第168回 中古探しで業者は頼りにならない?

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このブログは居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論を展開しております。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

若いころのことですが、営業部門にいた筆者の記憶では管理見込み客の中から契約に至る確率は20%くらいでした。フォローすべき客、契約になってリストから消える客、他を買ったなどの理由で消える客、引き続きフォローを続ける客というふうに仕分けしていると、どこかで線を引いたとき、少なくとも10人に一人が契約になったと記憶しています。

 

消える管理客がある一方で新規客が加わり、管理客のストックは常時一定数あったとも記憶しています。その数は少なく、大体20人あるかなしかでした。20人あれば1か月で2人が成約になる確率があって、ノルマは達成できました。新築マンションの販売なので、物件によってバラつきはあるのですが、担当者の数が多いので、一人当たりにすると多くはなく、苦労することなく契約に持ち込める見込み客は平均すると1か月に一人あるかなしかという程度でした。あとの1件は、粘り強くフォローして契約に持ち込む必要があったのです。

 

最近の営業マンは、どのくらいの見込み客を管理しているのでしょうか?そんな興味があって、ある大手の仲介店で尋ねたことがあります。すると、驚くほどの数を管理していました。正確な統計を見せてもらったわけではないのですが、100人もいる感じでした。大手だから反響も多いのかもしれません。

 

会話の中から推測すると、見込みがあるのかどうか不明の客も多いようでした。メールで連絡する時代になって、物件情報を送っても反応がないので、興味がない物件なのか、それともどこかを買ってしまったのかを把握できないというのです。現地案内にならない客は見込み客とは思わないという発言もありました。

 

内覧のときに一度でも面談している客、資料請求だけで面談したことのない客、「出たら教えて」の登録客で面談に至ってない客などに区分しているそうで、面談した(案内した)管理客とは比較的濃密なコミュニケーションができるけれども、それ以外は希薄なのだと言っていました。

 

物件資料をお送りしても「折角送っていただきましたが、希望に合いません」とか「間取りが好みに合いません」、「階数がどうもね」といった感想を寄せる管理客もゼロではないが、無反応率は90%以上だというのです。

 

以上のようなヒヤリングの内容から、「下手な鉄砲、数うちゃ当たる式に情報を送るという作業が営業活動の大半なのではあるまいか」と筆者は感じました。

 

管理客の欲しいもの(希望に合致する物件)を正確に把握して、痒いところに手が届くような営業をしているわけではない、言い換えると「そんな営業はしたくてもできない」ということなのでしょう。ということは、物件の情報を管理客ごとダイレクトにEメールで届けるだけの宣伝マンと変わらないことになります。そういう時代なのでしょう。

 

知り合いになった中小業者の営業マンにも聞いてみました。彼の話は上述のヒヤリング内容とは隔たりがありました。大手と違い、営業がシステマティックになっていない代わりに、マンツーマンのコミュニケーションを重視しているように感じたのです。

一人一人に心づくしのメールを送る努力をしていると彼は語りました。ある見込み客の方にも接点があった筆者は感想を聞いてみましたが、彼は自分たちの好みや夫婦のこだわりの違いにも配慮しながら意見を添えて物件を送って来るというのです。

「奥様には〇〇〇〇〇〇の部分がご不満かもしれませんが、解決策としては〇〇〇〇〇しかないと思います。それでダメなら仕方ありませんが、駅からフラットアプローチで4分の長所は得難いと思います」とか、「別の物件では、ご主人の希望も奥様のご希望も満たす好物件とも言えますし、どっちつかずとも言えますが、3年前に設備の更新をしたばかりなので内装に関しては期待できそうです」といったふうに、セールスポイントだけを並び立てて押してくる感じはないいとも語っています。

 

買い手に目を転じて考えてみました

先に述べた大手仲介店のような営業、これが仲介業界共通の姿であるとしたら、買い手の希望条件に合致する、またはかなり近い物件情報が送られて来る確率は低いのではないか、筆者はそう思います。

 

