第255回 「中古マンション/価格の成り立ちと変動要因」

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このブログは10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

新築に良いものがなく中古も探したのですが、中古も意外に高いと感じています。今は新築に戻って物色中です。どうして中古は高いのですか? ・・・こんなお便りが届きます。

 

「中古マンションの候補があります。しかし、このマンションにはどんな瑕疵があるのか、逆に秘められた価値がその物件にあるのか、素人の私には分かりません。さらに、10年、20年先の見極めがしにくいです。このような疑問についてご教示いただきたい」・・・このようなメールも届きます。

 

確かに、中古マンションは、新築マンションほどの販売資料が整備されていませんし、取引は「現況有姿(見たまま)」で行われますが、それだけで決めろというのは乱暴です。

流通(仲介)業界に問題があるのかもしれません。買い手の方から要求しなければ、必要なデータが出て来ないからです。

 

新築なら何十ページにも渡る販売資料が用意されるのに、中古はそれがないのです。買い手は何をもって判断すればいいのでしょうか? 今日は、こんな疑問にお答えしようと思います。

 

◆中古は探しにくい

中古物件は物件数が常時4万戸も市場に流通しているのに、お目当ての物件に辿り着かないという実態があります。

新築マンションは年間に30,000戸前後発売されます。月平均2500戸前後です。これに対し、中古マンションの年間売り出し件数は東日本流通機構(REINS)によれば、約18万戸もあります。

年間の売り出し件数で、中古は新築の5倍強にもなっていることが分かります。

 

数だけなら中古マンションは選択肢が新築より広いのです。もちろん玉石混淆なので、「よりどりみどり」ということではありませんが、築年数を割り切れば必ず見つかるはずです。

ともあれ、年間の中古マンション成約戸数は新築に並ぶ程度の3万戸余に過ぎません。

 

買い手から見ると、中古マンションは買いにくい・選びにくいという問題点があるようです。中古マンションには不透明な点・不安に感じる点が多々あり、それに対し、中古を扱う仲介業者が新築ほど事前の準備をしていないケースが多いと思っておく必要があります。

 

中古が買いにくい5つの理由を挙げておきましょう。

理由(1) 室内の見た目が悪い

中古マンションの多くが、壁が黄ばみ、浴槽は「湯あか」がついている、ガスコンロは油まみれになっていたりします。こうした光景を目にすれば、見学者の購買意欲が高まることはないでしょう。

 

理由(2) 外観を含む共用部分が古ぼけていたり汚れていたりする

レトロ好きな人もあるのでしょうが、日本人の多くは古い物より新しい物を好む傾向があります。新しいものは良いものという先入観もあるのでしょうか、一目で古いと分かると、購買意欲はがたんと落ちるのです。

室内の見学前に必ず目にするのが外観であり、エントランスやロビー、エレベーター、共用廊下です。 定期的に清掃や修繕を実施していても、決して新築のようには見えません。

 

理由(3)設備が古い・装備されていない物件も多い

ディスポーザーは新築でも付かないものは少なくないですが、食器洗浄乾燥機は大半が装備されています。中古はこれがない物も多いのが実態です。ビルトイン浄水器なども中古マンションでは少ないのです。

浴槽のまたぎは、新築マンションなら450ミリ以下が定番ですが、中古マンションは600ミリタイプが多いことに加えて、浴室内のデザインも「お洒落感」はかなり劣ります。

トイレの手洗い器も、中古では水槽の上を利用したタイプが多く、専用手洗い器を壁に設けた新築とはグレード感が異なります。

テレビモニター付きのインターホンが100%普及したマンションですが、モニターの画像がカラーか白黒かというと、中古マンションは白黒が多いのです。

 

理由(4)バリアフリーになっていないものが多い

1階の玄関ホールから住戸前までバリアフリーになっているだけでなく、室内も大きな段差がないのが最近のマンションですが、古いマンションでは共用部も室内も段差が解消されていないものがあるので、これにも抵抗感を覚えてしまいそうです。

 

理由(5)建物に対する不安が拭えない

中古マンションが買いにくい最大の理由はここにありそうです。 先に挙げた4つの理由はむしろ付け足しと言ってもよいほどです。不安を具体的に言うと、次のようなものと考えられます。

 

