お便り返し-7 建て替え決議に反対?【はるぶー】

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12月はずっとブログをお休みしていましたが、組合系の質問がきていましたので、お便り返しを一つ。この質問には、追ってあかいさんも別の角度から回答されるとのことです。私が取り上げるのは長い質問が多いですね。

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質問は…

はじめまして、マンションの建て替えについて質問させて頂きます。現在、築40年ほどのマンションに住んでおり、建て替えの話がでてきています。買ったのは2年ほど前でリフォーム済みの部屋をローンで購入しております。買う時に建て替えの話を聞いたところ、議題にあがっていると聞いており将来的には建て替えになることを覚悟していましたが、実際住み始めてからは建て替えの進め方について疑問を抱いております。

まず、既にデベロッパーが決まっており(買ったときは知りませんでした)理事会との癒着を疑っています。通常は建て替え推進決議→事業協力者の募集→参加希望の会社からの提案書の提出→住民説明会→一次、二次審査を経て事業協力者の決定という流れではないでしょうか?友人の持っているマンションも建て替えになりましたが同じ戸数でも会社によって、還元率に大きな差があると聞いているため、最初から一社だけで進める場合条件が良くないのではと思ってしまいます。

また、うちが引っ越して来た後もリフォーム済みの住戸が何軒も売れており管理組合の方で何かしらの対策を練っていないのではと疑問に思います。
住民への説明も十分ではなく、何か疑問があれば決定しているデベロッパーの社員の方が質問に答える状態で(個人面談など)マンション内での疑問をぶつける場や議論する場がありません。引き返せないところまで、強引に進めている印象です。

建て替え賛成の理事達はローンはとっくに支払い済か相続でローンがない人たちばかりで、建て替えにかかる費用が苦じゃない人たちばかりです。うちも建て替えには大反対ではないものの、一社が強引に進めていくやり方にとても疑問を抱いており、このままでは反対に回らざるえません。今後、癒着を暴き、公平に進めてもらうにはどのような対策をしたら良いでしょうか?どうぞよろしくお願いいたします

”理事会に理事として参加”されては?

「ねこ」さんは妙に早く一社だけに決まったデベロッパーの選定経緯に疑問があり、公平に実施されていないという”癒着”を疑っておられるということですが、理事会などにメンバーとして参加して、過去の資料などにアクセスできない限り、それを証明することは容易ではありません。
「癒着を暴く」というのを理由に過去の情報に閲覧請求をだしても、下手をすれば理事会などから名誉棄損で訴えられる可能性もあり、もしも一人で理事会を相手にするならば勝ち目の少ない非常に不利な闘いになります。

多くの建て替え決議では、コンサルタントなどに支払うお金も総会などによらなければ確保することが困難であるために、まずは建て替えの”推進決議”(これ自体には4/5の賛成は不要です)から入り、複数社から1社がだんだんに選ばれていく場合が多いですが、もともと建て替えは扱うデベロッパーやコンサルには非常に大きな手間が発生するので早期に1社のみに絞って本気の案を出してもらうのが普通で、その段階は2年前にもう過ぎていた可能性も考えられます。

そもそも複数社から提案を聞かなければ違法といった定めはありません。理事会や総会などにおける決議が適切になされていて、手続き的な問題がなければ住民の合意形成は適切になされてきたと主張する理事会相手に「1社だけであること」で攻めても勝ち目はありません。「ねこ」さんのマンションが、もう4/5の建て替え決議を済ませているのかどうかわかりませんが、済んでいるなら対抗しようがないですし、これからでも4/5決議が成立してしまえば、あとは区分所有法の手続きに従って、催告が実施され、応じなければ売渡請求権が行使されていくことになります。

ご自身が購入する前までの具体的な経緯を調べることができなければ、「癒着」があり「不公正」に進められていたと証明することはできません。ここまで大事な部分で、不満があるのであれば、理事会に役員として入ることを目指すのが大原則だと思います。

この場合、ご自身が本案件に強く反対であることは、あまり最初は現理事会には見せずに、立て替えに向けて理事会に入って協力していきたいと言われることが大事かなと思います。

