第25回 新築マンションの値引き交渉は簡単?

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このブログは、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介しようというものです・・・原則として毎月5と10の日に投稿しています

 

 賢明な読者はお気付きと思いますが、建物が完成して数か月経過した売れ残りマンションが増えています。

 

 新築マンションは、購入者の家族に小中学校児童がいる場合に新学期への移行期の4月までに引き渡しをしようと、概ね12月の工事完成を目指します。

 

 数百戸の大規模マンションになると、全世帯の引っ越しの日程調整の関係から、前年1112月に完工させます。

 

 売主の決算期が3月になっていることも多いので、売り上げ計上基準の「引き渡し」をしたいという社内事情もあって、中小規模のマンションにあっては3月初旬の完工で3月末のユーザー引き渡しというタイトなスケジュールの物件も少なくありません。

 

 完成マンションで未販売住戸があれば、「在庫品」ということになります。いわゆる売れ残り品ということです。(完成してから売り出しを掛ける例もありますが)

 

 さて、1月~3月の建物完成から79か月を経過しましたが、売れ残りを抱えている売り主は在庫をどのように処分しようとしているのでしょうか?

 

 各社の方針や戦略は様々ですが、共通しているのは値引き販売です。売れ残りの直接の原因は違っても、最終的には安ければ売れるという事実があります。買い手の立場でも、「少し気に入らないところもあるが妥協できないこともない。最後は価格だと思います」と筆者へのお便りの中で述べています。

 

 つまり、「価格交渉がうまく行ったら買おうと思います」。「ついては、交渉の仕方を教えて」や「いくらくらいまで可能ですか」というお尋ねが頻繁に届くのです。

 

 そこで、今日は値引き交渉の考え方と交渉の方法論のさわりの部分をご紹介しようと思います。

 

●はじめに:成否は相手次第

 交渉事は相手があって成り立つ話です。相手が強力か非力かで成果は当然違いますし、タイミングによっては強力な相手でも満足し得る成果を引き出すことが可能です。

 一律の交渉技術などというものはありませんし、傍観者たる筆者が保証できるようなものでもありません。

 

 個人の買主から見れば、交渉の相手は強大な力を有する企業です。その相手と対等に渡り合うことは可能なものでしょうか?このような疑問を持つ人もあります。しかし、相手にも弱みがあるのです。筆者は、気を強く持って交渉に当たるようにと助言するようにしています。

 

 ただし、何事も例外はあるもので、どんな方法・作戦で臨もうと、「梃子でも動かない業者」、「非常に手ごわい業者」もあることをお断りしておきます。

      (このブログで業者名を公開することはできません) 

 

 一方、買い手にとって最終の決め手になる値引き額とは、どのくらいでしょうか? 物件価格の5%でしょうか?10%でしょうか?これも個人差がありますし、物件にもよるわけですが、大きければ大きいほどよいことは確かです。

 

●値引きが可能と思われる物件(その1)

 どなたもご存知かと思いますが、値引きをしてくれそうな物件の代表は、「モデルルーム価格」と表示している物件です。

 

  建物が竣工して売れ残りがあるケースは、例外なくマンション本体にモデルルームを移動して販売活動を行っています。それまで、貸しビルの中や借地して建てたプレハブ小屋など、外部にあった「棟外モデルルーム」から「建物内モデルルーム」へ移るのです。

 

 建物本体内のモデルルームは、ショールーム兼商品です。たくさんの人の出入りがあり、ドアというドアを開けたり閉めたりします。多くの人々が素手で触るのです。ガラス越しに覗くわけではありません。

 このような、いわば手垢のついた商品ですから安くなって当然です。マンション広告を見ると、「モデルルーム価格」と書いてある物件があります。これが安値にした住戸で、2室程度をセールに出しているのです。ただ、元の価格(定価)がいくらかは広告に掲載されることはありません。

 

 これは直接現地に行って尋ねるしかありません。ともあれ、その値下げ額は何百万円単位ですから、検討の余地はあるはずです。少なくとも200万円、大きいものでは500万円くらいの値下げになっているものです。

 

●値引きが可能と思われる物件(その2)

 完成済みでありながら「第〇期〇戸。××月××日から登録受付開始」と、いわゆる期分け販売における「新発売」を謳う一方、同じ広告誌面に「先着順受付中〇〇戸」とあったら、販売に苦労している物件と見て間違いないでしょう。

 

 未完成物件でも同様の物件を見ますが、こちらは苦戦中とは断定できないケースがあります。

 

  また、「再登録受付」というのも候補に入るでしょう。これは登録キャンセルになったので、もう一度登録をやり直すというわけです。「キャンセル住戸の先着順受付」でもいいわけですが、業者の販売戦略上、こうした方が良いと判断したのでしょう。

