お便り返し(35)20年住むなら新築がいいか築浅中古がいいか

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こんにちは、やまちゃんです。

今、うっかり風邪ひいてまして(風邪だか何ウイルスだか知りませんが)、オフィスでも電車でも気を遣って咳できないので、しばらく自宅勤務になりそうです。そして私用の移動がもっぱら自転車に切り替わりまして、ママチャリ漕いであちこち行くのですが、「ここって、こんな近かったんだ!?」という発見をたくさんしております。23区って小さいですね(笑)

さて、今回のご相談です。

差出人:ミキ

はじめまして。
最近マンションの購入を考えており、20年弱位住んだらマンションを売ろうと考えているのですが、その場合新築を買った方が有利でしょうか?良い状態の築浅を買ったとしても、売るときに築年数が20年を超えると厳しいのではないかと思い、それだったら低仕様でも新築を買ったほうが良いのかと考えてしまいます。よろしくお願いします。

ご質問ありがとうございます。回答させていただきますね。

まず新築と築浅とで比較するにあたり、ひとことに「築浅」と言っても幅がありますので、以下の3パターンについて考えます。

購入時と売却時の価格およびその差分を、簡単なシミュレーションで推測します。

  1. 新築を買う
  2. 築5年の中古を買う
  3. 築10年の中古を買う
また、ミキさまの現居住エリアが明記されておりませんでしたが、ここでは多くの読者さまが当てはまるよう、東京23区、神奈川県、千葉県、埼玉県、近畿圏、中部圏の6エリアについて進めたいと思います。

新築時価格と減価スピード

まず問題をシンプルにするために、住まいサーフィンの沖社長が書かれた以下の記事をご参照ください。
新築マンション「中古になったら2割下がる」は本当か?

以下、記事からの抜粋となりますが、

首都圏平均では新築から中古になることで10%下がり、築1年で2%ずつ下がることになるが、これはエリアによって異なる。東京23区では新築から中古で5%しか下がらず、千葉・埼玉県では15%下がる。結果として首都圏平均は10%ということである。

都道府県別値下がり率も東京23区は2%弱だが、千葉・埼玉県では毎年3%近くになることが確認されている。エリアによって、単価が高いところの方が値下がりしにくいことは明らかで、単価×値下がり率を都道府県別に掛け算した結果、どのエリアでも坪4万円下がることがわかった。

私は元データにアクセスできませんので細かい数字が分かりませんが、ここに書かれたことを前提条件として比較します。

  • 東京23区は、新築から中古で5%下がり、以降は2%ずつ下がる
  • 千葉・埼玉は、同15%下がり、以降3%ずつ下がる
  • 神奈川は、同10%下がり、以降2.5%ずつ下がる(記事に記述ないため間を取りました)
  • ほか地方都市を近畿圏・中部圏とし、同15%下がり、以降は坪4万円ずつ下がる
  • 時点補正されているものとする(※不動産市場の好不況を考慮せず経年で減価し続ける)
新築物件の価格は、以下のように設定しました。
  • 東京23区の新築価格 8,200万円
  • 神奈川県の新築価格 6,100万円
  • 千葉・埼玉県の新築価格 4,800万円
  • ほか地方都市の新築価格 4,800万円
    (※専有面積75平米)
新築価格の根拠は、2019年7月に東京カンテイが公表した「新築・築10年中古マンションの坪単価推移(首都圏)」のレポートから拾いました。

データは2018年のものですが、東京23区@360、神奈川@270、また千葉・埼玉・近畿圏・中部圏は簡単に@210としています(坪単価に大差ないため)。

それぞれの坪単価に対して専有面積75平米として計算した数字を丸めたものが、上に示した新築価格となります。(具体的な数字が分かりやすいのでこのようにしました。細かいツッコミはご容赦下さい。)

では、先に参りましょう。

 

