「モモレジのちょっと得するマンション選び」第9回です。
お待たせして大変恐縮です(汗)。
前回は「専有面積による価格の歪み」を中心に述べましたが、今回は「部屋数による価格の歪み」について述べて行きたいと思います。
前回まではこちらをご覧下さい。
⇒モモレジのちょっと得するマンション選び第5回「専有面積と部屋数の適度な関係①」
⇒モモレジのちょっと得するマンション選び第6回「専有面積と部屋数の適度な関係②」
⇒モモレジのちょっと得するマンション選び第7回「専有面積と部屋数の適度な関係③」
⇒モモレジのちょっと得するマンション選び第8回「専有面積による価格の歪み」
※画像に意味はありません。画像がないと寂しいので。
川崎駅徒歩5分にある2013年築の「ダイメイビル」という物件です。
下がコナカで中上層部のみが賃貸レジデンスの12階建で本来ならば取り上げるようなものではないのですが、散歩中に西側上層部の窓に目を奪われてしまいました・・・。
街を歩いていると著名な物件でなくとも工夫ある物件て結構あるんですよねぇ・・・。
速攻、ウェブで検索したらありましたよ間取りが・・・。近いうちに本ブログ「マンションの間取りや価格を言いたい放題!」で取り上げる予定ですのでお楽しみに!
さて、本題。
いきなりですが、以下のマンションのケースを比べて見て下さい。
【Cマンション】
C1タイプ70㎡3LDK 6,000万円(坪単価283万円)
C2タイプ65㎡3LDK 5,750万円(坪単価292万円)
C3タイプ60㎡2LDK 5,200万円(坪単価287万円)
【Dマンション】
D1タイプ75㎡3LDK 6,300万円(坪単価278万円)
D2タイプ70㎡3LDK 6,000万円(坪単価283万円)
D3タイプ60㎡2LDK 5,400万円(坪単価298万円)
※全て「同階の中住戸」、CマンションとDマンションも大差のない立地条件と仮定しています。現実的にはマンションは言うまでもなく「一物一価」ですので同じ階・同じ向きの中住戸とは言え全く同じ条件とは言えないのですが、簡略化するために全く同じ条件とお考え下さい。
まず、C3タイプとD3タイプを比べて見て下さい。専有面積は同じなのに単価が異なり200万円もC3タイプが安いです。立地や住戸条件が全く同じと仮定した場合には同時期にこの2つのプランが分譲されることはまずありえないのですが(明らかD3が高いと言われる可能性が高いため)、C3が完売した後にD3のような価格で新たなマンションが分譲されることは普通にありますね。
このような価格差が生まれる理由は前回のケースと同じであくまで新築分譲マンションとうのはデベが「物件全体を満遍なく売りさばくための価格設定」とせざるを得ないからです。
CマンションとDマンションにはそれぞれ上の3タイプしかないという仮定で話をしているのですが、そのように仮定した場合、「Cマンションはあと550万円上乗せすれば3LDKが買える」のですが、「Dマンションはあと600万円上乗せしないと3LDKが買えない」のです。そもそもD3の方が高いにもかかわらずです。
つまり、Cマンションは2LDKと3LDKの専有面積の差が小さく「その2プランの間に単価差を設けづらい」という側面があるのに対して(2LDKの単価を上げてしまうとグロスが3LDKに近づき過ぎてしまう)、Dマンションは2LDKと3LDKの専有面積の差が大きいので2LDKの単価を上げても価格が近づきづらいという異なる側面があるわけですね。
一般的に同物件の2LDKと3LDKの専有面積がそこまで近づくことは多くなく、前回のAマンションのように2LDKプラン(専有面積の狭い方のプラン)の単価を上げすぎても価格の逆転現象までは起こりづらいのですが、あと数百万円プラスするともうひと部屋増える、ひと部屋多いプランが買えるということが意味するものは非常に大きく、2LDKと3LDKの価格差が近づき過ぎることはデベにとっては好ましいことではないのです。
今回は切りが良い60㎡の2LDKの例を挙げましたが、第6回で述べたように資産価値を考えた場合に最も適切と思われる2LDKの専有面積は54~58㎡と私は考えており、今回のケースではC3タイプもD3タイプもその「2LDK固有要因」を満たすまでには至っていないのですが、60平米はあまりに広過ぎると言うようなものではありませんし、CマンションとDマンションで生じているような「歪み」が見えるのであればこのC3のような価格設定の住戸は「ちょっとお得かもしれないね」ということが今回の記事で私が最も述べたかった点となります。
資産価値を第一に考えた場合、ベストな2LDKというのは、面積が50平米台中盤の面積であるにもかかわらず、単価高となっていない2LDKなのですが、今回のケースのような「2LDKと3LDK」の観点からのみ言うと50平米台の2LDKは物件内の3LDKとは専有面積差(つまりは価格のグロス差)があり競合しにくいので、そういった価格設定の住戸を見つけるのはより難しくなります。
ただその一方で、都心部の30~40平米台の1LDKが結構多めに存在しているような物件においては、50平米台中盤の2LDKでも相対的にグロスが嵩む存在となりますし、1LDKと2LDKの関係を考慮した場合に2LDKの単価が目に優しいものとなるケースが経験上少なくなく、そこの比較により「歪み」を見つけるチャンスが広がるはずです。
その物件のプラン構成がどのようなものとなっているかが個々の住戸の価格に与える影響というのは実は凄く大きということを意識して価格表を見ることも大切です。
今回は前回以上に複雑な事例となってしまったのですが、こういった専有面積・部屋数と坪単価の感覚というのは一朝一夕に身につくものではないと思いますので、とにもかくにも「資産価値を重視してマンションを選びたい」という方はぜひ様々な物件に出向いて価格表と間取り(当然ですが、専有面積が適度でも無駄が多くその面積なりの使い勝手がなければ意味がありません)を穴が空くぐらい吟味して相場感というのを養っていただきたいと思う次第です。
2~3%程度の歪みならば何ら珍しいことではありませんし、エリアは広くとる必要がありますが5%までならばそこまで難しいことではないです(私は1割程度まで狙ってしまいますが・・・)。
その価格差(歪み)は月々の住宅ローンの金額にするとわずかかもしれませんが、リセール時にそのまま3%とか5%、つまりは200~300万円というような金額が跳ね返ってくると考えた場合、そういった視点で物件を見ることの大切さが実感していただけるのではないかと思っています。価格を抜きにして理想の物件を追い求めることを否定するつもりは微塵もありませんが、ちょっとだけ視点や時点(未来将来という意味ね)を変えて冷静に考えてみるだけで、後々の損得に大きな影響を与えることが少なくないのがマンション(不動産)なのです。
むろん確実にそれが跳ね返ってくるわけではないのですが、「確実」でないがゆえにないがしろにされがち(仮に100%だったら大半の人がそういう物件を血眼になって探すはずです)なのも事実なわけで、だからこそ多くの「チャンス」が転がっている、私はそう考えています。
第8~9回では専有面積と部屋数による価格の歪みについて述べました。
次回からは同じマンション内で起こる「階数による歪み」、そして、「方角による歪み」について言及していきます。
お楽しみに!
こちらもど~ぞ。
物件属性による価格の傾向や価格の歪みを毎日分析し、累計1,850棟4,100室超達成。
相場感を養うために最適(?)な本ブログです(笑)
⇒マンションの間取りや価格を言いたい放題!