マンション購入待機組にとっての選択肢の一つとして、UR賃貸はどうだろうか。
外国人比率が高い団地は国際色豊かな生活を生み、逆に低い団地は落ち着いた環境を形づくる。どちらを選ぶかは住む人の価値観次第。
そこで今回、東京23区内にあるUR賃貸の中から、外国人比率が1割未満にとどまる大型団地を抽出した。浮かび上がったのは、世田谷から足立、練馬まで、地域ごとの社会背景がにじむ9件の団地である。
「つなぎ」としてのUR賃貸
最近のスムログ読者の質問を眺めると、世帯年収が高い層が目立つ。採用されなかったものも含め、彼らの多くは資産価値の落ちない物件を探し、将来の買い替えを前提に動いている。一方で、世帯年収がそこまで高くない層からの質問は少ない。おそらく記事を読み、いつかのマンション購入に備えて勉強しているのだろう。
では、購入待機組にとっての選択肢は何か。新築や中古を買えるようになるまでの「つなぎ」として、UR賃貸は現実的な答えになるのではないか。
UR賃貸は規格がしっかりしている。耐震診断や改修が行われており、旧耐震でも安心が担保される。最新の設備はなくても安全性は確保され、駅近物件も少なくない。
全国に1,421団地、総戸数70万戸近く。そのうち23区には217団地、総戸数は約9.6万戸にのぼる（2024年3月末現在）。
ＵＲ都市機構「事業情報（賃貸住宅）」を元にマン点作成
川口市芝園町のUR団地は、外国人比率6割に迫る
UR賃貸の大きな特徴は「4ナシ制度」である。礼金なし、仲介手数料なし、更新料なし、保証人なし。この仕組みが外国人にも住みやすい環境をつくり出している。象徴的なのが埼玉県川口市芝園町のUR芝園団地だ。総戸数2,454戸、隣接する民間マンションも含めるとエリアの外国人比率は59.6％。6割に迫る数字であり、テレビでも時々取り上げられる。
23区で外国人比率が低いエリアにあるUR賃貸
しかし、外国人比率の高い団地に魅力を感じる人ばかりではない。国際色豊かな環境を歓迎する声がある一方で、「それは少し違う」という人もいる。そこで、23区で外国人比率が低いエリアに建つUR賃貸を洗い出してみた。方法はシンプルだが手間がかかる。2020年国勢調査をもとに町丁目ごとの外国人人口を集計し、比率を算出する。それをUR都市機構の物件データと突き合わせる。総戸数100戸以上かつ外国人比率1割未満の団地を抽出すると、9件に絞り込まれた。
外国人比率が1割未満のUR賃貸（23区、総戸数100戸以上）
※以下、外国人比率が低い順。- 物件名（所在地）（総戸数）外国人比率（外国人人口/エリア総人口）
- 希望ヶ丘（世田谷区船橋六丁目）（1,825戸）
1.7 %（43人/2,493人） - ヌーヴェル赤羽台（北区赤羽台二丁目）（2,776戸）
3.4 %（105人/3,119人） - 花畑（足立区花畑五丁目）（1,605戸）
4.3 %（140人/3,277人） - 南六郷二丁目（大田区南六郷二丁目）（1,118戸）
5.4 %（406人/7,539人） - 青戸第一（葛飾区青戸三丁目）（1,119戸）
6.2 %（333人/5,402人） - 光が丘パークタウン 大通り南（練馬区光が丘七丁目）（1,258戸）
6.6 %（374人/5,701人） - むつみ台（練馬区光が丘一丁目）（1,261戸）
8.2 %（212人/2,593人） - 大谷田一丁目（足立区大谷田一丁目）（1,374戸）
9.0 %（429人/4,750人） - 竹の塚第一（足立区竹の塚三丁目）（1,286戸）
9.0 %（312人/3,452人）
続くのは「ヌーヴェル赤羽台」3.4％、「花畑」4.3％と北区・足立区の団地。次いで大田区南六郷、葛飾区青戸が5?6％台。練馬区光が丘は6?8％台に上がり、足立区の「大谷田一丁目」「竹の塚第一」は9.0％と1割に迫る。
いずれも総戸数1,000戸超の大型団地であり、地域ごとの社会的背景が数字に表れている。外国人比率は単なる統計ではなく、街の空気や生活環境を映す鏡でもある。
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