減価シミュレーション

東京23区

※新築から中古で5%減価して、以降2%/年減価する。
東京23区 ※新築→中古5%減価、以降2%/年減価(単位:万円)
新築 築5年 築10年
購入時 8,200 7,185 6,495
1年後 7,790 7,042 6,365
2年後 7,634 6,901 6,238
3年後 7,482 6,763 6,113
4年後 7,332 6,627 5,991
5年後 7,185 6,495 5,871
6年後 7,042 6,365 5,753
7年後 6,901 6,238 5,638
8年後 6,763 6,113 5,526
9年後 6,627 5,991 5,415
10年後 6,495 5,871 5,307
11年後 6,365 5,753 5,201
12年後 6,238 5,638 5,097
13年後 6,113 5,526 4,995
14年後 5,991 5,415 4,895
15年後 5,871 5,307 4,797
16年後 5,753 5,201 4,701
17年後 5,638 5,097 4,607
18年後 5,526 4,995 4,515
19年後 5,415 4,895 4,425
20年後 5,307 4,797 4,336
東京23区 まとめ(単位:万円)
新築 築5年 築10年
購入時 8,200 7,185 6,495
20年後 5,307 4,797 4,336
差分 ▲2,893 ▲2,388 ▲2,159
 

神奈川県

以後は同様の計算になりますので、購入時と20年後のまとめだけ掲出します。新築から中古になった時の減価率と、以降1年ごとの減価率はエリアによって変えてます。

※新築から中古で10%減価して、以降2.5%/年減価する。
神奈川 ※新築→中古10%減価、以降2.5%/年減価(単位:万円)
新築 築5年 築10年
購入時 6,100 4,961 4,371
20年後 3,394 2,990 2,635
差分 ▲2,706 ▲1,971 ▲1,737

 

千葉県・埼玉県

※新築から中古で15%減価して、以降3%/年減価する。
千葉/埼玉 ※新築→中古15%減価、以降3%/年減価(単位:万円)
新築 築5年 築10年
購入時 4,800 3,612 3,102
20年後 2,287 1,964 1,687
差分 ▲2,513 ▲1,648 ▲1,415

 

近畿・中部

一応断っておきますが、近畿・中部エリアで拾えたのは平均の新築坪単価だけです。減価率について記事内に近畿・中部の記載はないですが千葉・埼玉の坪単価や市場規模を鑑みて大して変わらんだろうという前提です。視覚化・分かりやすさ優先となりますことご了承下さい。

※新築から中古で15%減価して、以降@4万円減価する。
近畿/中部 ※新築→中古15%減価、以降@4万円減価(単位:万円)
新築 築5年 築10年
購入時 4,800 3,716 3,262
20年後 2,353 1,898 1,444
差分 ▲2,447 ▲1,818 ▲1,818
さて、千葉/埼玉の3%減価と、近畿/中部の@4万円減価を実際に計算してみると、新築~築20年の間は、見ての通り約2,500万円となり見事に近似しました。築25年くらいも、おおよそ近似と表現して良いでしょう。(築25年の推定価格 = 築5年物件の20年後を見て下さい)

それ以降は、だんだん数字がズレてきます。まぁ、当たり前ですよね。

坪4万円減価するということは、例えば@200万円の物件が築50年経過したら流通価値が0円になるのかといえば、そうではありませんので、経年するに連れてズレてきます。無論、「年率◯%下がる」の方が現実に即した価格になるかと思います。

 

エリア別 新築と築浅中古の比較

さて、やっと本題です。前項のシミュレーションを、比較しやすいよう新築、築5年、築10年ごとに分けます。近畿/中部は減価のものさしが違うため少し乱暴ですが千葉・埼玉と一緒くたにして「ほか地方都市」と表記しています。

 

