第44回「旧・耐震基準のマンションを買う人の心理」

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このブログは、マンション業界OBが業界の裏側を知り尽くした目線で、マンション購入に関する疑問や諸問題を解き明かし、後悔しないためのハウツーをご紹介しようというものです・・・原則として毎月5と10の日に投稿しています

 

ご存知の読者の方が多いことと思いますが、1981年を境にマンションの耐震性は旧・耐震基準と新・耐震基準に分かれます。

 

しかし、中にはそのこと自体を知らず、価格の安さだけを狙いに旧・耐震基準のマンション、すなわち築後35年以上の中古マンションを買おうとしている人がたくさんあります。また、知っていて不安に思いながらも検討する人もあります。

 

旧・耐震基準で建てられたマンションが全て危険と断定することはできませんが、リスクは低くないのです。今日は、築35年以上の旧・耐震基準と思われるマンションを購入する人の心理に踏み込んでみようと思います。

 

過去のご相談例から、築35年以上の中古マンション(旧・耐震基準のマンション)を購入しようとした人のメッセージを読み返してみました。

 

事例(1)格安だが全面リフォームが必要な築50年マンション

内覧させてもらったのですが、中はリノベーションをすることが前提のお部屋でした。リノベーションするのは良いのですが、お金をかけてリノベーションしたところで、あと何年ぐらい住めるのか、また、築50年近いマンションでこの値段は妥当なのか気になりました。

 

子供が2人いるため、環境や通学には申し分ないのですが、成人するまでこの先20年近くも住めるものなのか、もしくは建て替えや立ち退きになってしまった場合、ローンだけが残ってしまうのではないかと心配です。

 

事例(2)格安だがオートロックでない築38年マンション

都心立地にこだわっています。新築だと、とても山手線内は買えず、リノベーションのデザインに興味もあるのでその考え方で進めています。

(本当は築20年程度のものを買いたいのですが、価格高騰もあり、旧耐震の築古がどうしても候補になってしまいます)

、個人の所感としては、〇〇駅と〇〇駅が徒歩圏で、交通の便がよく、周囲がうるさくない好立地で資産性があると考えました。建物も築年の割にはきれいに管理されている印象でした。気になるのはオートロックではないのでセキュリティ面と築38年なので永住できないだろうと考えるとその先が不透明なことです。

 

事例(3)築45年のリノベーション済みマンション。価格が適正かどうか分からない

マンションの前には広い公園があり、眺望が素晴らしく、リビングの空間も広々しており間取り的にもちょうどよかった。また管理体制、リノベーション保証も満足できる内容でした。

 

事例(4)築40年超のマンションのリセール価格を知りたい

長期ローンを組む前提で、もし10年後20年後に売却を考えなくてはいけなくなった場合、どれだけ価値が落ちてしまうのか?

40年越えの中古物件をローンで買うことが現実的なことなのか客観的に見てもらいたい。

 

事例(5)建て替えのときローンだけが残るのが心配

築年数から建て替えの可能性があると思う。しかし、修繕積立金では賄えないのではないか。としたら、売却して立ち退くことになると思うのですが、その場合、ローンだけが残ってしまうのでは

 

 

 

他にも多数あるのですが、共通しているのは、何年住めるかに不安の中心があり、耐震性能については無頓着なのです。

 

何故なのでしょうか? これまで何回かの巨大地震に襲われながら倒壊することなく、しっかりと根を張った大木のように立っているマンションだからでしょうか? 

