第142回 中古マンションがまだ値下がりしない

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居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論を展開しております。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

東京カンテイ社の調べによれば、2018年3月の首都圏の中古マンションの成約価格は前年同月比12%上昇した(3014万円になった)そうです。エリア別では、件数で半分を占める東京23区が9%上昇、神奈川県が10%上昇、埼玉県も9%上昇、千葉県は20%も上昇したと公表しています。

 

同社の分析によれば、「個人の自己居住(実需)に支えられたもので、投資目的は少ない。上昇傾向は当分続く」としています。

 

1年前の同社分析では、売れずに価格を引き下げた事例が3分の1に増えており、価格の頭打ちが近いというものでしたが、どうやら予想は外れたようです。

 

●中古は安いが・・・

平均価格は23区が3709万円、神奈川県2497万円、埼玉県1999万円、千葉県1892万円

 

マクロデータで見ると、中古マンションは新築に比べて確かに安い。ただ、新築も2016年比で8%強上昇したのですが、中古はそれ以上ということになります。

それでも、12%上がっても3014万円。新築の1戸平均の価格(2017年1年間)は5908万円でしたので、およそ半値ということになります。

 

やはり中古は安いのです。しかし、これはマクロデータなので、鵜呑みにはできません。

 

中古物件の平均築年数は20年を超えているからです。築10年の中古はどうか、築15年くらいはどのくらいなのか、こうしたデータは見当たりません。

 

マクロデータでは、中古が安いことは間違いないものの、固有の条件によって格差は大きいのです。ご承知のように、駅10分の新築より同駅3分の中古が築10年でも高いということがあるのです。

 

中古同士の比較でも、駅15分の中古は駅3分の中古より30%も安く、反対に駅7分の中古より駅11分の中古が高い場合もあるのです。駅5分の20年中古が駅10分の10年中古と同額という場合もあります。

 

同じ市区でも、A駅のブランドマンションがB駅の無名マンションより安いこともあります。同じ駅の徒歩5~6分の物件同士では、築年数が同じで30階タワーの300戸マンションが14階建て150戸のマンションより20%も高いというのが現実です。

 

●もう待てないが選ぶ物件が問題

価格が下がらないなら、待つのは得策ではありません。しかし、安さに目を奪われると落とし穴にはまる危険もあります。反対に、高い人気物件にも隠れた問題があるかもしれません。

 

一般的に、安いマンションは安い理由があります。高いマンションは、その価値が高いことは間違いないとしても価格が価値以上という場合も少なくないのです。

 

原価の積み上げで決まる新築価格、需要との関係で決まる中古価格と、大雑把に言えば、この違いがあって、前にも書きましたが「新築はメーカー希望小売価格」で販売され、中古は市場価格で販売されるという特性があります。

 

価格判断は簡単ではありませんが、「高値掴み」とならないようにしなければなりません。新築も相場をしっかり調べることが必須ですが、中古も相場上昇のトレンドに便乗した強気の売り出し価格になっているケースも少なくないので注意をしなければなりません。

 

●未発売新築の情報開示は遅い

現在工事が進んでいる、着工したばかり、販売は第1期・第1次(販売戸数未定)とある新築マンション。期待に胸を膨らませる買い手。しかし、分からないことばかりの予告広告。

 

理由は様々あるとはいえ、情報は小出しです。 HPも一部が「制作途上(Coming Soon)」となっています。買い手が最も知りたい情報である価格は現地(マンションギャラリー)に行かないと全く分からない、行っても「まだ決まっていない」と言われ、何度も足を運ぶよう促される。

 

そうこうして半年も引っ張られる。良いマンションに出会えない人は、つい新規販売予定マンションに目を移していきます。しかし、全ての情報が開示されたとき、再びぶつかるのは「価格の壁」です。予算をオーバーし、無理なく買えるのは、条件の悪い下層階や眺望に問題がある方位の住戸だったりします。

 

筆者の調べでは、過去1年間に相場より安いと判定できた物件は2件だけでした。単純な比較では相場とした物件は多数ありましたが、物件価値を勘案すると割高です。割安物件は非常に稀で、過半は相場の10%高、中には20%も高い物件も少なくないのです。

 

何を言いたいかというと、新規に期待する心は理解できますが、殆ど裏切られてしまうと思った方がよいということです。地価が高い、建築費は相も変わらず高い。だから安い新築が出て来ることはないのです。用地争奪戦の揚げ句が「高い用地費」、人手不足が「建築費の高騰」につながっているからです。

 

期待できない新築マンション、安くならない中古と知った人の選ぶべき道は?