居住年数20年の場合

新築 東京都 神奈川 ほか地方都市
購入時 8,200 6,100 4,800
20年後 5,307 3,394 2,287
差分 ▲2,893 ▲2,706 ▲2,513
値下がり率 35% 44% 52%
新築で物件を購入すると、購入時と20年後の差分(値下がり額)が、東京都、神奈川、ほか地方都市でそれほど大差がないという結果になります。

 
築5年 東京都 神奈川 ほか地方都市
購入時 7,185 4,961 3,612
20年後 4,797 2,990 1,964
差分 ▲2,388 ▲1,971 ▲1,648
値下がり率 33% 40% 46%
 
築10年 東京都 神奈川 ほか地方都市
購入時 6,495 4,371 3,102
20年後 4,336 2,635 1,687
差分 ▲2,159 ▲1,737 ▲1,415
値下がり率 33% 40% 46%
居住年数10年の場合、築5年および築10年については、1年あたりの値下がり率を同一と見なしていますので、20年後の値下がり率も同一となります。差分は見ての通りで、東京都に比べて、ほか地方都市の方が値下がり率は大きくとも、差分(値下がり額)は小さくなります。

 

居住年数10年の場合

次に、ミキ様の質問主旨とは逸れますが、10年後についてもシミュレーションしました。なぜかと言うと、沖社長は、マンションは10年毎に買い替えるのが一番得をするという持論をお持ちです。これがどういうことなのか折角の機会なので検証してみました。

 
新築 東京都 神奈川 ほか地方都市
購入時 8,200 6,100 4,800
10年後 6,495 4,371 3,102
差分 ▲1,705 ▲1,729 ▲1,698
値下がり率 21% 28% 35%
これは特筆すべきですが、新築の場合、10年経つと、東京都~神奈川~ほか地方都市の差分(値下がり額)が1,700万円前後でほぼ一致しました。いや~、面白いですね。都心は管理修繕費や固定資産税、駐車場代なども高いので単純比較はできませんが、買い値が全然違うのでお得感がありますね。

 
築5年 東京都 神奈川 ほか地方都市
購入時 7,185 4,961 3,612
10年後 5,871 3,852 2,664
差分 ▲1,314 ▲1,110 ▲948
値下がり率 18% 22% 26%
 
築10年 東京都 神奈川 ほか地方都市
購入時 6,495 4,371 3,102
10年後 5,307 3,394 2,287
差分 ▲1,188 ▲978 ▲814
値下がり率 18% 22% 26%
築5年および築10年については、差分だけで見ると各エリアそんなに違わない印象です。地方都市では、新築で買うと値下がりが大きくなりやすいが、築5年と10年だったら、値下がり額はそれほど大きく変わらないと言えそうです。(値下がり率を同じとすると、築年数うんぬんでなく買い値の問題ですね)

冒頭の沖社長の記事にあるように、

物件を都心で選ぶことで含み益を出す確率は増していくことになるし、郊外を購入するなら新築ではなく中古を選ぶべき

というのも納得できますね。ちょっと言い方悪いですけども、お金持ちがもっとお金持ちになって、お金のない人はもっとお金がなくなるという力学が、ここでも働いているのかも知れませんね。。

 

20年住むなら新築がいいか築浅中古がいいか

さて、ここまでを踏まえて自分の行動にどう落とし込むかの話です。

私が、もし相談者の方の個人属性を全く知らない状態で、「どういうマンションがいいですか?」って聞かれたら、都心で駅近の大規模マンションですかね、とか適当なこと言います。

ご本人様、ご家族とも出身が遠方で、地縁がなく、買える場所に根を張ろうという決心があるのでしたら、そして資産価値やお金の話をとても重視するなら、同じく都心ですねとなっちゃいます。

