お便り返し-6 外壁タイルの凸凹 【はるぶー】

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今回は、何故かマンションマニアさんから回ってきた質問です。竣工引渡し前のマンションの外壁が、日の当たった状態でみるとタイルが凸凹しているのが気になるというものです。特定のマンションの掲示板を炎上させるのが目的ではありませんので、お名前とマンション名は伏せた上でお答えさせて頂きます。

私は、建築のプロというわけではありません。外壁タイルの問題というのは、管理組合が取り扱うことが多いもので、多くのマンションで大規模修繕などで、浮いているタイルが無数にあるという形で問題が表面化してきます。その経験などから、管理組合案件としての回答をします。

これは問題ないのか?

質問は以下の通りです;

差出人: XXXX様

メッセージ本文:

はるぶー様 マンションマニア様よりご紹介いただきました。
〇〇のスレを見ていただくと外観のタイルが酷い写真がアップされています。これは問題ないのでしょうか?直せる場合は売り主とどう交渉すればよいかご教示ください。またマンションマニア様、この件で資産価値の下落などはないでしょうか?せっかく購入にしたのに不安です。

該当の写真は以下の感じです。

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最も厳しい条件での写真で日常的には?

回答の要点を先に書いてしまうと、本件はあまり荒立てず、引き渡しがなされてから理事会による2年アフター指摘の中でタイルの壁への密着状態などを管理組合として確認されてゆかれることをお奨めします。

理事会的な視点でみると、このタイル、見てくれよりも浮いていて早期に落下の可能性があるかどうかの方が重要で、確かに下手な施工には違いないですけれども『機能上支障が無ければこのままにするしかない』のではと思います。

写真はちょうどこの建物の恐らくは東面にぎりぎりの角度で日が指している状態で撮影されています。突起物の影が長く伸びていることからわかる通り、僅かな凸凹を最も強調する短い時間だけこのように見えるだけで、これ以外の時間に普通に写真をとるとこれほどは目立たないのではないでしょうか。

実は、外壁タイルの微妙な凸凹が気になるという書き込みは、匿名掲示板などでもとても多いものです。それも最近多く見かけるようになった気がします。

実は私の住んでいるマンションも、外壁タイルの貼り方が棟によって異なっていて、中には同じような条件で光の当たる角度によってはこれほどではないですが妻側の面で凸凹が目視できる棟もありますが、打診検査の結果が良好(落ちてくる心配がない)のであんまり気にしていません。わざわざ騒ぎ立てない限りは、”資産価値”を気にするほどの不具合でもないと思います。

タイルの施工方法いろいろとその変遷

超高層などでプレキャスト工法(水平な位置で、タイルが貼りついているコンクリの塊を工場で作ってくる方法です)のタイルは面精度が出しやすいからタワーとかではあんまりこの手の問題は起こらない(別の問題は無数にありますが)。

一方で、モルタルを”厚塗り”するのは、大規模な剥落をおこしやすいことが分かってきたことと、工期的に厳しいこと、コンクリの躯体の精度が向上してきたことなどから、今は上から職人さんが貼っていくという方法はあまり採用されなくなってきているように思います(近所の新築マンションなどみていると割とタイルと壁が一緒にできあがっているように思える・・・)。

タイルの施工方法についてはこちら。
http://suzuseito.co.jp/tileseko.html#saki

質問の方のマンションは、「タイルシートによる形枠先付け工法」で作られているのではないかなと推察しました。この凸凹を問題にされるのでしたら、まずは施工方式の確認が最初になろうかと思います。

普及クラスの45二丁掛タイル(タイル部分のサイズが45mm×90mm)程度までは、シート状になっているタイルを裏返しにコンクリを固めるときの外枠に貼って、コンクリを作るときに一気に現場で壁として仕上げてしまう方法で、”うちこみ”タイルと言われる方式で壁と一体化して作られているのではないかと。

これが観る角度や日の当たり方によって多少凸凹して見えるというのは、確かに買った人にとっては悲しいかもしれませんが、きちんとコンクリに張り付いているかどうかの方が大事だと私は思います。

きちんとくっついているタイルをわざわざ剥がして貼りなおしても良いことはあまりありません。コンクリート躯体に打ち込まれているものが、モルタルで貼り付けになるわけですので、さて全面修理が可能で、例えば売主さんがやってくれるとしても直すのが得策かどうかはすぐには分かりません。

また、ある程度以上の大きさのマンションで利用されているタイルは特注色な場合が多くて、タイルというのは何万枚かセットで窯で焼いてつくるのですがなかなか同じ色のものを再び作ることができません。一部補修すると直したとこだけ違う色だ・・・とか深みにはまっていきやすいので、美観だけの問題では触りたくはないというのが理事会側からみたときの正直な感想になります。

おすすめするのは

実は外壁のタイルに大きな浮きがあるなど著しく大きな故障率がある場合には、2年以内に管理組合から指摘することによって無償で工事を受けることができます。外壁タイルの瑕疵担保保証期間が実は2年しかないということは、理事長などをした人にとっては常識ですが意外に知られていません。

売主対管理組合理事会で一番もめやすいのが実は外壁タイルです。外壁は”共用部分”になるので、専有部をもっている個人が文句をいっても、相手の売主は管理組合が立ち上がったら、組合に相談してくださいと逃げることができて、かつそれほど間違っているわけでもありません。特に1戸でも引き渡しが済んでしまった場合には管理組合のみが売主からみた交渉相手になります。

この気にされている外壁面については、全面を打診検査してみて、浮きの有無を確認されたらよろしいかと思います。長めの打診棒を数千円で買ってくれば、3mくらいまでの高さまでは理事会の役員でも確認可能ですが、タイルの全面での検査となるとぶら下がってプロにお願いするしかないのでお金がかかります。1年目のおしまいの通常総会か、2年目のどこかで臨時総会をして、”売主と関係のない”第三者に見てもらうことを私は理事長の会では強くお奨めしています。

その結果を受けて
① 単に美観だけの問題なのか
② 面精度が著しく悪いなど、タイルの剥落につながるような不具合があるのか
で、その先の方策を決められたらよろしいのでは?と思います。

幸い、購入された売主は2年くらいで”とんで”しまうリスクはない会社ですので…
多分一人で掲示板に書き込んでいるより、管理組合全体で売主に対しとりくんだほうが得られるものも多くなると思う次第です。ただし、多分質問された方の買われた売主さん系列の管理会社は、1期理事は立候補を受けないと思いますが…

蛇足ですが

私は、もともと集合住宅に、剥落のリスクの大きな外壁タイルを多用するということ自身に批判的です。なんかタイルでないと高級じゃないみたいな考えをする人が多くて、なかなか減ってきませんが、先進国のなかには”外壁タイル”を使用することを違法建築としている国も結構あって、そっちのほうが志が高いような気もしているんですよね。修繕コストの多くの割合を占めるので、タイルが落ちてこないようにするために、うちのマンションでいうと何億円というお金が周期的に必要になっていますから…いっそタイルとかやめにしない?とか提案しても通らないだろうな…

どのマンション?とか詮索するのはやめましょう。
また、例外的ですが荒れやすいテーマですので、本ブログエントリーにはコメント欄をつけていません。

!! 重要 !!
本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。
また私は建築を生業をするものではなく本回答に責任を負うことはできません。詳しくはマンション修繕の専門家に相談してください。

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ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。