こんにちは、稲垣ヨシクニです。
2025年も折り返しに入りましたが、マンション業界に関わる皆さまが密かに注視しているのが「供給戸数の推移」でしょう。
今回は、2000年から2025年までの実績と、2040年までの中長期予測を交え、「これからの分譲マンション供給」がどう変わっていくのか、ざっくりかつ本質的に解説していきたいと思います。
2000年の大量供給、あれはなんだったのか?
まずは事実から。2000年、首都圏の新築分譲マンション供給戸数は約95,000戸。
もはや伝説のような数字です。
当時は郊外にも多くの土地があり、駅徒歩15分以内で70㎡が3,000万円台、なんていう夢のような時代でした。
ところが、それをピークに供給は右肩下がり。
リーマンショックを経た2010年には40,000戸台になりました。
2020年にはついに26,964戸という水準にまで落ち込みました。
2025年、わずかな回復
直近2025年の供給予測は26,000戸前後。前年(2024年)の約23,000戸からは若干回復しそうですが、これは東京23区での大型再開発が牽引しているだけです。
つまり、「全体として回復している」のではなく、「ごく一部が異常に元気なだけ」。これは重要な見極めポイントです。
なぜ供給は回復しないのか?
今後の供給を考えるうえで、もっとも重くのしかかるのが建築費の高騰です。・鉄筋やコンクリートなど資材費の上昇
・職人不足による人件費の高騰
・労働規制強化による施工期間の長期化
・災害対策、環境基準の強化
このように、建築費は「下がる要素が一切ない」構造的上昇トレンドにあります。
デベロッパーとしては、よほどの好立地、高単価が見込めなければ、そもそも事業化しない。
それが今の常識になりつつあるのです。
2040年までの供給予測は緩やかに、しかし確実に減っていく
では2040年までの供給はどうなるのか?以下に私なりの推計を示します。2025年 約26,000戸 東京23区の再開発が牽引
2030年 約22,000戸 郊外供給の急減が顕著に
2035年 約20,000戸 人口減と高齢化で需要縮小
2040年 約18,000戸 超選別時代へ突入
かつて9万戸だった供給が、2040年には2万戸を下回るかもしれない。
それでも価格は下がらない、むしろ上がる可能性が高い。
なぜなら「供給されない=希少性が上がる」からです。
富裕層、インバウンド時代の到来、買える人だけが買える世界
2040年までに明確になるのは、「マンションは一部の人のための住宅」になるということです。すでに都心部では、70㎡1.5億円は当たり前。中堅所得層には手が届きにくい価格帯になっています。
このままいけば、一般家庭が都心で新築マンションを買う時代は終わり、富裕層、インバウンド、投資家、相続対策による需要がメインとなるでしょう。
今は買い時なのか?
「完全に買い時」と言えます。都市部は人口(=需要)が担保されており、新築の供給が絞られる以上、全体の相場は上昇すると考えられるためです。
また、新築が供給されるエリアとされにくいエリアで格差は広がります。
これは各行政区の年収と相関性があり、マンションを購入できる層の世帯が集まっているエリアかどうかによってきます。
平均年収500万円のエリアであれば世帯年収1000万円程度。
8000万円程度の新築マンションが購入できるかと思います。
55㎡2LDKで坪単価約470万円と新築マンション採算ラインぎりぎりかと思います。
港区、中央区など人口も年収も増加している区には新築マンションの供給がこれからも行われる。
ただ、年収の伸びが無いエリアには供給が抑えられるということになります。
新築供給の有無によって周辺中古価格が決まってきますので二極化するという構図となります。
未来のマンション市場に備えるには?
最後に、2040年までの変化にどう備えるか。ポイントは以下の3点です。・極力都心、駅近物件を早めに購入
・タワー、ブランドマンション等視認性の高い物件を選ぶ
・価格上昇していないエアポケットエリアを見つける
まとめ
2000年に約9.5万戸あったマンション供給は、2040年には2万戸を切る可能性が高い。「たくさん作って、たくさん売る」時代は、ここ日本にはもう来ません。
マンションは、「誰でも買えるもの」から、「選ばれた人が買うもの」へと静かにシフトしているのです。
買えるうちに買うことと、転職や昇進により年収を上げることにフォーカスするのが重要です。
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