7割が無報酬、出ても月数千円。それでも理事報酬をめぐる違和感は消えない。金額では説明できないズレを読み解く。
読者からの相談内容
マンション管理組合理事会の理事に、報酬を支給しているマンションも増えてきていると思うのですが、報酬の内容や額について調べたデータってないでしょうか。ご存知でしたら教えていただきたいです。
もしくは具体的な例でもかまいません。マンションの規模(戸数や共用施設)などもわかるとありがたいです。
現在タワーマンションに住んでいますが、理事の報酬に対する不公平感、不透明さを感じており、私の周囲では話題になっています。
理事報酬の実態はどうなっているか
マンションの理事に報酬は必要なのか。この話題、数字だけ見るとやや拍子抜けする。
国土交通省の平成30年度マンション総合調査(2018年実施)では、役員に報酬を出していない管理組合は73.3%。
報酬があるのは23.1%にとどまる。
なお、直近の令和5年度調査では役員報酬の項目は公表対象外となっており、公的データとしてはこれが確認できる最新の水準である。
- 報酬なし:73.3%
- 報酬あり:23.1%
ただし、ここは少し注意がいる。
調査の集計方法が分かれているためだ。
- <役員一律で支給している場合>
- 全役員平均:約3,900円/月
- <役職ごとに異なる場合>
- 理事長:約9,500円/月
- 理事 :約3,900円
- 監事 :約3,200円
この水準をどう見るかは、人によって分かれる。
なぜ少額でも違和感が残るのか
それでも、現場では違和感が残ることがある。ひとつは、役割と負担のばらつきだ。
同じ理事でも、実務を担う人と、会議出席が中心の人では負担が違う。
ただ、報酬は揃っていることが多い。
もうひとつは、報酬が生む期待の変化である。
無報酬であれば、前提は「持ち回り」である。
多少の差はあっても、割り切られやすい。
一方で、報酬がつくと位置づけが少し変わる。
受け取る側はあくまで数千円の負担軽減でも、
見る側は「対価が発生している役割」として捉える。
この認識の差が、違和感の入口になる。
月3,900円。
この金額をどう見るかは、人によって違う。
「それなら相応に動いてほしい」と感じる人もいれば、
「この程度ならボランティアに近い」と受け取る人もいる。
さらに、決め方も影響する。
報酬は総会で承認されるのが一般的で、手続きとしては問題ない。
ただ、どの程度の議論があったのか、
なぜその金額なのかまでは共有されていないこともある。
結果として、
「決まっていることは知っているが、経緯はよく分からない」
という受け取り方になる。
こうした状態では、金額が小さくても引っかかりは残る。
報酬がゼロでも運営が安定しているマンションはある。
逆に、少額でも違和感が積み重なるケースもある。
差が出るのは、
- 負担と報酬のバランスが見えているか
- そしてその決め方が共有されているか。
規模が大きくなるほど、関わる人数は増える。
役割の差も広がる。
このテーマが表に出やすくなるのは、その影響もあるだろう。
理事報酬は小さな数字である。
ただ、どう決めているかは、そのまま運営の姿勢に出る。
金額だけでは測れないテーマである。
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