まずは街を知ることから始めたい、という迷いすぎさんから本のリクエスト。
目次
読者からの質問
誰に答えて欲しいですか?
・全員
東京都区部 (+近郊) のエリアガイドのような書籍がありましたら教えてほしいです。
今まで賃貸を探すときは不動産屋さんから条件に合った街をピックアップしてもらいましたか、いざ買うとなると変数も多いため街をピックアップして足を運んで決めてから物件を探すのが自分たちの考え方に合って納得できそうだからです。
勤務先は東京・品川・日本橋ですが現在はほぼリモートワークなので遠くてもよいものの、会社からオフィスへ戻れと言われたり出社基本の会社に転職ということもありうるでしょうから都区部希望です。少し出ても良いですが東京都の子育て支援は強すぎます。
現在は江戸川区南部に住んでおり、津波や洪水の際に浸水するリスクは購入の際は気になります (たとえ建物内では高層階を選べたとしても)。
子1-2 を予定しており (1人目ガ確定したあたりで実際の動き始め) 75m² 程度が希望です。
20階を超えるような眺望や充実した共用部への憧れはなく、修繕コストなどのほうが気になるタイプです。
街から選ぶ。だから、本が欲しい。
不動産選びは、結局のところ街選びである。
そうであるなら、まずは街を知ることから始めたい——というのが、迷いすぎさんの基本方針なのだろう。
そこで今回は、ここ数年で私が読んだ中から、「街を知る」ことに役立ちそうな書籍を4冊ピックアップした。
ガイドブックとも、都市論とも、エッセイとも読める。だが一貫して、土地を読み解く力を養ってくれる本ばかりである。
陣内秀信『水都 東京 ――地形と歴史で読みとく下町・山の手・郊外』
⇒Amazon著者は法政大学名誉教授にして、建築史・都市史の泰斗。
東京という都市の“地形”に着目し、街がどう形づくられ、なぜそこに人が住んできたのかを掘り下げる。広域的な視野で東京を再構成する力作である。
- 第1章 隅田川―水都の象徴
- 第2章 日本橋川―文明開花・モダン東京の檜舞台
- 第3章 江東―「川向う」の水都論
- 第4章 ベイエリア―開発を基層から考える
- 第5章 皇居と濠―ダイナミックな都心空間
- 第6章 山の手―凸凹地形を読みとく
- 第7章 杉並・成宗―原風景を探る
- 第8章 武蔵野―井の頭池・神田川・玉川上水
- 第9章 多摩―日野・国分寺・国立
中川寛子『路線価図でまち歩き』
⇒Amazonオールアバウトの「住みやすい街選び」ガイドとして知られる著者の一冊。
タイトルの通り、路線価図を片手に街を歩くという、マニアックな楽しみ方を紹介している。
とはいえ、単なる地図の読み方講座ではない。路線価がなぜこのエリアで上がるのか、なぜこの場所は評価されないのか。地価の裏にあるストーリーを読み解く力を養ってくれる。
- 第1章 路線価図を持って歩いてみよう
- 第2章 路線価図に様々な地図を重ねる
- 第3章 路線価の変動から分かること
永江朗『なぜ東急沿線に住みたがるのか』
⇒Amazon著者はフリーライター。北海道出身で、東京・東急沿線に暮らして約40年。その実感と愛着がにじむ一冊である。
東急線沿線でマンション選びをされている方にはおススメ。
- 第1章 ぼくの東急沿線小史
- 第2章 東急線と東急線の駅のこと
- 終章 田園都市構想とほどよい距離感
三浦展『昭和の東京郊外 住宅開発秘史』
⇒Amazon消費社会研究家である三浦展氏の視点は、いつも独特だ。
なじみの古書店に出品されていた大量の郊外住宅の売出しチラシ約140枚を購入したことから物語が始まる。昭和30年代のチラシ情報を頼りに各地を訪ね歩いた労作。
- 第1部 昭和の住宅チラシの町に行ってみた
- 第2部 昭和20〜30年代4大不動産
- 第3部 幻の戦時国策組織・住宅営団の町
- 第4部 まだまだあった田園都市
どの街を選ぶかは、最終的には好みやライフスタイルによる。だが、その判断軸を自分の中でどう確立するかが重要だ。
今回紹介した4冊は、いずれもその助けになるはずだ。
迷いすぎさんの街選びが、納得のいくプロセスになりますように。
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