①耐震性の不安・・・幾多の地震経験から新しいマンションは対策がしっかりなされているが、古いマンションは十分ではないのでは、という漠然とした不安を口にする買い手さんも少なくないようです。

 

②耐久性の不安・・・築20年以上の古いものを検討する人が主に抱く部分です。あと何年ここに住めるのだろうかというものです。

 

③瑕疵がないかという不安・・・瑕疵は「隠れたキズ」というほどの意味ですが、悪意のない売主には追及できない瑕疵担保責任のことです。まさか欠陥マンションということはないだろうかという疑問と言い換えてもよい部分です。

最近は大手仲介業者が売主に代わってガスコンロや湯沸かし器といった設備の瑕疵担保保証というサービスを導入していますが、重要なのは目に見えない構造的な部分の瑕疵に関するものです。入居後しばらく経って(例えば数年先に)発覚したとき、どうなるのかという不安です。

新築マンションは10年間の保証を付けることが法律によって担保されています。中古マンションにはそれがないのです。

大抵は個人の売主から購入する中古マンションですから、瑕疵担保は免責になっていて万一のことがあっても責任を追及する先はないのです。

 

④遮音性の不安・・・これは新築マンションでも同じですが、古いものは最近のものより遮音性が低いという先入観が働くための不安と考えられます。

 

(番外)買い手の不安を解消してくれる営業マンが少ないという問題もあります。

買い手の建物に対する不安は、営業マンの的確な説明によって相当部分が解消されるものですが、新築マンションほどの資料がそろっていないためもあって、説明不足になってしまいがちです。 一番の問題は、仲介業者の営業マンは物件に精通していないことです。期待と結果との間に大きなギャップがあることが判明した調査データもあるほどです。

 

新築マンションの販売現場では、あらゆる角度から買い手の不安を払拭する準備・営業努力が傾倒されます。そうする理由は簡単です。営業マンの担当物件がひとつ(専任)だからです。

耐震性や耐久性などの基本構造をはじめ、建物の性能に関する説明を丁寧に行ないますし、床下や壁の内部など見えない部分については、断面模型などを使って解説します。

ガラスの断熱性や防音サッシの性能は、メーカーから提供された模型などを使って体感できるようにしています。免震構造の効果をアピールするために、一般の耐震構造との差を模型の揺れで実演します。

 

これらのデモンストレーションは、新築マンションのモデルルームを見学した経験をお持ちの読者ならお分かりいただけるはずです。全ては、買い手に「安心感」や「納得感」を与えたい意図から用意された仕掛けです。

 

これに対して、中古マンションは実物を目視するしかなく、建物内部がどうなっているかなどは全く分かりません。

工事中の新築マンションを買うのと違って、実際の景色や日当たり、管理状態を確かめることができるという、一面のメリットがあるのは確かですが、それだけでは安心できません。目に見えない部分は、代わりの何かをもって説明しなければならないはずです。

その部分で仲介営業マンは頼りにならないと思う方が正解でしょう。

 

では、中古マンションを買った人たちは、どこに安心の拠り所を求めたのでしょうか?あるいは、どのような考え方をして決断に至ったのでしょうか?

これは個人差のあることで、また調査データのようなものも発見できず、分かりにくいテーマですが、筆者がご相談者との対話から分析した結果は第6章でご紹介しようと思います。

 

中古マンションを買おうかというとき、買い手には、内覧の際の観察ポイント、見えない部分の指摘事項、調査方法など、一定の予備知識が必須です。こうしたものも以下で詳しくご紹介しようと思います。

 

◆中古マンションの価格はどうやって決めるの?

新築住宅の価格は土地代、建築費、諸経費・利益から成り立っているのに対し、中古住宅は少し事情が違います。【周辺の市場動向】+【物件個別の条件】+【売主の事情】=中古価格と考えられます。

 

市場の動向と物件固有の条件が価格に反映されるのですが、そのほかに「売主の事情」があります。

取引の実情を見ると、価格が高過ぎるケース、急いでいるために安く売り出されるケースがあります。また、値引き交渉が比較的たやすい売主、反対に強気の交渉が難しい売主があります。

新築住宅は予め販売価格が設定されていますが、中古では売り出したあと、購入希望者との交渉で最終的な価格が決まるのが実態です。

 

さて、中古マンションの売り出し価格は具体的に言うとどのような方法で決められるのでしょうか?

