第320回 「マンション管理が危ない?」

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このブログは原則として10日おき(5、15、25)の更新です。

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論・「マンションの資産価値論を展開しております。

新聞報道によれば、マンション管理が困ったことになっているそうです。50戸以下の小型マンションに限ってのことですが、管理会社が逃げ出して行くケースが増えているというのです。

 

今日は、小型マンションの管理問題について触れてみました。

 

管理業は「薄利多売型」ビジネスだ

管理会社から見て、小型マンションは旨味がないようです。小型とは概ね50戸未満のイメージですが、これまでは請け負った管理マンションの総量で何千戸もあれば、トータルの売り上げも少なくないことから請け負って来たものの、経営の観点で小型マンションは全く妙味がないのだと言います。

 

それでも請け負わざるを得ない事情もあるようです。

 

管理業務は、買主との間で「管理委託契約」を締結して始まりますが、新築の場合は、売主・デベロッパーが子会社などを指名するのは通例です。つまり、管理組合員(区分所有者)の総意によって決まるわけではないのです。分譲開始の時点で管理会社を決めているのは分譲主のデベロッパーです。

 

管理会社の多くが売主の子会社なので、受けざるを得ないようです。そうして、管理は始まるのですが、契約期間は2年なので2年後には契約の更新を拒絶することもできます。

 

しかし、普通は契約を更新しながら4年、6年と続いて行きます。その後、何回目かは分かりませんが、最近は契約更新を断る管理組合が増えているというのです。理由は「旨味がないため」と報道にはあります。

 

これまで、管理会社は管理報酬で妙味がない場合でも、修繕工事の請負によって利益を得ることもできたようで、本来の管理業務で利益が出なくともトータルでは管理業務を続ける意味はあったようです。

 

ところが、昨今は修繕工事の受注が困難になっているらしく、これが撤退の要因になっているというのです。早い話が、儲からない管理組合とは付き合いたくないという姿勢を示す管理会社が増えているというのです。

 

受注が難しいのは、修繕積立金の残高が不足しているために、安く請け負ってくれる工事会社を探そうという動きです。管理会社への修繕工事の発注は見送る、つまり、修繕積立金の残高が乏しいため、安い工事会社を探すケースが増えているためというのです。

 

管理報酬が少なく、採算が取れない管理契約は見直す方向にあるようで、値上げもままならない管理組合との契約更新は辞退するほかないのでしょう。

 

最近の新築マンションは修繕積立金を高く設定している

新聞報道によれば、直近10年で管理費は18%も上昇したそうです。先述のように、管理費の設定は、系列の管理会社と協議して分譲主デベロッパーが定めていますが、最近は管理会社の要望を受け入れているケースが増えているということのようです。

 

管理費高騰の理由は、管理員の採用難にあるようです。定年の延長や給与水準の低さなどが背景にあるようです。

 

要員を確保するために報酬を上げる、そのためには管理組合からの報酬額を上げてももらう必要がある。結局、管理費の増額を図らざるを得ないということのようです。

 

マンション選びをする人へ「小型マンション選択」は慎重に!!

小型マンションの管理費が高くなる傾向にあるのは分かりますが、問題は小型マンションの購入を検討するときの視点です。管理費以外の問題も含めて整理してみました。

 

1)管理が万全とは言えない小型マンションが多い

小型マンションはスケール不足から管理費が高くなる宿命にあるのです。この点が一番の問題かもしれません。管理費を抑制するためには、管理人の滞在時間を短くしたり、「巡回方式」にしたりします。

 

2)修繕積立金が少ない小型マンションもある

管理費が割高になりがちな小型マンションは、トータルの維持管理費が高いという印象を与えます。それを避けるために修繕積立金も安く設定してしまうケースがあります。

修繕積立金は、段階的に増やすのが通例ですが、当初の設定額を低くすれば、後年の増額が大きくなっても販売は好結果が期待できると考えるデベロッパーもあるようです。

 

3)付加価値が足りない小型マンション

小型マンションは、売値が高くなってしまう傾向があるため、総建築面積に占める販売面積の比率(専有率)を高くしようとします。その結果、集会室(ラウンジ)もキッズルームもない建物になってしまうのです。

 

4)威風堂々には遠い姿・存在感の不足

低層の場合は周囲が一戸建ての住宅群だったりするので、比較的存在感のあるマンションになることもありますが、商業地ではビル・マンションの密集地のため、1フロアに3戸しかないようなペンシルビル状になりがちです。

また、両隣のビルの谷間にあるために目立たない、言い換えれば存在感の乏しい姿になってしまう例も多いのです。

 

5)組合役員の順番がすぐ回って来る

小型マンションの特徴です、理事長、副理事、監事などの管理組合役員は輪番制や立候補制だったりしますが、どちらにしても順番が早く回って来ることになります。

同じ人が理事長を長く務めるようなケースもあるようですが、そのことが不正を生む例もあるようです。

 

6)転売価格も期待が持ちにくい

安く買っていればよいのですが、買って何年か経過して売却することにしたとき、小型マンションは高値が付きにくいものです。

購入時より高値で売却できることも市況によってはあり得るのですが、小型マンションの市場評価は低いものです。大型タワーマンションなどは、購入価格は高いものの、将来の売値も高くなることに比べると対照的です。

 

小型マンションの長所も見ておこう

1)マンション内の居住者の顔が見える

これを長所としない人もあるようですが・・・

2)閑静な住宅街にある低層物件が多い

小型マンションの何割かは低層住宅街の中にある

3)落ち着いた暮らしができる

隣の人か外来者かの区別がしにくい大規模マンションとの違い。一番の長所はこれかも・・・

4)    組合行事がないので煩わしくない

管理組合主催の行事は良いことですが、それを嫌う人もあるので、あえて長所としました。

 

 

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました・・・・・次は10日後の予定です。

 

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