理事会は勝手に生花を共用部に飾ってよいのか? 【お便り返し】

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管理組合ネタの範囲なので誰も指名されていませんが私のほうから。
質問はブロガー全員に届いていますが、指名のないものは誰かが書くかなでお返事ブログを誰も上げない傾向が強いです。

質問は

差出人: パンダぱん

メッセージ本文:

マンションのロビーの目立つ所に組合が勝手に継続的に花を飾り始めました。
プロに頼んだものでないので生け方は上手でなく、
花だけでなく私物に近い飾り物もごちゃごちゃと一緒におかれています。
マンションのコンセプトにそぐわないしデザインされたほかの植物とかみ合わあなくやめて欲しいです。
デザインされたロビーに勝手に変更を加えていいのでしょうか。

マンションのスケールメリット

マンションってどう言い繕っても”現代風な長屋”に過ぎないので、いろいろと他の人と共用部を分け合って使っていることによる面倒はあります。人付き合いとかのめんどくささを避ける目的で入居すると理事が廻ってきたりでがっかりしますよね。メガマンションであれば小規模マンションの戸数を上回るような何十人もで理事会で議論した上で、1000戸に対して総会で意見を訊いたりしないといけない。これはすごく大変です。

代わりに1人が100円玉を一枚もちよるだけで、500戸なら5万円、1000戸なら10万円の季節の生花などの飾りをエントランスやロビーに飾ることも可能になります。このような「スケールメリット」は最大限に利用できるようにしないと単にめんどくさいだけの住処ということになってしまうことから、特にマンションが大規模になるほどに、理事会に大きな自由を与えて裁量的に実施できることを増やしていくべきだと私は考えています。

うちのマンションは規約の考え方が、これを受けて割と”理事会”至上主義です(代わりに立候補した人は全員理事になれる仕組みは作っています)。かなりの割合で理事会メンバーは立候補で、何かマンションの改善で実績を残したいとう動機で加入してきているせいもあり、総会なんか待っちゃいられないからどかっと予算の枠取りしてくれが4つある全部の委員会の全てのノリです。さすがに赤字決算にはできないから予算枠の取り合いは結構熾烈な時があります。
いろいろ規約を変更したりして普通のマンションなら総会が必要な工事を、時には私が裁量で発注して理事会の事後承認決議で済んでしまうこともあるところまで、決定のスピード感を重視した設定にしているわけです。

生花など飾りつけや家具選定などは揉めやすい典型例

特に積立金などが均等割移行される前には、私のマンションでも”将来への漠然とした不安”から1円も使わず貯金せよという人が一定割合でいて、理事会の中でもかなりの勢力を占めていました。 壊れたから工事で直すといったものと比較して、生花などは”なくても困らない”だけに個々人の価値観の差の影響を受けやすいものです:

① 金をかけて生花など無駄。一切不要でやめるべき
② 手作りでコストダウンして自前で頑張る
③ プロに頼んでかっこいいのをお金がかかってもガンガンやる

とろいろな段階があって、どれが正しいというものがないのでもめやすいのです。
うちは、年に数回ですが、役員がレンタカー借りだして、市場まで買い出しにいってとかで半日かけてやっていますから、②ですね。

同じように、家具選定もニトリでいい!から、カッシーナ・アルフレックスじゃなきゃ嫌だ!!までいろんな段階があって揉めやすい。100万円のソファーの上で子供がぴょんぴょん飛び跳ねていると理事会的には心が折れて易きに流れたくなるのですが、住民は お金は使うな! でも安っぽいのもダメだとおっしゃる。

うちの正月や春のエントランス飾りの例は以下の通り。

<私のマンションのエントランスの季節の生花:自前でやってます>





年賀状用や、卒業・入学の写真をこれらの花をバックに撮っている家族って頻繁に見かけるし、正月はお客様が沢山くるときですからエントランスからお迎えで、その先の70インチサイネージでは「春の海」の琴のBGMつきの正月らしい動画も流しています。手間といえばめちゃくちゃな手間なんですが、「自分が体を動かしたら皆が喜んでくれた!」という理事の成功体験が、総会で票を出さない人の玄関口まで気合で何回もでかけていく原動力にもなるわけで、理事には一定の予算枠を渡してこのマンション良くしてねというものがなければ「やる気」が維持できません。
・・・うちの理事長の口癖は、『理事になったからにはマンションに爪痕残してね』なんですが、上の分類でいうと①の 「花など単なる飾り。不要!」を言われると著しくやる気のある理事の気勢が削がれるのです。