 

先ず、買い手探しを依頼する仲介業者(東急リバブル、三井のリハウスといった看板を掲げた駅前店舗)に「査定」をしてもらうところから始まります。

査定とは、今いくらくらいで売れそうかという調査のことです。不動産業者は、同じマンションか、同じマンションにない場合は近隣の類似物件の成約事例を探し、それとの比較を「不動産流通査定マニュアル」に従って、階や向き、角部屋か中部屋か、駅からの距離、管理状態などの細かな項目ごとに行います。ここから導かれた「査定価格」を所有者に提示します。

 

◆二重価格の提示

査定価格を出しても、売主の多くが上乗せを要望するので、仲介業者は「査定価格」のほかに「チャレンジ価格」と称する二つの価格を提示して媒介の依頼を獲得しようとするのが普通です。

 

チャレンジ価格は、査定価格を上回るものなので、依頼者(オーナー)を喜ばせます。 最近は、それすらも気に入らないオーナーがあるそうで、「あと〇〇〇万円高く売れないかなあ」などと希望するようです。

買主さんから指値が入るので5%くらいは乗せておくものですが、最近は10%でも驚くほどのことではなく、「15%くらい高いチャレンジ価格」の例も散見されます。

 

仲介業者は、媒介契約を取りたいので、チャレンジ価格を提示して売主を喜ばせる一方、伏線として「査定価格」も提示しておけば、売れないときは下げてもらえるわけです。本来、安く売り出す方が買い手を探しやすいので、仲介業者は売主に価格を下げるように誘導したがるのものですが、最初からそれを狙うと依頼(媒介契約)が取れません。

 

そこで、査定価格とチャレンジ価格という「二重価格提示法」を編み出し、これが業界に定着したようです。顧客(売り依頼客)獲得作戦の行き過ぎた産物というべきでしょう。

 

実際は高過ぎて売れず、一度ならず二度、三度と値下げしてやっと買い手が決まることが多いのですが、運よく高値で買い手が決まって売主を喜ばせるということがあるのも事実です。

15%も高値で売り出したような場合、5%の値引きでも買い手は大喜びし、売り手は査定より10%高く売れてほくそ笑むというのが実態としてあるのです。

 

筆者は、このような売主を「相場上昇トレンドに悪乗りしている売主」と評しています。仲介業者にも責任があるとはいえ、売主さんの強気が相場の上昇に拍車をかけていると思わずにはいられません。

 

株式市場も同じですが、「買うから上がる。上がるから買う」という循環が上昇相場を作り上げるものです。これが加速するとバブルになるのです。現状の上昇カーブが年率5%アップ程度なら、不動産バブルを懸念することはないかもしれませんが、優良物件・人気物件になると、高値取引が成立しやすく、結果的に局所(ミニ)バブルのような現象を招いているのは確かです。

 

中古相場は、仲介業者なら誰でも簡単に調査することができますから、「高くないですか?最近の成約事例を出してください」と依頼すればいいのです。方角、階数、角部屋か否かといった住戸格差を考慮しながら納得できる価格かどうかを判断すればいいわけです。

 

売主は少しでも高く売りたいと考え、買い手は少しでも安く買いたいと考えるわけで、利害は対立します。相場がどうであれ、安く買いたい買い手は、黙って言い値を呑むことは避けたいはずです・・・しかし、過去の成約事例を指標にして「高い・安い」を論じることに意味はありません。あくまで参考価格に過ぎないのです。理論で迫ろうと試みても、「嫌なら買ってもらわなくて結構」と言われるのが落ちです。

 

◆新築マンションの価格は「原価積み上げ」

ところで、新築マンションの価格はどのようにして決めているのでしょうか?

一言で表せば、「原価積み上げ方式」です。原価とは土地代と建築費です。無論、利益も加算されます。

 

この立地で、このプランだったらいくらで売れるか?マンションデベロッパーは、現地を確認してイメージを浮かべます。無論、そのとき過去の事例・データを頭に置きます。経験のない地域、あっても何年も前というときは、他社の事例を調査して判断の基礎資料にします。

 

「この立地なら、このスケールでこのイメージの建物なら多少高くても売れるだろう」などと企画担当者、あるいは用地買収部門の担当者は考え、買収へと進みます。買収の可能性が高いと見たら、設計事務所または社内の設計部門に依頼して「ボリューム図」を作成します。

