中古マンションの相場を調べるとき、掲載価格の平均値は分かりやすい指標である。しかし、売り出されている物件の平均価格と、購入検討者から問い合わせがあった物件(反響物件)の平均価格は、同じ動きをしているのだろうか。
LIFULL HOME’Sが公開している月次データを使い、東京23区のファミリー向け中古マンションについて、掲載物件と反響物件の価格、㎡単価、築年数、専有面積、駅徒歩分数を比較した。対象期間は2020年1月から2026年9月までである。
掲載価格と反響価格の差は2024年秋から拡大
東京23区全体では、2024年秋から掲載価格と反響価格の差が広がり始めた。2025年春以降はさらに拡大し、夏には3か月移動平均でも30%台に達した。掲載物件の平均価格と、問い合わせがあった物件の平均価格との隔たりが、次第に大きくなっている。
各年1~9月の月次差額率を平均すると、次のようになる。
2025年には都心6区で先行していた価格差が、2026年には23区その他にも広がった。掲載価格と反響価格の差は、都心部だけの現象ではなくなっている。
ただし、都心6区の2026年の月次差額率は大きく変動している。5月には0.3%まで低下した月があり、年次平均だけでは月ごとの動きを捉えきれない。また、2024年の年次平均は1~9月に限られるため、秋以降の上昇を含んでいない。
㎡単価で見ても、差は広がっている
掲載物件の平均㎡単価は、2024年から2026年までの2年間で約79%上昇し、約1.8倍となった。一方、反響物件も約30%上昇したが、掲載物件ほどではない。
各年1~9月の月次平均値を単純平均すると、次のようになる。
ただし、これは各年の掲載物件群の平均値の比較であり、同じ物件の価格が1.8倍になったことを意味しない。掲載物件の築年数や面積など、物件構成の変化も影響している可能性がある。
また、2026年の反響物件の平均㎡単価は4~5月に一時的に上昇し、その後は低下している。この短期的な上昇も、1~9月平均に影響している。
近年、反響物件は築年数が古く、面積が小さい傾向
平均築年数の差(反響物件-掲載物件)を見ると、2020~2024年はマイナスの期間が多く、問い合わせがあった物件のほうが新しかった。ところが、2024年末以降はプラスに転じ、反響物件のほうが古くなっている。
各年1~9月の平均値で比較すると、2024年には反響物件のほうが0.6年若かったのに対し、2026年には逆に6.0年古くなった。
この差の拡大には、掲載物件の若返りと、反響物件の築年数の上昇の両方がある。2024年から2026年にかけて、掲載物件は4.1年若返った一方、反響物件は2.5年古くなっており、掲載物件側の変化幅のほうが大きい。
専有面積の差は拡大、駅距離の差は縮小
専有面積の差は近年拡大し、2026年には反響物件の平均面積が掲載物件より約5㎡小さくなっている。掲載物件の平均面積が広がる一方、反響物件の平均面積は大きく変わっていない。
一方、駅徒歩分数の差は縮小している。2024年には反響物件のほうが掲載物件より平均0.6分ほど駅に近かったが、2026年にはその差が約0.1分となり、ほぼ同じ水準に近づいた。
掲載物件と反響物件では、築年数や専有面積に違いが見られる一方、駅徒歩分数の差は小さくなっている。すべての物件の特徴が同じ方向に変化しているわけではない。
掲載価格の平均だけでは、物件の特徴までは分からない
今回のデータでは、掲載物件の平均㎡単価が大きく上昇する一方、反響物件との価格差が拡大した。築年数や専有面積についても、両者の平均値の間に違いが見られる。掲載価格の平均だけでは、問い合わせがあった物件の価格水準や、築年数・専有面積・駅徒歩分数といった特徴までは把握できない。
相場を判断するときは、掲載価格だけでなく、反響価格や物件の特徴も併せて確認したい。エリア、専有面積、築年数、駅距離などの条件をそろえて比較することも重要である。
データ・注記
- 出典:LIFULL HOME’S「マーケットレポート」の公開Excelデータを基に作成。対象は、LIFULL HOME’Sのファミリータイプ区分(2DK、2LDK、3K、3DK、3LDK以上)に該当する東京23区の中古マンション。対象期間は2020年1月~2026年9月。
- 年次比較の対象期間は、2026年のデータが9月までであることから、各年1~9月に統一した。年次値は各月の平均値の単純平均であり、物件数による加重平均ではない。差額率は月次ごとに「(掲載価格-反響価格)÷掲載価格×100」で算出した値の平均。各図の平滑線は当月と直前2か月の3か月移動平均である。
- 反響価格は問い合わせがあった物件に関する平均価格であり、成約価格や購入検討者の希望予算を示すものではない。平均値の差から、個々の購入検討者の選択理由や価格差の原因を特定することはできない。
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