実は立候補すれば理事になれる規定/内規などをもっている管理組合(私のマンションはこれを規約・細則で保証しています)は、全国的には僅か1/3にしかすぎません。推薦などによっている組合である場合にはそもそも現理事会に過度に敵対的である人は理事にはなれないわけです。

私の知り合いで、多数の管理組合が関わる訴訟を手掛けてこられた経験を有する弁護士の桃尾さんもご自身のブログで同じお考えを書かれています。

『ゴジラに学ぶ管理組合における戦い方』
⇒ http://momoo-law.hatenadiary.jp/entry/2016/08/28/004903

最善の策として、いきなり東京湾に現れる..までは隠密行動でいたほうがよいわけです

40年の歴史の中での新参者として扱われるリスクも

お住まいのマンションは40年の歴史があり、最近購入された「ねこ」さんは過去の長い検討などの経緯をよくご存じでない可能性があります。古くからの住民さんに聞いてみたら、それもう10年前に決まった話じゃないか?とか言われる可能性はないでしょうか? うちは歴史がずっと浅いですが、7年前の総会決議を見てくださいよ。。。といったクレームはよく受けています。

これを逐一購入者にまで分かるように公示する義務は、何も聞いてこなかった人にまで事前に連絡する義務は組合側にはないと思います。”もし仲介業者などから問い合わせがあれば”うちの理事会では過去の総会資料なども公開していますが。

例え建て替え方向で議論が進んでいても、売買および、リフォームなど専有部のことはその部屋のオーナーの自由ですから、組合理事会としては「何かしらの対策」を取ることはできません。せいぜいが、あんまり共用部の修繕にはお金かけないで、積立金は貯金しておく程度ですね。

マンションの建て替えというのは過去に200例ちょっとしか存在しない(全国には10万を超えるマンションがあります)ことからわかる通り、高い還元率で(殆どただで・・・)建て替えを受けるためには
① 現在の建物が大きく容積率を余している
② 建て替えた後の建物が高い坪単価で販売可能である
の両方が満たされていなければならず、これは都心の一部などでしかめったに起こらない好条件です。 ここ2年多くの部屋が取引され、リフォームされているというのは、かなり条件が良い可能性が高いことも示しています。このようなマンションの部屋は結構な確率でプロの業者の方が購入して、賃貸で回して建て替えを待っていたりします。

新参者である「ねこ」さんも同じように、とにかく建てかえ利益狙いの人だと思われる可能性もありますね。(別に新しく来た人だから黙ってろといっているわけではありません)全戸の1/5以上の”反対”を賛同者としてとりつけるためには、ご自身が「もっとお金が欲しいだけのへたれ」さんではないのだという姿を示すしかなく、これは私も総会などで大反対演説をする人にいうのですが「なぜ理事会に入って自分の問題として解決を目指さないのですが?」と訊かれて、「ではやります!」と言える人でなければ他の人の支持を集めることはできません。

還元率について

書かれていることからは、立て替えにおける”還元率”にご不満があるようです。
実際にはもともとの専有部総面積の1.5-2倍の容積率対象面積が確保できる場合でもなかなか100%に近い還元率というのは実際には確保できません。

① 建て替えた上で、還元率の不足分を買い取る人は、そこで新しく入ってくる人と遜色のない坪単価で買い取りをしても損にならない
② 新しく入ってくるご新規さんにとって、魅力的な(売れ残りのない)坪単価設定である
③ 建て替えに最後まで参加しない人に、買い取り請求を実施する上で両者に対して損にはならない公平な値段である
④ 昨今は非常に値上がってしまった工事費用のもとで事業者も適性な利益幅を確保できる
という全員にとって損にはならない条件の”全て”を”同時”に満たす必要があって、必ずしも”還元率”が高いことが現在そのマンションに住んでいる人にとって適用な選択となるとは限りません。建て替えできなければ、単にスラム化していくだけのリスクが大きいわけですから。