ボリューム図ができたら、概算の収支計算をして予想売り値をはじき出します。建築費は経験から推測するだけの企業が多く、作図した後の見積もり額との差異は小さくないのが実態です。用地買収前の段階では致し方ないのですが、用地買収確定後に発注予定のゼネコンから出される見積額は予算を大きく超える金額が提示されるのが普通です。

 

その懸念が常につきまとうのが建築費の予想の難しいところです。最近は、ゼネコンの繁忙が続いているせいで、マンション業者の希望する予算額に収まる見積もり額を出してくれるゼネコンは皆無に近いと聞きます。

 

新築マンションの価格は、紆余曲折はあっても、「原価積み上げ式」に決まるもので、大半は売主業者の期待値よりは高くなってしまうのが実態です。利益率を下げるという最終判断もありますが、そもそも利益率が高いビジネスではないため、下げ余地は小さいのです。

 

他方、中古マンションには原価積み上げという概念はありません。言い換えると、買った価格がいくらかは全く考慮されないのです。その点が新築とは全く異なります。次は、その中古マンションの価格について説明します。

 

◆中古マンションの価格は新築価格に連動する

中古価格は査定によって売り出し価格の目安が提示され、最終的には売主と買主の交渉によって成約価格が決まると言いましたが、査定価格は過去の取引事例を参考にして算定される「取引事例比較法」を採用しています。

 

ところが、売主が強気な価格を希望(設定)して売り出したところ、値引きもなく、あっても僅かな金額で成約になってしまうことがあります。そうなってしまう要因は当該マンションの人気の高さにあるのですが、背景には「市場の動向」があるのです。

 

市場の動向とは、先ず需給関係が挙げられます。

新築の供給が少なければ、中古が取引の中心になり、上質な中古物件は新築並みの価格になるものです。人気の高い街や駅周辺では、新築の供給が何年も途絶えていたりすると、過去の新築相場を超えてしまう高値の中古マンションが生まれます。

また、ある面積帯の物件が稀少という場合、その面積帯だけが高い価格をつけることもあります。

新築マンションが豊富に供給されている地域では、特定の人気物件以外、中古人気は盛り上がらず、価格は弱含みとなりますが、新築マンションが途絶えると、その地域で買いたい人は中古を検討するしかなくなります。こうして、タイミングによって需給バランスが変わり、高値になったり安値に戻ったりするのです。

都心の高額マンションや、郊外でも人気の駅・街では、中古マンションが新築並みの高値で取引されたりしますが、条件の悪い立地・不人気の街の場合は、築後20年も経過すると、その時点の新築相場に対し半値以下(購入価格の半値ということではありません)になってしまったりします。

 

中古マンションの価格を決めるもうひとつのメカニズムは「新築価格の動向」にあります。

中古マンションの価格は、新築価格に連動するのです。」新築が上昇中のときは、割安な中古に需要が向かいます。その結果、やがて中古も値が上がるのです。新築相場が低下すると、中古相場も低下するという関係ができています。

 

 

◆マンションの価値を左右する「街・駅の人気度」

中古マンションの価格を左右する要素について説明して来ましたが、価格の高いマンションは買いたい人が多い「人気の街」にあるものです。不人気の街で人気があるマンションは限られており、その価格は、地元では高い方であっても、人気のある街のマンションには遠く及ばないのです。

各種調査機関が毎年発表している「住みたい街ランキング」の上位にランクされる街の共通点は、駅を中心に買い物や飲食、散策、エンターテインメントなどの各種施設が豊富に揃っていることが特徴です。

 

具体的には「恵比寿」や「目黒」、「吉祥寺」、「三鷹」、「自由が丘」、「中野」、「二子玉川」といった街が該当します。神奈川県では、「武蔵小杉」や「横浜」、「川崎」、「たまプラーザ」、「藤沢」といった駅が高い人気を誇ります。

埼玉県なら「浦和」、「大宮」、千葉県では「柏」、「津田沼」などが人気の駅の上位にランクされています。

 

人気のある街は「賑わいのある街」です。

賑わいはどのようにして生まれるのでしょうか? 賑わいは人が集まり、店が流行っている、時間帯によっては並んで待つ店もある。近隣の人だけでなく観光客のようなグループも歩いているし、デートしているらしいカップルの姿も見える。週末だけでなく、平日も人が動いている。