 ともあれ、このケースも値引き可能物件と見て間違いないと思います。

 

●値引き額を明示している物件

 モデルルームを販売しているケースは元の価格が分かりにくいと述べましたが、分からないだけに広告のインパクトが弱いのでしょう。

 そこで、はっきりと「000万円を000万円に下げます」と謳う必要に迫られる物件も登場します。

 

 このときの金額はまちまちですが、小さいものでは200万円から大きいものでは1000万円以上の実例があります。

 

 最近で多額な値引きのケースは、少し遡りますが、20123月竣工の「桜プレイス(高田馬場11分)」が、1年後に5980万円を5380万円に(600万円)。6440万円を5780万円に(660万円)、最大660万円(約10%)引き、その他は500万円引きと広告で明示していました。

 

 このようなケースは、モデルルームの分譲と限っていません。仮に、特定住戸のみを値下げすると表示してあっても、実態は在庫をすべて値下げ処分すると見て間違いないのです。

 

 先に述べた「モデルルーム分譲」も、実は在庫全部の値下げ処分の含みがあります。しかし、売主にとっては、そのように表示することのデメリットがあるため、建前として「手垢のついたモデルルームだから」ということにしているに過ぎないのです。

 

 どのようなデメリットでしょうか?

 まず一番は、定価で購入した既存の契約者からクレームが来ることが挙げられます。定価購入者にしてみれば「高く買って損をした」という気分になるからです。「不公平だ」とクレームをつけて来る契約者が現れることを恐れているのです。

 

 もうひとつのデメリットは、全部を値下げするかのような表現は「売れていないので仕方なく」と語るようなもので、新しい顧客に弱みを見せるだけでなく、売れないものは悪いものという印象を与えてしまうことです。それは販売促進のスピードを一段と低下せるはずで、それを賢明な方策ではないので例は多くありません。

 

 では、値引き額を明示してしまった物件はどういう状態を意味しているのでしょうか?

 それは、最後の手段に訴え出たのです。同時に、値下げ金額の大きさがインパクトあるレベルであれば集客効果は高いと考えた結果とも言えるのです。

 

 このような方法で、既存の契約者からのクレームはないのでしょうか?

 

 このようなケースは大抵竣工1~2年を経過していて、「新古品」と見なされ、クレームは少ないだけでなく、既存契約者(入居済)は、早く完売してくれと願うもののようで、クレームは来ないのです。

 「いつまでも売れない、ひどいマンションを買ってしまった」と思いたくない、思われたくないという購入者心理と考えられます。

 

●値引き交渉の語り出し

 モデルルーム販売という広告を見て販売事務所(マンションギャラリー)を訪問し、買いたい部屋が残っていたら、「こちらもモデルルーム同様にお値引きして下さいますよね?」と、さも当然といった顔で言ってみましょう。

      (この先はブログでは憚ります)

 

●表向き値引きしていなくても

「決算前ですので、〇〇万円ほど勉強させていただきますから、この機にご決断ください」などと誘ってくる営業マンもあります。会社から値引きの枠をもらっているようです。

  このケースもチャンスは大いにあります。頑張って大きな値引きを勝ち取りましょう。

●値引きの額に根拠は要らない

 ご相談者の多くが「値引きの根拠とするため、適正価格を知りたい」とおっしゃいます。適正価格を評価レポートの中で示すのはいいのですが、それを持ち出して値引きの材料にするのは得策ではないとお伝えしています。

 

 買い手にとって、安ければ安いほどいいのであって、例えば「不動産鑑定士の鑑定結果がいくらだから、この価格はいくら高い。よって、ここまで下げろ」などの理屈は通用しないのです。

 ご相談者の意図は違うかもしれませんが、どこかに「交渉時の拠り所」となる数字が欲しいという心の動きがあるものと推察できます。

 

 どこかの家電量販店が、「当店より安い他店がありましたら、同じ金額まで価格をお引きします」という販促手段を駆使して成長しました。これは、同じ型番の商品と分かるから可能な商法です。マンション・不動産のような唯一無二の商品には当てはまりません。

 

 その意味からも、たとえ100万円でも得した気分になることがあれば、500万円の値引きでも得に感じない商品もあるはずです。

 

 また、元々が高値であれば、少しくらい値引きしてもらっても安いとは感じないはずです。

 

 反対に、元々が大変優れたマンションで、魅力を感じていたものの、高いことだけがネックで逡巡していた人にとっては、100万円でも背中を押されたように感じるということがあるのです。

 

 大事なことは、値段に見合った価値あるマンションかどうかです。ただ、その見極めは中々難しいところがあります。そのようなときは、第三者の意見もお聞きになるといいでしょう。

 

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