「パンダぱん」さんのケース

雰囲気的には 「パンダぱん」さんのマンションは、かなり戸数が大目で、都心のかなり高級なところな気がします。上でいうと②がいやで③にしてくれ!でしょうか。やるなら手作り感とか廃して、プログレードでしっかりやってくれというのが趣旨かなとも感じました。普通は①のクレームが多いのですが、③のほうが実は理事会的にはありがたい。変な忖度で、ケチっているケースも多いからです。

生花は一時的な設置物ですから、建物を直接弄って変えているとかではありません。枯れて撤去すればまた元通りですから、「共用部分を勝手変更した」で攻めるのは少し難しいと思いますし、わざわざ手間をかけてやっている理事さんの反感を買う可能性も高い。もっとお金をかけて、統一感のあるものをプロ仕様でやってくれ!とか要望を出していかれたほうが通る率は高い気がします。

高級感を共用部に求めておられるようですので、一番いいのは”共用施設”扱いの理事になられるか、扱い委員会に加入されることなのですが、私が回答するとなんでも理事になれ!になっちゃいますね。文句言ってる間に自分の意見を通せる立場になったほうが手っ取り早いことは確かです。

質問を受けている私は同じ花を見てどう思うかわからないわけです。好みなど個人差の強いものは、他の方がどのような意見分布であるかは分かりません。 パンダぱんさんが”ごちゃごちゃ”に感じているものをよいと思う人もいるかもしれないわけです。100人が見て100人がダメだと思うものならいろいろ要望などで理事会は”炎上”するものですがそうはなっていないようですね。私としてはどちらにも肩入れはできません
ただ、”なにも現状から変えてくれるな” ではつまらないと私は思います。 何か今までとは変えていくのが理事会の役目だと思っているからです。

【補足】逆に理事会からみると

を飾るたびに総会とか無理ですから、今年の生花や門松などの美化案件はいくらまでとか総会で事前に予算案を通しておくわけですが、委員会別や、プロジェクト別にあまり細かく仕切りを立てると、融通が利きにくくなります。

私のマンションでは例えば書かれている”生花”は共用施設委員会扱いだから、なにか要望がある人はとにかく共用施設委員会に来てくれと告知した上で、生花など美化案件の予算は、全部で3つ(他にコミュンティと、防災防犯がある)の委員会が相乗りする予算枠の中に合計5-600万円(1戸1万円)とかで通してあって、まぁこのセリフ書いて99%とかの賛成率で通っている予算枠内なら、理事会で自由にやっちゃいますよという立場ですね。

2月で終わった10期にはリバービューラウンジの家具類の総入れ替えもやりました。160万ほどの支出ですが、個別に議案とはしていません。家具も替えるんでよろしく!で全体600万の枠として承認とってあったわけです。この方が委員会で厳格に縦割りになっているより使いやすいですし、今期の予算は使い切っちゃおうみたいな省庁間の縦割りの弊害みたいなのもなくなります

<うちの前期の生花なども含む予算枠どり:議案の例>



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本ブログの内容は、著者の個人的見解であり、著者の所属するマンション管理組合、勤務先、RJC48も含めその他所属する一切の団体の意見、方針を示すものではありません。

ABOUTこの記事をかいた人

マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。多いはず!! それなのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。世の中に多い管理士系ブログとは一味違う、理事会側から見たマンションの運営を中心テーマに書いていこうと思ってます。

2 件のコメント

  • 入るヒトラー より:

    はるぶーの銅像を管理費で製作し、ロビーに飾るのはOKですか?
    勿論、総会決議を経ての実施です。

    • はるぶー より:

      実際にそのようなことが起こってみなければ
      なんとも。私は必死で反対すると思いますが。
      お金をかけた結果として、そのマンションの値段をわざわざ下げるようなことをするもんでもないので。

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