でも実際問題、こんな意見が参考になる人なんて、ごく少数だと思うんです。

一般的な所得の会社員の方には都心マンションなんて背伸びをしても手を出しにくいはずで、それでも住みたいならどこまで狭い部屋で我慢できるの?という話になります。

ここはですね、ご回答がズレることを承知の上で、新築か築浅中古か、最初から決め打ちしなくて良いんじゃないでしょうか?と思います。

新築 or 中古を最初に決めてしまうと、どうしても選択肢が限られてしまいます。エリアを絞っている方なら尚更です。

まずご検討エリアを探してみて、比較検討のあと残った物件の中で新築や中古が混在していたら、ここで上に掲出したような傾向があるとして価格推移が今後どうなるんだろう?ということは簡単にシミュレーションできます。

こんなものでもお役に立てて頂けるようでしたら、材料の1つとして判断されたら如何でしょう。

新築ならモデルルームを見る、中古なら現物を見る、それだけでも全然印象が違うはずで、ちょっと時間がかかりますが両方見てからでも遅くないです。

参考になればと思いまして、今回作った新築価格を入れるだけで数字が全部変わるツールをSpreadSheetでご用意しました。式が壊れないよう、黄色のセル(新築価格)だけ入力できるようになってます。具体的に物件があるのでしたら数字を入れ込んでみて下さい。中古の場合は購入価格がうまく合うよう新築価格を調整して下さい。(使ったら最初の数字に戻して頂けると助かります。[2/19 AM0:50追記] 編集権限を間違えてました!今は入力できます。ごめんなさい!)

1点、このツールは不動産相場の上下が考慮されていません。

私は、住まい選びは血縁こそ最優先すべきという立場なので、もし所帯持ちでしたら、ご夫婦どちらかの実家近くを選ぶとか、出産/子育て/教育の負荷分散をしやすい場所を選んだ方がいいと考えており、必ずしも値下がりしにくい/値上がりしやすいエリアを選ぶ必要はないと言いたいですが、都心マンションは好況で上がりやすく、金銭面でやっぱり有利ではありますね。

今後ももし不動産の上げ基調が続くなら、ここでの計算なんてどうでもいいくらい都心の方が得だよね、という結果になりかねませんが、一方で予算は保守的に考え、自己防衛のため返済率は20%程度にとどめて無理しないほうがいいと思います。

エリアごとの値上がり・値下がりについては、住まいサーフィンで「2020年度版 分譲年別&行政区別 中古マンション値上がり率」というとても興味深いデータを直近で公表されていますので、併せてご覧ください。これ見てると、東京都の真っ赤さ(値上がり)が際立って分かります。。笑

 

そして最後に、こんなことを言ってしまうと元も子もないのですが、より有力な具体的アクションとして、対象エリアに入るならマンマニ先生とか三井先生などプロの人におすすめ物件を探してもらうのがよいと思いますよ。住まいサーフィンでもプレミア中古という中古物件限定のサービスもやってますね。

何千万円の買い物ですから、少しばかりの相談料を支払っても、余裕で元を取れると思います、マジで。そこはケチらない方がいいです。

以上、ご参考になりましたら幸いです。

 

(追伸)
今回のネタにさせて頂いた坪4万円/年の減価については、過去に同ソースを元に、のらえもん先生も記事を上げておられます。

坪4万円/年の減価魔法は湾岸タワーにもかかっているのか?



また、はるぶー先生による管理視点での記事もあります。

案外大きなマンションの経年減価



案外大きなマンションの経年減価-2  積極投資の必要性



併せてご覧ください。

 

注釈:
当方からのご回答は、過去にスムログに頂いた古めの質問をピックアップさせて頂いております。特定のケースについてご質問の際、その内容を一般化して多くの方に関係する内容とさせていただく場合があります。また本記事は、当方の個人的な見解・意見であり、その内容に関していかなる責を負うものではありませんので予めご了承下さい。

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ABOUTこの記事をかいた人

スムログ担当者です。その昔、某デベで新築営業した後、今のWeb業界に転身しました。
妻子供との5人家族+犬2匹、上に2歳児の双子の娘、下に0歳児の娘を持つパパです。