 

19815月までは、旧耐震基準の建築確認(許可)マンションを着工することができました。筆者の記憶では、5月末までに杭を1本でも打ち込んでしまえば、そのまま工事を進めて行ってよろしいという役所の見解でした。蛇足ですが、近隣住民との係争が解決できずに焦っていた中、ようやく着工できたことで安堵した上司の顔がいまだに思い浮かぶのです。

 

さて、旧耐震基準のマンションは、東京都だけで約11千棟、戸数で約43万戸もあるそうです。(東京カンテイ社201110月調査)

 

この中の1棟でも倒壊した、または大破したという報道に触れた人はいない。ここに無頓着とも言える買い手心理の根本原因があるように思います。

 

そのはずです。過去数十年、東京が震度6強の巨大地震に襲われたことはないのですから。ご存知の通り、関東はまるで年中行事のように地震が来ます。最近多いのは茨城県を震源とする地震ですが、伊豆付近の地震、千葉県沖の地震などもよく起こります。しかし、震度で言えば、23区は高々「4」です。最も震度が大きく、被害も出たのは、2011年の東日本大震災でした。

 

鉄道が止まって大勢の帰宅難民が生まれました。浦安市では液状化が起こって、しばらく水道が使えないマンションもありました。しかし、マンション本体が傾いたり、大破したりしたという報告はありません。そう、震度5だったからです。東北地方の6や7に比べれば軽微だったということです。

 

22年前(1995年)の117日に起きた阪神淡路大地震(阪神大震災)のとき、崩壊した古いマンションが少なからずあったことは、テレビ報道で記憶に残っている国民も多いはずです。昨年(2016年)の熊本地震でも数は少なかったものの、半倒壊したマンションを映像が捉えていました。

 

旧耐震のマンションを検討する人は、これらの記憶がないのでしょうか?ライブで映像を見ていない年齢の買い手なのでしょうか?

 

1981年に新耐震基準が施行されたのは、1978年に起きた宮城県沖地震を受けて法改正されたことによるものです。「震度6強~7でも倒壊・破壊されず、人命を守る」に主眼を置いた改正でした。昨年の熊本地震は震度7が続きましたが、効果があったとして基準の改正は行わないと国土交通省は表明しています。

 

 

こうした経過を見ると、新耐震基準のマンションの安全性は証明されたと考えていいようですが、旧・耐震基準のマンションの何%かは危ないはずです。阪神大震災のときも、旧・耐震基準マンションの被害率は5%弱(大破:2.8%/中破:2.1%)あったのです。

(東京カンテイ社が神戸市内にあるマンション3096戸を対象に現地調査したもの)

 

大破=致命的な損傷を受け、建物として機能しないと考えられる。建て替え可能性大。中破=かなり大規模な補修を要すると考えられる。建て替えの可能性もある。

 

阪神大震災の震度は、6強、一部では7でした。同レベルの大地震が東京に来ないとは限らないわけですし、旧耐震基準のマンションに住んでいたら、運が悪ければ生命に問題なかったとしても財産を失うことになるのです。確率は5%以下でも、リスクは低くありません。

 

 

35年を超えるマンションの多くが都心の一等地にあります。欲しいと思っても手に入らない立地条件のマンションなのです。新築なら目をむくような高額な価格です。それが信じがたい安値で買えるのです。共用部は古ぼけていても、改修工事も定期的に実施していたり、清掃作業も丁寧に行われていたりすれば、そして室内がリフォームしてあったら購入をためらう理由は「耐久性」を除けば、ほぼなくなるのかもしれません。

 

しかし、大事なことは、「あと何年住めるか」ではありません。明日来るかもしれない地震によって大切な資産を失うかもしれないのです。住宅ローンが残り、返済義務がなくなるわけでもありません。

 

それでも貴方は買いますか?危機意識が薄いとは言えないでしょうか?旧耐震基準のマンションを買うべきではありません。

 

買うとしたら、入居後に管理組合に働きかけて耐震診断を受け、補強工事が必要との答えが出たときは、費用を集めて工事に踏み切る運動をなさることが必須と思いますが。

 

筆者は、そう呼びかけています。

 

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。

 

  

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今週のご紹介マンションは、次の5物件です。

NO.107  シティタワー調布南ステーションコート/NO.108/パークホームズ戸塚ステーションプレミア NO.109 ザ・パークハウス日本橋大伝馬町/NO.110 パークタワー晴海/NO.111 シティタワー八王子フレシア

 

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