シャッター通りはない。学生さんも中年の家族も、またシニア層も、それこそ老若男女でいっぱい。このような街は、働く場所と住む場所が混在している街、大学もある街です。昔は、住む街と働く街は区分されていましたが、最近は様変わりしています。

住むだけの街は、平日の昼はひっそりとして賑わいからは遠いですが、昼間も人が多い街は飲食店も採算が合うので連鎖的に新規出店が増え、ますます「賑わう」街となります。

 

マンションに限りませんが、モノの値段は需要と供給の関係で決まります。人気のある街は、それだけ土地に対する需要が多く、対する供給(売り地)が少ないため、地価が高くなります。

マンション開発に限定すると、ある程度まとまった大きさの土地が必要になることもあって、人気の街では容易に取得することができません。

たまにあっても、マンション開発には条件が良いとは言えないものが多いのです。例えば、駅に近いが線路沿いの土地、ビルとビルの間に挟まれた狭小な土地、駅から15分も歩く土地などです。

いずれもネックの大きい土地で、デベロッパーは創意工夫するものの、限界は超えられず、優良物件にはなりにくいものです。

狭小敷地では小規模マンションしか造ることができないので、建物としての風格や存在感が薄く、管理費が高くなるため管理人のいない「巡回管理方式」にするほかありません。

 

既存ビルに囲まれた敷地では、日当たりが悪いだけでなく、プライバシーにネックがあったり、窓先に一定の距離がないために部屋として認められず「納戸・サービスルーム」の表示しかできなかったりと、欠点だらけのマンションになってしまうのです。

 

人気のある街の大きな土地は希少価値が高く、争奪戦が激しく結果的に高い値が付きます。

繰り返しますが、人気のある街には、マンション開発に向く土地がないので新規に売り出されることは滅多にないものです。あっても、上述のような問題物件になりがちです。

潜在需要が豊富にあっても、肝腎の新規供給がないので、勢い需要は中古マンションに向かいます。ところが、人気の駅には優良な中古は売り物は少ないものです。市場に出ているものは、問題マンションばかりです。人気の駅でネックの少ない物件は、手放す人も少ないからです。たまに売り出す人があると、買い手はたちまち決まってしまうので、価格も強含みとなります。

 

◆立地条件以外に中古価格を左右する要因は?

マンションの価格は、新築も中古も物件によって大きな開きが生まれます。新築では3000万円から3億円くらいと10倍くらいですが、中古になると極端に安いものでは500万円、高いものは2億円と40倍もの開きがあります。

都心と郊外、超高級マンションと一般マンション、築後10年と築40年のマンションといったことで格差が生まれるのですが、これをもう少し具体的に説明しておきましょう。

 

地域(立地)格差については、利便性の高い立地、人気のある街のマンションが高いことは既に述べた通りで、言うまでもなく不人気な街は安いのですが、建物格差についてはどのような要素が影響するのでしょうか?

 

将来価値を決定する要素は、①立地条件(利便性と環境)、②スケール(存在感)、③外観・玄関・空間デザイン、④建物プラン(共用施設、間取り、内装や設備など)、➄ ブランド、⑥管理体制ですが、②~⑥を簡単に解説します。

 

②のスケールは、建物は大きいほど、存在感を放ち、買い手に「立派だなあ」と思わせることに役立ちます。小規模マンションは周囲の建物との比較で劣ってしまうことが多いものです。

 

③のデザインは、規模の大小を問わず、風格や上質感、高級感、あるいは個性的であるといった表現によって他との差別化が明確なマンションは住み手の誇りにつながります。このようなマンションは高く評価されます。

デザインは建物価値を構成する要素のひとつとして比重も高いのです。言い換えれば、恰好いいとか上品である、格調が高い、個性的、高級感がある、優美である、壮麗である、洗練されている、重厚感があるといった形容は資産価値を押し上げます。

買い手がモノを見たとき、デザイン性が劣れば購買意欲が低下・後退し、反対に色や形を見て「素敵」と感じると購買意欲を底上げされます。前者は価格に下方圧力をかけ、後者は売り手の期待を積み増す結果となります。

 

④の建物プランは、エントランスホール、ロビーの豪華さ、大型マンションではスタディルームやキッズルーム、フィットネスジムといった共用部分のことですが、これらが付加価値として価格に影響を与えています。内装・設備の比重は大きくありません。何故なら、中古は買い手がリフォームするからです。

