東京のマンション市場、限界突破! 「所有」から「流動性」の時代へ

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東京のマンション価格は庶民の手が届かぬ領域へ。
「買うこと」が安定をもたらす時代は、すでに過ぎ去ったのか。

だが、いま必要なのは悲観ではなく、“新しい持ち方”を見極める冷静な視点だ。
住まいを「財」ではなく「機能」として捉える新時代が始まっている。

東京のマンション市場は、庶民のための「分譲」を前提にしていない

新築は高騰し、中古も高止まり。都心では坪600万円超が常態化し、郊外でも坪300万円を切る新築は稀だ。もはや「買えば安泰」という時代ではない。

それでも多くの人が購入を考えるのは、家族や将来への投資としての合理性があるからだ。

問題は、「買うこと」そのものではない。いまの価格環境下で“どう動けるか”を考えずに買うことがリスクなのだ。

モデルルームを巡ると、多くの人が「この価格で本当に動いていいのか」と逡巡する。

中古市場に目を向けても価格上昇は続き(次図)、手の届く中古は減り続けている。

中古マンション成約単価の推移(23区)
首都圏中古マンション市場動向(25年9月)」より

 「所有」から「可動性」へ

市場で静かに起きているのは、所有そのものを否定する流れではなく、“所有の前提条件”が変わりつつあるという現実だ。

リモートワーク、副業、二拠点居住。ライフスタイルの変化が早いほど、「一度買ったら動けない」リスクが大きくなる。

かつての住宅モデル――分譲購入→売却→再購入――は、金利上昇や税制、相場高騰によって機能しづらくなっている。

分譲を持たずとも、立地や景観にこだわり、「借りて住みこなす」層が根づきつつあるのではないか。

これは「買えない」人たちの諦めではなく、「動ける」ことを優先する、現実的な選択である。

 「マンションを買う」はゴールではない

所有は悪ではない。
ただ、所有は「終着点」ではなく、「より良く生きるための手段」として再定義されつつあるのだ。

かつて分譲マンションは、「安定」「成功」「定住」の象徴だった。
だが今は、働き方・家族構成・地域コミュニティが急速に変化している。

だからこそ、「買う」のであれば、どう使うか、どう動けるかを設計する視点が欠かせない。

たとえば、「10年後に貸せるか」「郊外に拠点を持てるか」「流動性を確保できるか」――こうした“出口戦略を前提にした所有”こそ、これからのマンション購入の新しい形である。

結び:「どこに住むか」より、「どう生きたいか」

スムログ読者に伝えたいのは、「買うべきか/借りるべきか」という単純な二択ではない。
東京のマンション市場は今、「所有」から「流動性」へと価値軸を移しつつある

家族構成や仕事、人生設計に合わせて住まいを変えることが、特別なことではなく“普通の選択”になりつつあるのだ。

マンションを買うことは、依然として有力な選択肢である。
ただしそれは、安住の地を得るためではなく、より柔軟に生きるための手段として再定義されていく。

いま問われているのは、「どこに住むか」よりも、「どう生きたいか」。
変化する市場と、柔軟に付き合うという選択である。

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