お便り返し(15) 10年後に手放すなら都心か準郊外か(管理修繕費の比較)

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先のスムログお便りキャンペーンですが、結果として100件以上のご相談を頂きました。こちらがびっくりしましたが、嬉しい悲鳴です。気合い入れて出来るだけ数をこなしたいと思いますが、回答できたとしてもめちゃくちゃ遅くなる方が多いと思います。ごめんなさい。。

また短い内容で済みそうなものを集めて、まとめてご回答の記事も書きたいと思います。(たくさん消化できた気になって少し嬉しくなるので 笑)

さて今回のご相談です。

差出人:たまがわ

都心勤務の共働き50代夫婦、中古マンション検討中です。緑も身近に感じる静かな場所に住みたいですが、資産性が気になります。
古くからの住宅街、準郊外の駅から徒歩圏なら90平米以上の物件を検討できるのですが、管理修繕費が高く躊躇しています。10年後に、住みかえようにも貸すも売るもできないのでは?
都心60平米に住む割り切りが10年後の安心感を作るのか迷える子羊となっています。どのようにマンション探しを進めれば良いでしょうか?

ご質問ありがとうございます。

本件、元々は別の方をご指名頂いていたため当方からの返答ですと役不足で恐縮です。(ご質問の本文にも少し手を入れましたがご容赦ください)

それでは、ご回答しますね。

まず結論から申しますと、今買わなければいけないなら都心60平米の方を選ぶ、もしくは買わなくていいなら何もしないというのが無難かも知れませんね。

以下、根拠について書きますが、準郊外物件の「管理修繕費が高く」と仰せの点がどれほどを指すのか分からないため、考え方についてご説明しています。

前提条件の設定

現在の都心勤務のままお引っ越しを検討されていて、10年後(つまり定年後?)に再度、手放す可能性があるから資産性(=将来転売時の価格)が下がらないかご心配されているというという前提で進めますね。

選択肢としては以下の2物件で、また両物件の価格は同一で仮に6000万円とします。
そして両物件に対して、たまがわ様の評価が同じくらいだとします。

(a)都心 60平米
・狭いので割り切りが必要
・10年後の安心感

(b)準郊外 90平米
・緑を身近に感じる静かな場所
・管理修繕費が高い
・10年後の値下がりが心配

管理修繕費の差分を逆算したら?

本題です。
月額の管理修繕費の差について考えてみましょう。

(a)都心 60平米の管理修繕費
一般的には、どんなもんでしょうかね?
ここでは月2.5万円だとします。(@416円)

(b)準郊外 90平米の管理修繕費+駐車場
物件の管理修繕費の「高い」と言われておられる水準が書かれていませんでしたが、ここでは月5万円とします。(@555円)

この広さなら月々の管理費2.5万円+修繕費2.5万円などで十分にありえる想定かと思います。というか、(a)とそんなに平米単価変わりませんね。。笑

加えて準郊外がどういうところか分かりませんが、車がないと不便な場所なのであれば、駐車場料金1.5万円として上乗せします。

(a)都心物件 2.5万円(管理費+修繕費)
(b)準郊外物件 6.5万円(管理費+修繕費+駐車場)

差分は4万円ですね。
(※固定資産税などその他のコストは無視してます)

ここで、とある中堅会社員Aさん家族が、たまがわ様と全く同じ条件で自己居住用の物件を探していて、両物件の評価が同じくらいだとします。

自己資金10%、期間35年、金利1%、元利均等、ボーナス払い0円とすると、ローン5400万円に対する月の支払いは約15万円です。

(a)都心物件
15万円(ローン)+ 2.5万円(管理修繕費)= 月17.5万円

(b)準郊外物件
15万円(ローン)+6.5万円(管理修繕費+駐車場)=月21.5万円

ちょっと、支払い額の印象が違いますよね。

たぶんAさん家族は、両物件の評価が同じくらいで、どちらか一方と言われれば、(a)を選択すると思います。理由はもちろん毎月の出費の違いです。そうこうしてる内に、たまがわ様は(a)を買えなくなります(冗談です 笑)

実際には、(a)(b)のような特性の違う物件で二者択一される方は少ないと思いますが、もし「不動産市場が極めて効率的」であれば、(a)はもっと高くていいはずですし、(b)はもっと安くていいはずです。

