい加減な間取り図が散見される。
北側が上に描かれていない間取り図はもちろん、方位記号が描かれていないチラシとか。
よく見かけるのは、見栄えのいい南西角住戸やルーフバルコニー付き住戸ばかりが掲載されたチラシとか。
これまでに”観測”された気になったチラシのなかから、3つの事例を紹介しよう。
【もくじ】
事例1:実は西日が強烈な西向きマンションだった
事例2:実はリビングに面したバルコニーが無いマンションだった
事例3:3つの不都合をカムフラージュした間取り図
事例1:実は西日が強烈な西向きマンションだった
畑地に建つ、駅から遠い中規模マンション。※東京駅直通13分、駅徒歩22分。総戸数52戸、10階建。平成25年2月下旬竣工済み。
新聞半紙大のチラシ裏面に掲載された間取り図は3つ。
方位記号が右を向いたり、上を向いたり。
こんな感じ。
![事例1(チラシ)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/1-1-300x135.jpg)
![事例1(全体配置図)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/1-2-300x112.jpg)
逆にいえば、見栄えのしない中住戸は、6タイプのうち4タイプ(B〜E)もあるのに、チラシに掲載されているのは一つ(D)だけ。
さらに方位に合わせて、全体配置図を回転させたのが次図。
![事例1(方位補正後の配置)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/1-3-121x300.jpg)
事例2:実はリビングに面したバルコニーが無いマンションだった
駐車場跡地に建つ小規模マンション。※大手町駅直通14分、駅徒歩9分。総戸数24戸。平成24年3月上旬竣工済み。
B3判チラシの裏面に掲載された4つの間取り図(次図)。
![事例2(チラシの間取り図)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/2-1-300x109.jpg)
方位がバラバラに描かれているだけでなく、AタイプとCタイプの間取り図の並びが、実際の住戸の並びとは左右逆に配置されている。
不都合な真実を覆い隠そうとする、よくある配置だ。まともに配置し直すと、次図のようになる。
![事例2(配置の並び替え)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/2-2-300x219.jpg)
![事例2(バラバラの住戸を合体)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/2-3-269x300.jpg)
しかも、どちらのタイプもリビングに面したバルコニーが無いことが一目瞭然。
チラシの間取り図配置から受ける印象とはずいぶん違う。
事例3:3つの不都合をカムフラージュした間取り図
幹線道路に面した小規模マンション。※大手町駅直通10分、駅徒歩5分。総戸数43戸。平成23年1月31日竣工済み。
B3判チラシの裏面に掲載された3つの間取り図は、こんな感じ。
![事例3(チラシの間取り図)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/3-1-300x134.jpg)
なぜか?
以下に解説していこう。
チラシに掲載された全体配置図を見ると、住戸の並びは、G⇒K⇒Iではなく、I⇒H(K)⇒Gとなっている。
![事例3(全体配置図)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/3-2-300x235.jpg)
![事例3(並び替え)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/3-3-300x283.jpg)
Kタイプだけが、柱の位置がずれて掲載されていた理由の1つは、Kタイプの住戸にエレベーターシャフトが食い込んでいることを気が付かせないための工夫。
2つ目に考えられる理由は、住戸の方位(日当たり)をカムフラージュするため。
3つの間取り図の左下に、それぞれマッチ棒の先ほどの小さな方位記号と1ミリに満たない極小の「N」の文字が記されている。
方位に従って、3つの間取り図を並び替えると、次図のようになる。
![事例3(方位補正後)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/3-4-162x300.jpg)
![事例3(方位補正後の全体配置)](https://www.sumu-log.com/wp-content/uploads/2016/05/3-5-236x300.jpg)
ということで、3つ目に考えられる理由は、3タイプの住戸が、幹線道路に面した住戸であることを目立たせないためだったのである。
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