スタグフレーションが起きたら、マンションの維持費が心配だけどどうするの?

はい、今夜も悩める子羊たちからのお便りを読んでいきますよ。

差出人: 東京ベイ

誰に答えて欲しいですか?
のらえもん

メッセージ本文:
のらえもんさんに質問です。よくスムログ内外で「これからインフレ(スタグフレーション)になりそう」といった話をされてるかと思います。
この件に関して、私自身も概ね同感です。(スタグフレーションの傾向が強いと考えています)
もし、スタグフレーションが発生した場合、修繕積立金が大幅に足りなくなりそうで怖いです。
また、上記を回避するために修繕積立金を(インフレスピードに合わせて)上げた場合でも、修繕積立金・管理費の値上げ、金利上昇等の影響により、退去する人が増えたり、滞納が増えてマンションの運営が厳しくなるのではと考えてしまいます。

インフレ・スタグフレーションによる修繕積立金やマンション管理への影響について、のらえもんさんはどのようにお考えでしょうか?


私に直接の質問だったので担当させていただきます。ううむ、これは私も心配しております。しかし、世の中の潮流なんだからあんまり心配してもしょうがない、大丈夫大丈夫!!以上!というのも良くないので、少しだけ、用語の解説から、なぜ半分大丈夫、半分心配と考えるかを書いておきます。


インフレーションモノの値段が高くなっていくが、賃金も上昇する。金利機能が働く。世界的な潮流としてはインフレである。日本は逆で長らくデフレだった。つまりモノの値段が安くなっていくが、人件費も下降する(でも年金は長らく下がらなかった!)。

スタグフレーションモノの値段が高くなっていくが、賃金は変わらない。(たぶん)金利はゼロ近傍のまま。ゆっくりと貧しくなっていく状態で、実は日本は既にこの傾向にある。

ステルス値上げと言って、「お菓子が小さくなっているにもかかわらず値段そのまま」というのが話題になっていますが、コンビニ行ってもスーパー行っても、ちょっとづつモノが高くなっているなぁと感じませんか?実際、身近に値上げは頻発しています。これ、他国がインフレの状態なのにその国の貨幣と円相場が全く変わらなかったら、円が相対的に弱くなっています。米国は約2%のインフレ率ですが、ドル円相場は2017年からあまりかわっていません。つまり2%づつ円が弱くなっているのと一緒です。

日本はエネルギーや資源を海外から輸入しています。だから、今までの値段だと買い負けてしまうので円から見ると高い値段で輸入しなければなりません。日本はこれから大きく伸びそうな成長産業があまり見当たらず、かつどんどん老人が増えていき、その老人のお世話に大量の若者を投入している…となると、今後円が強くなっていくことは難しいかなと思います。
現在、政府は支出の41%を国債を発行することでまかない、その国債を日銀が買い込むことで金利上昇を抑え込み、何とか成り立たせています。

令和3年度一般会計歳出・歳入の構成より
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a02.htm

みんな見て見ないふりしているけど、これは円を薄めているのと一緒ですから、国際的に見れば日本円で暮らす人みんなで弱くなっていくのです。資源や食料が高くなって、値上げがどんどんこれから来ます。これを反転させるためには、賃金を上げないといけません、その前に適切なリソース管理と人口維持が必要で、この解決は政治の世界になってきます。。。

 

さて、話を戻して、日常のマンション管理費の内訳ってどうなっているのでしょう?管理会社の委託経費は、大きく5つの種類に別れます。

・事務管理業務費
・管理員業務費
・清掃業務費
・建物・設備管理業務費
・管理報酬

他にも電気料とかあると思いますが、管理委託費に比べれば微々たるものです。
はい、これ何が言いたいかわかりますね、上記5つの項目はほとんど人件費なんですよ!先ほど言ったように、スタグフレーションが起こる→人件費は高騰しない→だから、そこまで心配いらない。というロジックでいかがでしょうか。なお、インフレだったらあなたのお賃金も上がるので大丈夫!ついでに変動金利も上がっちゃうけど労働を頑張れば大丈夫!!

さて、肝心の修繕費については?これは機械・材料と人件費に大きく分かれますね。この人件費割合をネット上で調べたけど出てきませんでした(まとめサイトのような結論ですいません)。タワマンの場合は、タワー(機械式)パーキング・エレベーター・給排水管の更新等で。ハードウェア更新にかなり費用がかかりますけど、これは建ってから数十年先の話。築10年から15年の間に必要となる屋上防水や外壁修繕などは、人件費割合が高いと考えられます。ざっくり人件費割合をフェルミ推定すると、少なくとも6割程度は人件費なのかなと。そうなると、残り機械費・材料費分の4割が例えば50%上がっても全体割合からすると20%増し程度、大丈夫大丈夫。

いや最低賃金が上がっていますから、人件費試算も10年前、5年前のままだと、今工事しようとしてもずいぶん上がっているんですよ。だから修繕費用は、相当に精査している管理組合さんでなければ予想よりも上がっていくと考えた方がいいですね。

 

…ほんと大丈夫なのか?と思われる方は、修繕費用に機械や材料の割合が相対的に少ない中規模板状マンションを買うとか、自分で修繕部分をある程度コントロール可能な戸建てにするなど、自己防衛をした方がいいかもしれませんね。

あと、本当にスタグフレーションが起きたら、マンションを買おうと思ってもお賃金では買えない世の中になります。既に都心部や、近郊・郊外でも一等地についてはそうなりつつありますね。郊外駅前再開発タワマンは地権者と沿線お金持ち、そしてパワーカップルの集合体です。

ま、マンションブロガーの言うことなんて素人の域を超えないので、玄人に聞いた方がいいと思いますよ!ええ!そんじゃーね!!

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マンションアナリスト、ブロガー、インフルエンサー。マンション購入ということに真正面から真剣に考えたブログを足掛け10年も運営しました。忙しくなりすぎて更新が滞りがちですが、スムログも引き続きがんばります、よろしくお願いします!
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