では、いくらの価格差があれば妥当なのでしょうか?管理修繕費の差分から、逆算してみましょう。

上述のローン条件を前提とすると、100万円借りるのに月々2822円の支払いになります。
逆算すると、月々1000円の支払いは約35万円を分割払いするのと同等です。

導き出された金額は、物件価格を比較する場合の一つの指標になりますのでご説明します。

月1000円で35万円なら、では月4万円の支払いはいくらに相当するでしょう???
約1400万円(!)という金額が導き出されます。

つまりローン有りの月支払い比較で言うと、(b)準郊外物件は、(a)都心物件より1400万円安くないと月々の支払いがイコールになりません。

(a)都心物件 6000万円
15万円(ローン)+ 2.5万円(管理修繕費)= 月17.5万円

(b)準郊外物件 4600万円
11万円(ローン)+ 6.5万円(管理修繕費+駐車場)= 月17.5万円

こんな感じの価格差で、計算上はイコールです。
※ (b)は自己資金を10%でなく600万円で計算してます。また簡単のため数字を丸めてます。

(b)準郊外に4600万円の値札が付いているなら、まだアリかな?という判断ができますね。

通常、自己居住用にマンションを買う方の多くは35年ローンを組みます。そして多くの方は、今の賃貸物件の支払い額をベースに「月々でプラス3万円くらいまでは大丈夫かな」というノリで月額の支払いを設定し、予算が決まっていきます。

さて、たまがわ様にお願いしたいのは、ここで実際の数字を当て込んでみて下さい。物件価格は全然違うでしょうし、管理修繕費の差分も違うでしょうし、車は無いかも知れませんし、ここは私には分かりません。

上記のご説明で、「いくらの価格差があれば妥当なのか」は計算できると思います。

繰り返しますが、これは一つの指標であり全く万能ではありません。

検討の段階で両マンションの修繕積立金がいくらあるのか懐事情は知っておきたいですし(将来の修繕金値上げの可能性)、また準郊外の方は検討者の母数が少ないことに起因して値下がりしやすいでしょう。

都心部は広域から集客できますが、郊外になるほど「地縁(ちえん)」がないと集客が難しくなるためです。(地縁 = 生まれ育った場所、昔住んでいた、親兄弟が近くに住んでいる、等)

まとめ

今回検討しておられる両物件が同一価格なら、今は狭くとも都心の物件を購入された方が無難だと思います。足りない平米数は、近くのトランクルームを借りて収納場所を機動的に増やす程度のことならできます。

または、どうしても「緑も身近に感じる静かな場所」が宜しいようでしたら10年後にご定年された後のために楽しみに取っておくというのは、選択肢として如何でしょうか。

終の棲家として考えるなら、将来の価格変動なんて極論関係なく、生活の快適さが最も大事です。
(ぶっちゃけ、10年スパンで見れば不動産市況の大きなドボンは1度くらいあると思いますし)

その時になったらなったで、全然違うことを考えていたりするんですけどね。。(笑)

ご回答は、以上となります。

 

さて今回のご質問は具体的な物件名があるかと思いますので、スムログのブロガーが提供している以下のサービスをご利用されるのも1つです。ここではご紹介までに。

住まいスタジアム
https://sumai-stadium.com/
こちらでは三井先生が住宅アドバイザーとして参加されています。

マンションマニアの住まいカウンター
https://manmani.net/?page_id=16
こちらはマンマニ先生ですね。

ご参考になりましたら幸いです^^

 
注釈:
当方からのご回答は、過去にスムログに頂いた古めの質問をピックアップさせて頂いております。特定のケースについてご質問の際、その内容を一般化して多くの方に関係する内容とさせていただく場合があります。また本記事は、当方の個人的な見解・意見であり、その内容に関していかなる責を負うものではありませんので予めご了承下さい。

ABOUTこの記事をかいた人

スムログ担当者です。その昔、某デベで新築営業した後、Web業界に転身しました。妻と子供5人(6歳双子、4歳、3歳、2歳)、7人家族の親父業をやってます。

こちらのサイトでも担当者やってます。
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