売れ残りの新築マンションの中から10%引きのネゴシエーションを頑張ること、市場価格の中古を探すこと。この二者択一ですね。新築の売れ残りの中には、売れ残るべくして残っている部屋も多いものですが、条件の良いキャンセル住戸が発生することもありますし、最高の部屋でなくても次善の部屋が残っていたりすることがよく見られます。値引きしてもらうと予算内に収まることも少なくないのです。

 

もちろん、高くても構わないから買いたい「惚れたマンション」に遭遇すれば、それはそれで幸せかもしれません。しかし、そこまでの物件はなかなかないものです。あっても、手が出ないのが実態です。

 

筆者の関係したご相談者に、二つの物件をターゲットにし、売りものがでたら買おうと決めている人も数人いますが、この人たちは特定マンション(中古)の売り出し情報のみを毎週決めた曜日にポータルサイトでチェックするだけです。

そこに至るまでには、紆余曲折もあったのですが、今は迷いも心配もなく、落ち着いた生活に戻ったと語ります。あとは、ターゲットマンションからどのくらいの頻度で売り物が出て来るかという点だけが心配なのだそうです。

 

●「東京オリンピック以降は下がる」を信じてはダメ

インターネット上、このようなことを発信して来た人は何を根拠にそういうのか、議論してみたいものだ。この数年、筆者はこの思いを持ち続けています。

 

「景気が悪くなるから、マンションの売れ行きも悪くなる。売れ行きが悪くなれば値段が下がる」という根拠だとしたら、暴論というほかありません。

マンション市場の構造の特性を知っているのか、経済の法則や原理が不動産に通用しないとは言いませんが、多分にずれがあることを知っている人の発言とは思えないのです。

 

2013年から価格が上昇サイクルに移行しました。2012年を100としたら2017年は133という急騰となったのです。買えない人が増えて契約のスピードも2016年初頭から鈍っています。

それにも関わらず2017年は前年比8.4%も上昇したのです。新築が上がれば、中古も連動して上がるのは道理です。2019年は消費税の2%アップが駆け込み需要を誘発するだろうという意見がありますが、それは今年後半の販売促進に効果を表すでしょう。来年、その反動として販売不振状態に再び後退するかもしれません。

しかし、それが価格の下落にたちまちつながることにはならないのです。

 

値引き事例が増えても統計数字には表れませんし、値引きではなく売り出し前から価格を下げる動きが広まるまでには時間がかかります。下落率は平均で2%程度、建築費が筆者の予想に反して下がってくれれば、5%ダウンもあり得ますが、そこが限度です。

 

一方、用地費は下がる可能性が低いのです。買ってからマンション販売に辿り着くまでには2年程度かかるので、マンション用地が2年後から下がっても商品になるのは、そこから2年。つまり、早くて2022年です。

しかし、マンション用地は枯渇してしまったので、どこから考えても安い土地が買えるとは思えないのです。

 

そんなこんな考えて行くと、新築のマンション価格の下落は期待薄だなという結論しかないのです。新築が下がらなければ中古も下がらないことになります。

 

●マンションの価値は物件個々に見るべき

長くなるので、最後は簡単にまとめたいと思いますが、先にも少し触れたとおり、不動産はマクロデータだけでは語れないものです。トレンドやサイクル、市場の動きを知ることも大事ですが、それ以上に個別要因がカギを握ります

 

マクロの法則に逆らう例外的な価格の動きを示すマンションもあるということです。新築・中古を問わず、良いと思う物件があったら、市況に囚われずに買う、ちょっとでも疑問が残ったら慌てない(営業マンの誘導トークにうっかり乗らない)で再検討すること。筆者の進言は、この二つです。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。

 

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