また、旭化成や、商社系など、過去の経験を豊富にもったデベの一部が建て替え事業に積極的である一方で、大手デベ(財閥系2文字の漢字の会社など)は、必ずしもとくに小規模物件の建て替えには積極的でない部分もあり、立て替え事業でよく名前のでてくるデベの名前にはかなり、新築の場合とは差があったりもします。

声をかければどの会社でも本気で乗ってきてくれるというほど甘い世界でもないというのは、知り合いの理事さんで都心の経年したマンションの方からも聞くことがありますね。

参考まで

旭化成 「建て替えの現状と課題」
http://www.retio.or.jp/research/pdf/saisei_004_slide.pdf

マンション再生ナビ 「還元率はどのように算出するのですか?」
http://www.saisei-navi.jp/qa/tax_financialplan_support/%E9%82%84%E5%85%83%E7%8E%87%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%AE%E3%82%88%E3%81%86%E3%81%AB%E7%AE%97%E5%87%BA%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F

ダイワハウス 「還元率はどう決まる?」
https://www.daiwahouse.co.jp/mansion/tatekae/pdf/kangenritsu.pdf
 

!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

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ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

6 件のコメント

  • 築40年で建て替え?

    なんか地震被害でもあったの

    そのへんの事情がまったくわからない


    わらわら(*^_^*)

    • そのあと質問された方からEメールをいただいてやりとりしましたが、
      この先の細かい事情とかはちょっと書けないみたいです。
      私はまぁなるほどと納得しましたよ。
      日本の立て替えが韓国(じゃかじゃか立て替えてます)極端に少ないのは、やはり法整備
      などの遅れが問題かなぁとか思います。

      • 韓国はどういう法整備なんでしょう?

        そうねぇ
        マンション内で内紛がおきているんだから書けないわな

        それってものすごく欲求不満
        ぷんぷん

        だったら最初からメールにしろよな

        わらわら(*^_^*)

  • 勉強させていただいてます。
    今動いているマンションの建替えは容積率の余裕があって初めて成立するものだと思ってしまうのですが、最近建っているタワマンとか大規模とかのマンションって容積率の余裕は残してくれているものなんでしょうか。
    最大限まで作って作る側の利益を最大限取るだけで、4-50年後の建替え時にはにっちもさっちもいかない感じになりそうで怖いです。

    今マンションを買う方って、何年後に売却することを見越してなんて売り抜けを考える方ばかりで、あまり建て替えに立ち向かう覚悟なんてないように見えます。ババ抜きで自分だけは大丈夫、なんて思っちゃいますよね。

    一般論で結構です。最近のマンションの容積率の余裕について教えていただきたいです。

  • 日本にあるマンションは10万超え、そろそろ立て替えを考えないというのも何万とありそうですが、実際に今まで立て替えに成功したのは200ちょっとです。ブログにある通り、容積率に余裕があり、かつ都心でなければ、保留床を売ってなんてことはできないわけですが、いうまでもなく都心の土地は高価ですから、今の新築マンションは目一杯に使える容積率は使い切って建てるのが普通です。

    法律の変化や、土地の用途制限の変更などで、使える容積率が変わることはあり、もっと大きくとれる場合もあれば、逆に小さくなる場合もあります。
    今立て替えようとしているものが建ったころには、内廊下部分などの容積率参入除外はありませんでしたし、確か割と最近EVスペースなどは算入除外になってますから、これはもっと面積をとれる場合になります。一方で、もろもろの建築規制などは厳しくなる方向で絶対高さ規制などをいれている自治体も増えてきました。建て替えなら容積率は割り増しOKなんて変な法律をつくらない限りは、経済的合理性がある立て替えは難しいかなと思います。

    もう一つは日本の区分所有法などの法制度ですね。建てかえのさかんな韓国と比較すると、日本の立て替えに関しては”立て替えたほうが得だから”という理由での建て替えというのは困難になってます。

    もっとも30-40年前のマンションが今立て替えだから、今のマンションが30-40年しかもたないということもなかろうとは思うんですよね。ずいぶん、長寿命化のための技術も進んでいますから今は、配管が直接スラブにめり込んでいるなんてマンションは存在しませんし。

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