管理客が100人もいたら、きめ細やかに「ピタリの情報」を送ってくれるははずもありません。期待しない方がいいのです。ポータルサイトに掲出する前のHOTな情報なども「あなただけ」と送ってくれる確率は殆ど無いと断言できそうです。

 

結局、有効な情報は待っていても届く確率は低いので、自分から探しに行くほかないのです。

筆者には検討物件の評価依頼を継続的に下さる人も少なくないので、検討過程が手に取るように分かります。

一定の狭い地域に絞っても中々気に入った物件が見つからないらしく、場所を拡大する、例えば沿線の全く反対方向へ動いたり、別の沿線に移してみたり、はたまた隣の区や逆方向の区や街に行ってみたりするようです。

また、新築に目を転じては諦め、再び中古に絞って探しているという人もあります。さらに、面積の妥協を図ろうとしたり、眺望をあきらめたりという葛藤と迷走が伝わって来ます。

 

筆者も、ときどき物件の探し方を期待されるので、その方法論をお話ししますが、皆さんとても不満そうです。最短コースでゴールに達する道を伝授してもらえると誤解していらっしゃるからです。

 

物件探しを買い手さんと同じ目線でお手伝いすることは可能ではあっても、事実上、時間がなく無理と分かりました。「評価レポート」と「将来価格の予測レポート」の作成(その前に物件調査)に日々追われているためです。少し前に特定のご相談者のために動いてみたことがありますが、結構な時間がかかり、本来業務に支障が出てしまい、結局は断念しました。

 

仲介業者の営業マンなら、それが仕事なのだからと期待もしますが、先述のように濃密な関係にない場合は、同じことなのです。「このマンションが出たら教えて」の登録を何件もしておけば、確率は高まるでしょうが、現実は厳しいのです。

 

機械的に情報は送っては来るものの、内見の予約を入れても既に内見者がいたり、「欲しい・買いたい」につながるものでなかったりで、期待外れの連続だと言います。同一マンションを2度見学した人は、1件目はタッチの差で買い逃し、「逃がした魚は大きい」と語り、2件目は「間取りがどうしても妥協できないので見送った」結果、あれから条件に合う部屋は半年過ぎても出て来ないというのです。

 

優良マンションは売り物が少ない、大型で取り引きが活発に見えるマンションも、自分たちの条件に合う部屋のタイプは半年に1件も出ない。多分そうなのでしょう。

 

滑り止めとして、複数の物件に「出たら教えて」登録をしているおかげで確率が上がったという声も、たちまち目指すマイホームに辿り着いたという声も聞きません。結局、業者から見て大勢の客の一人に過ぎないということかもしれません。

 

スーモカウンターに行ってみたが、中古は紹介してくれず、とんでもない方向の新築ばかりでした。予算が少ないので中古に絞って探そうとしているのに、期待外れでした。そう語った人もありました。

 

物件情報を集めるだけなら、メールチェックと同じように、物件名を特定した複数の業者のサイトをブックマークしておいて、定期的にチェックに行けばいいのです。

その段階に至っていない人は、SUUMOやHOMESなどのポータルサイトから条件を入れて検索するしかありません。つまり、自ら探しに出かけるほかないのです。業者に登録しておけば、ポータルサイトにない物件情報を優先的に提供してくれると思い込んでいる人も多いようですが、ネットワークREINSには登録が義務なので、業者間ではたちまち拡散してしまうのです。

媒介契約を締結してから1週間くらいの未登録期間があるので、その間に「あなただけ」と知らせてくれることも稀にありますが、先述のように濃密な関係にあればこそかもしれません。販売用資料を「新着物件」としてまとめて送るのが定番だから、「あなただけ」という情報送信はしてくれないと思った方がよいのです。

 

待っていてはダメ」が筆者の考えです。こまめにチェックして良さそうな物件を見つけること、その先は第164回「中古マンション探しの肝はここだ」https://www.sumu-log.com/archives/11872/をご参照いただければと思います。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。※三井健太の新サービス「マンション探しのお手伝い」はこちら

 

 

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