 

⑤のブランド力については説明の必要が無いでしょう。

 

⑥管理体制とは、建物の劣化スピードをいかに遅くするか、そのための日常管理と修繕、改良といったものを指します。資産価値を長く維持できるマンションの条件がこれです。

清掃や整理・整頓などの日常の管理も大事ですが、それだけでは不十分で、周期的な大規模修繕を実施して行くことが必須です。ただ、その範囲が実は問題なのです。

マンションの寿命もコンクリートの質や耐久性を意識した施工方法などが「百年耐久」のマンションを次々に生んでいる昨今ですが、築30年を超えるマンションには耐久性で60年程度のものが少なくありません。

 

どちらにしても、大規模改修によって劣化の進行は抑えることが可能です。しかしながら、見た目の美しさを保つことができるかは課題として残っています。

専門家の診断を受け、悪い所は大手術を施して新築同様にすることは可能です。弱った心臓も、機能が低下した腎臓も、血流が悪くなった血管も全て交換するような、人間では困難なことも建築では可能です。従って、部分的には60歳のマンションも10歳か20歳に若返らせることが理論上は可能です。しかし、0歳にすることは建て替えない限り不可能です。

 

市場に流通している中古マンションは、5歳から50歳くらいまであります。内装に関して言えば、新築同様に美しく最先端の設備を装備して買い手を待つものから、古着を身にまとい、レトロな雰囲気を漂わせたものまで幅は広いのです。

 

その中から購入物件を選択するのは容易なことではありません。いくつもの検討物件の中から最後に選んだのが築30年を超えるかどうかといったマンションであるとき、買い手はきっと悩むに違いありません。

買い手の多くは管理状態を見るはずですが、築20年くらいまでは管理による差異は、少なくとも表面的には現れにくいものです。極端な言い方ですが、若いうちは特別な手入れをしなくても、素のままで十分に奇麗なのです。格差が表れるのは、20年を超えてからです。

金属でも長年の使用によって金属疲労を起こし破損しますし、コンクリートも長い間には亀裂を生じ、鉄筋は錆びてボロボロになります。塗装はいつか剥がれ、日焼けした後の皮膚のような状態になるのです。

しわのない老人はいませんし、男なら大抵髪が薄くなったり白くなったりします。それと同じです。

 

買ったマンションが築25年であっても、美しく、かつ大規模修繕も行われたばかりで、屋根も外壁も雨漏りの心配はないはずです。ほとんどのマンションが維持管理を放棄したまま25年を経たなどということはないからです。25年頃には大規模修繕(屋上の防水や壁面の補修など)も二度目として実施していることでしょう。

しかし、そのマンションを15年後に売りに出すときの姿はどうでしょうか?築40年になっているのです。人間に例えれば壮年です。ところが、物件によっては「くたびれた」印象を放っているかもしれません。そのころには、3回目の大規模修繕が終わり、エレベーターなども新品に交換されているかもしれませんが、問題は見た目です。

 

管理の対象となる共用部分の手入れを適切に行って来たマンションでも、経年劣化は防げないのです。早く言えば、床や壁、天井の古さ、清掃しても取り切れない汚れが建物を醜く変えて行きます。つまり、「見映え」が悪いのです。

深いしわのある顔も年輪として美しく見えないこともないですが、そうでない人もたくさんいます。しかし、叶うことなら「外形的な若返り」を望んでいる人は多いはずです。

古くなっても、そのレトロ感を「味があっていい」とされるマンションもありますが、多くの場合、歓迎されない醜さをさらけ出しているものです。

どうやったら、外形的な美観を保てるのでしょうか?人間ではできないことがマンションなら可能です。マンションの場合は、皮膚を取り換え、髪を植え換えればいいのです。これを「美容整形」と言いましょう。

しかし、多くのマンションが「美容整形手術」をしないのです。正確には改修工事を中途半端に留めていると言うべきですが、このために経年劣化は避けられず、築30年・築40年マンションが新築のように蘇えることはありません。

管理組合の財政の問題、つまり潤沢な積立金があるかどうかでもあるのですが、美容整形に対する意識がまだ高まっていないのです。今後の課題として残ったままです。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。次は10日後の予定です

 

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